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世界遺産条約と委員会

世界遺産とは、1972年第17回UNESCO総会萩原徹が議長を務めた)で採択された「世界遺産条約(世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約)」に基づき「世界遺産リスト」に記載されている、「顕著な普遍的価値:Outstanding Universal Value」を有する自然や生態系保存地域、記念建造物、遺跡である。
1978年に最初の世界遺産12件が世界遺産リストに記載されて以来、2014年にボツワナ共和国の「オカバンゴ・デルタ」が1000件目の世界遺産に、2024年3月時点で1,999件(文化遺産:933件、自然遺産:227件、複合遺産:39件)が登録され、内56件が危機遺産リストに記載されている。
世界遺産条約が採択されるきっかけは、エジプトにおけるナイル川周辺のダム建設と言われている。この建設により、アブシンベル神殿がダムの底に沈むことになってしまったため、これを保全するためにアブシンベル神殿全体が当初の場所よりも高い位置に移された。


1978年 世界遺産リスト登録開始

最初に世界遺産リストに登録された12件の遺産

  1. アーヘンの大聖堂(ドイツ)

  2. クラクフの歴史地区(ポーランド)

  3. ヴィエリチカとボフニャの王立岩塩杭(ポーランド)

  4. シミエン国立公園(エチオピア)

  5. ラリべラの岩の聖堂群(エチオピア)

  6. ゴレ島(セネガル)

  7. メサ・ヴェルデ国立公園(アメリカ)

  8. イエローストーン国立公園(アメリカ)

  9. ランス・オー・メドー国立歴史公園(カナダ)

  10. ナハニ国立公園(カナダ)

  11. ガラパゴス諸島(エクアドル)

  12. キトの市街(エクアドル)

1978年〜1991年は、西欧中心でキリスト教関連中世の建造物・記念物が多い。

アテネ憲章:1931年

アテネで開催された、第一回「歴史的建造物に関する建築家・技術者国際会議」において採択された、記念物や建築物、遺跡などの保存に関する基本的な考え方。見た目が重要視され、見た目を守るためにある程度の模倣が許された。概要として、修復の際はいかなる時代の様式も無視せずに過去の歴史的・芸術的作品を尊重すること。完全な復元は行わないこと。発見された当初の部材を可能な限り用いて修復する(アナスタイロシス)が、鉄筋コンクリート等近代的な材料や技術を用いることができること。元の外観や性格を尊重すること。とされている。

ヴェネチア憲章:1964年

ヴェネチアで開催された、第二回「歴史的建造物に関する建築家・技術者国際会議」において採択され、アテネ憲章に対して批判的な見方をしている。
修復の際には建築当時の工法・素材などを重視することが記されており、推測による修復の禁止、修復箇所の明示などが示されている。歴史ある建築の保存と修復の考え方を国際的な基盤に基づき一致させる、歴史的記念建造物には、単一の建築作品だけでなく都市景観や田舎の建築環境も含まれ、芸術作品かつ歴史的証拠として保護することが記載されている。修復の目的は記念建造物の美的価値と歴史的価値を保存して示すことであり、そのため修復の際には建設当時の工法や素材を尊重し、推測による修復を行ってはならない。近代的技術を用いるのは、伝統的技術が明らかに不適切である場合のみであり、例えば姫路城の修復の際、天守の重量を支えきれていなかった礎石を鉄筋コンクリート製の基礎構造物に置き換えたのはその事例である。

→ヴェネチア憲章の原則を基に、1965年ICOMOS(the international council on monuments and sites)が設立された。ICOMOSは特に「真正性 Authenticity」を重要視しており、文化遺産が持つ価値を評価する上で最も重要視される指標であり、それぞれの文化的背景の独自性や伝統を継承していると証明されることが求められる。

奈良文書:1994年

真正性は、かつて遺産が建造された当時の状態がそのまま継続・保存されていることが重要視されていたが、これは遺産が時代を経ても大きく変化しにくい西欧の石の文化の思想に基づいており、日本やアフリカなどの木や土の文化には必ずしも対応していなかった。1993年「法隆寺地域の仏教建造物群」の世界遺産登録をする際、木造建築物などの保存について国際社会の理解を深める必要性を感じた日本は、1994年「真正性に関する奈良会議」を開催し、「奈良文書」が採択された。奈良文書では、遺産の保存・保全方法と真正性は、遺産がある場所の地理や気候、環境などの自然条件と、文化・歴史的背景などの文化的文脈との関係の中で評価すべきとされた。

1992年〜文化的景観という概念の導入

文化的景観は第16回世界遺産委員会で採択され、「自然と人間の共同作品」に相当するものである。人間社会が自然環境による制約の中で、社会的・経済的・文化的に影響を受けながら進化してきたことを示す遺産で、文化遺産の捉え方が柔軟になった。日本では、紀伊山地の霊場と参詣道が初めて文化的景観が認められ登録された。

文化的景観は大きく3つのカテゴリーに分けられる:

  1. 関連する景観自然的な要素が、宗教的・芸術的・文学的な要素と強く関連する景観。例 ニュージーランドのトンガリロ国立公園(1993年)

