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電子レンジ攻撃アカウントが、投資アカウントから教育アカウントに鞍替えした理由

今も流れ続ける「電子レンジ有害説」

6月の終わり頃、筆者のTLに「炎上覚悟」と銘打って本当に炎上しているツイートが流れてきた。

このツイートは2023年7月8日現在で3,000RTを超えており、その引用リツイートの数(勿論ほぼ批判である)が炎上の勢いを窺わせる。勿論電子レンジだけが栄養素を破壊するようなデータはない(加熱で破壊される栄養素は電子レンジ以外でも同様に破壊されるのだ)し、何より生きているものはいつか死ぬ。「特定の方法で調理したエサを食べた動物は不死身になった」ケースがあったとしたら、そちらのほうが恐ろしい話だ。

この説の根拠とされる話に、「ソ連では1976年から電子レンジの使用が禁止された」というものがあり、この噂だけで調査をしている人が大勢いるが(海外でもかなり広がっている話らしい)、結局それらしい情報は見当たらず、1970年代,80年代にソ連で製造された電子レンジの情報が多数出てくる。これもデマだと考えて良いだろう。

元は投資アカウント

このようなツイートを見て筆者が気になるのは、最初はどんなアカウントだったのかということである。現在では子供の教育に関する情報を発信している上記アカウント(電子レンジ有害説も子育ての文脈で採用されている)のツイートを辿ったところ、最初はFXや仮想通貨に関する情報を主に投稿する、投資アカウントだったことが分かった。

ちなみに上記ツイートに出てくるBというアプリは、ビットコインの価格予想を当てると5円相当のビットコインが貰えるというアプリだが、一部出金が抽選制、全額出金の最低額が高いという形で出金ハードルが高くなっている。実際には価格予想ではなく、各種サイトの登録や購入で稼ぐポイントサイトである。ここで紹介コードが記載されているのは、勿論紹介ポイントを稼ぐためだ。

このアカウントはその他、ウィンザーマスターに手を出していた。これは「預けるだけで配当が貰えるウォレット」を謳い、月利5~20%とされたものの結局は出金停止になり、後続サービスとされたショッピングモールも出金停止・アクセス不可状態になったという代物である。例に漏れずこの案件も紹介でボーナスが貰える仕組みであった。

このアカウントはLINEも運用しており、アクセスしたところ「友達11人、フォロワー6人」という極小アカウントだった。

試しに登録してみたところ、Iという投資アカデミーの説明会への案内が記載されており、これはツイートもされていた。投資アカデミーIでは投資の講義やツールを購入できるが、実はこれもまたマルチ商法なのである。海外では「若者を洗脳する投資講座ピラミッド・スキーム」として注意喚起が行われている

と、電子レンジ攻撃アカウントの当初の姿は上記のようなものであり、現在の姿とはかなり異なる。

2022年から教育アカウントに鞍替え

このアカウントに教育関連の投稿が増え始めるのは2022年からである。クラブハウスで盛んに教育関連のルームを開いたり、Youtubeに動画をアップロードしていた。

ちなみにここに出てくるオーディション企画の主催はOという人物だが、実は筆者が事業家集団・環境について調べるきっかけとなった、新橋の店のオーナーをやっていた元幹部である(辞めた後はビジネス系のセミナーや研修、著述活動を行っている)。思わぬところで繋がるものだ。

Twitterでは明確な変化の理由は述べられていないものの、その契機となったと思われる投稿が別のSNSに残っていた。この人物はFacebookにもアカウントを持っており、2022年2月にはこのような投稿をシェアしている。
それは、「田中先生」なる人物から、【幼児教育コンシェルジュ】という名前・使命をもらったというものだった。

「田中先生」については2021年から投稿をシェアしており、配信番組に出演もしている。2021年中からそのコミュニティに所属し、方針転換を模索した結果が教育アカウントだったのだろう。

崇拝される「田中先生」

ここで言われている「田中先生」とは、「0円PR」を掲げて活動しているコンサルタントである。

もちろん、全て0円ではビジネスにはならない。「0円でPRする方法」についての有料コンサルティングや代理店権販売、

さらには「女性と子どものためのマネーリテラシー研究会」という年会費制のコミュニティを運営しているようだ。電子レンジ攻撃アカウントの主も、おそらくこのコミュニティに所属しているのだろう。

実際に、同じく「田中先生」の下で学習している仲間を指している投稿もあった。

そんな「田中先生」のLINEチャネルは友だち12人という状態で、どこまで成果が上がるのかは疑わしい。最近では言及もされなくなっており、あまり効果がなかったものと考えられる。代わって目立つのがTwitterにおける商材系アカウントとの交流で、現在は完全にこの界隈に取り込まれたものと見られる。

所属するコミュニティの健全性

筆者がこのアカウントについて調べていて驚いたことがある。この人物は過去アタック25に出演しており、しかも優勝しているらしいのである。

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