舞台『ある風景』~kaf

普段は映画についてのブログばかりだが、今回は主が観劇してきた舞台のお話。

チーズtheaterの戸田彬弘さん演出。
出演は小出恵介さん、小島梨里杏さん、大浦千佳さん、當山美智子さん、蒼大さん…ほか。

ざっくり、家族のお話でした。
一つの家族ではなく、何組かの、親戚だったりご近所さんだったりの家族模様が入り乱れる。

元々この作品のことが気になっていたが、思い切って当日券で入った。
最高でした。
特に、決してドラマチックではなくさらっと日常の温度感でなされていく会話が印象的でした。
人生において大切な会話ややりとりって、こんな風に何気なく過ぎ去っていくよな、と。
そんな瞬間を掬い取っていくように丁寧に紡がれていくシーン達。
物語を楽しみながら、自分の人生と対話したような時間でした。

冒頭の体感5分(実際は2、3分程?)の異様と言っていいほどの、とある人物の不在と沈黙。
そこから時が遡り、家族たちの日常が描かれる。

複雑な関係性をさらっと描いていたが、出演者の皆様の見事な演技を通してしっかりと伝わってくる。
現在地点での対比は勿論、時を遡っての対比もあった。
昔から変わらない関係性だからこそ、各々の現在の変化が引き立つ演出。

母と娘(シングルマザー、一人息子あり)のとある会話が印象的だった。
母が娘に「あなたもお母さんでしょ」と背中を押すシーン。
この2人は変わらず親子としての関係を持っていながら、そこに加えて同胞?戦友?かのような、対等な関係性も生まれていた。
かつてのこの親子の親密さも伝わってきたし、現在も変わらず親密でありながらお互い1人の人間として認め合っている。
そんなやりとりに感じました。


個人的に、小出恵介さんのお芝居に注目していました。
引きこもり、心の病を患った過去。
そこからの現在の姿。
目の伏せ方、相槌のうち方、大事な話を打ち明ける時の仕草。
ツボ過ぎました。
なんだかわからないけど物凄く“少年!!”的な面があるなと思って、
そういうところが母親からするといつまで経っても可愛いままなのだろうなと。


冒頭に書いたけど…やはり全体を通して、物語を観ながら自分の人生と照らし合わせる時間だったなと思います。
素晴らしかった!
当日券で駆け込んで本当に良かった。

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