お客さまは神様か?

ここで言うお客さまとは、商品やサービスを提供する側から見た、対価を支払う人のことを前提とする。

客を崇敬せよ、最大限尊重せよ、口答えせず言い分は受け入れよ、という含意を込めて用いられることの多い言い回し。 しばしばサービス業・接客業の接客の心得として言及される。 もともとは演歌歌手の三波春夫さんが、聴衆の前で歌う際の自らの心構えを述懐した言葉である。(注)後記参照

お店にとって、お客さまは利益をもたらしてくれるありがたい存在である。その人を怒らせたら大変である。お客さまの言うことはごもっともと思って大切にする。そのことを端的に表した表現だと思う。
だが、神様のように祭り上げて敬う存在なのだろうかと思う。

ビジネスとしての考え方

私も、お客としてお店で買い物をするときは自分が優位な立場に居ることを意識した言動をしていた。ある時、一緒にお店に同伴した友人が、私の態度を見て私に注意してくれた。また、私がお店を始めてからの出来ことの一つに、お客さまが商品を買って帰り際にお礼を言って行く人が多いことに気づいた。
一方で、値引きを要求されたり、開店時間を早めるよう忠告する人や、商品のバリエーションを増やしてほしいとかさまざまな要望やアドバイスがある。要望に対応するに越したことはないのだが、提供する側の事情もある。
 ある時、結論めいたことが思い浮かんだ。
お店は、取扱い商品の種類や価格、販売方法を決め、お客さまはそれを買うか買わないかを選ぶ権利がある。
商品の内容はお店がコンセプトに基づいて決めるものであり、価格や販売方法は供給能力や重視するモノによって事情があるので、お客さまが要求する事ではない。
繰り返しになるが、提供する内容・方法はお店が決定権を持ち、お客さまは提供されたことに対して購買選択権を持つ。
そう考えると対等な立場となり、提供される内容をお客さまが必要とするのであれば、ありがたいのでお礼を言う。買ってくれるお客さまは、お店にとって利益をもたらす大事な人となる。
依存や押し付けのない対等な関係が望ましいと思うのである。

人としての考え方

売り手と買い手という関係の前に、コミュニケーションの取り方として、相手と接することが必要ではないかと思うのである。店員も役割として仕事をしているのであり、心も感情もある。


三波春夫さんの真意

「お客様は神様です」は、三波春夫さんの名言。だが、その真意は、「舞台に立つとき、敬虔な心で神に手を合わせたときと同様に、心を昇華しなければ真実の藝は出来ない」ということから生まれたことという。そして、「人間尊重の心が薄れたこと、そうした背景があったからこそ、この言葉が流行ったのではないだろうか」とも語っておられる。
(三波春夫オフィシャルサイト)
https://www.minamiharuo.jp/profile/index2.html
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?