  2. 有機的に進化する景観社会や経済、政治、宗教などに対応して生まれ、自然環境に対応しその関連性の中で形成された景観。

  3. 意匠された景観人間によってデザインされ創造された景観。自然と人間が共同で作り上げた。

1994年:グローバルストラテジー

「世界遺産リストにおける不均衡の是正及び代表性、信用性の確保のためのグローバル・ストラテジー」は、1994年第18回世界遺産委員会にて採択された。世界遺産はかつてはキリスト教関係や修道院関係の記念碑的な遺産に偏っており、世界遺産条約を締結しておりながら一件も遺産を持たない国があるなど、地域的な不均衡が指摘された。これは主に3つに大分され、1. 内容的な不均衡是正(キリスト教関連ばかりでなく、産業遺産や近現代建築等)、2. 地理的な不均衡是正(ヨーロッパばかりでなく、オセアニアや中央アジア等)、3. 時代的な不均衡是正(中世のものだけでなく、先史時代・近現代のもの等、全ての時代を代表するもの)がある。地球の歴史・人類の歴史全てを網羅するリストにする、ことが目標。

  • シリアル・ノミネーション・サイト:文化や歴史的背景、自然環境などが、全体として「顕著な普遍的価値」を持つ一つの世界遺産として登録するという考え方。例:明治日本の産業革命遺産、古都京都の文化財等

  • トランスバウンダリー・サイト:国境を跨いだ遺産。元々は自然遺産を指すことが多かったが、シリアル・ノミネーション・サイトの発想により文化遺産にも当てはまるようになった。作業指針の中では、できる限り関係締結国が共同で登録推薦書を作成し、共同管理委員会の設立して遺産全体を保全することが強く推奨されている。例 ヨーロッパの大温泉都市群、カルパティア山脈のブナ林とドイツの古代ブナ林(ウクライナ・スロバキア・ドイツ)、例外 イグアス国立公園はブラジルとアルゼンチン各で登録されている、サンティアゴ・デ・コンテスポーラの巡礼路はスペインとフランスで登録されているためトランスバウンダリー・サイトに当てはまらない。

  • MAB計画(人類と生物圏計画):UNESCOが1971年に立ち上げた、環境資源の持続可能な利用と環境保全を目的とした研究計画。世界遺産条約はこの概念の延長上として採択された。自然を守る中で、3つのゾーンに分けて保全を行う。1. 核心地域(コアエリア・プロパティ):最も重要な地域であり人間の開発を行うことはできない。2. バッファー・ゾーン:人間の活動ができる地域。3. トランジション・エリア:より発展させた保全を行う。自然遺産において、すぐ周辺に開発が行われた場合保全することが難しい。トランジション・エリア以降で開発を行うことで保全を行うことができる。核心地域とバッファー・ゾーンについては、推薦書内にも記載が義務付けられている。→「完全性」:世界遺産の顕著な普遍的価値を構成するために必要な要素が全て含まれ、長期的な保護のための法律などの体制も整えられていること。の概念に対して重要。

2007年〜現在:モニタリング重視

世界遺産条約履行のための戦略的目標「5つのC」

2002年ブタペストにおいて「世界遺産に関するブタペスト宣言」が採択され、戦略目標4つのCが示され、その後2007年ニュージーランドで行われた第31回世界遺産委員会で5つ目の「Communities」が加えられた。

  1. Credibility 信頼性

  2. Conservation 保全

  3. Capacity-building 能力構築

  4. Communication 情報伝達

  5. Communities 共同体

定期報告

各締約国は6年毎に報告を行う。定期報告は6年1サイクルとなっており、①アラブ、②アフリカ、③アジア・太平洋、④ラテンアメリカ・カリブ海地域、⑤ヨーロッパ・北米、の順で報告を行い、6年目は定期報告・議会のシステム改善の議論がなされる。

リアクティブ・モニタリング

2007年にドイツの「ドレスデン・エルベ渓谷」が世界遺産から抹消されたのをきっかけに、危機遺産リストに記載されている遺産や、記載される可能性のある遺産に実施される他、世界遺産リストから抹消される可能性のある遺産も対象となる。
これまでに世界遺産リストから抹消された遺産は3つである。
1. アラビアオリックスの保護地区(オマーン):保護が不十分であっただけでなく、オマーン政府が石油や天然ガス等の天然資源採取のために保護地区を90%削減する政策をとったことにより、危機遺産リストに記載されることなく2007年に抹消された。当時UNESCO事務局長を務めていたのは松浦晃一郎氏。
2. ドレスデン・エルベ渓谷(ドイツ):エルベ川に近代的な橋を建設することが住民投票を経て決定したため危機遺産リストに記載され、2009年に抹消された。
3. リヴァプール海商売都市(イギリス):2012年にウォーターフロントの都市開発計画が問題となり危機遺産リストに記載され、2021年に抹消された。
*ゲラティ修道院(ジョージア):元々は「バグラティ大聖堂とゲラティ修道院」として登録されていたが、バグラティ大聖堂の再建工事が真正性を損なったとして2017年に大聖堂のみが構成資産から削除された。

遺産影響評価(HIA: Hearritage Impact Assessment)

世界遺産リストに記載された遺産が持つ「顕著な普遍的価値」の属性が受ける影響について評価する。2022年にUNESCOと諮問機関によって「世界遺産における影響評価のためのガイダンスおよびツールキット」が発行された。

世界遺産登録の流れ

世界遺産登録の流れを下記に示す。

世界遺産条約への加盟国は、2024年3月時点で195の国と地域に及ぶ。日本は1992年6月30日より条約受諾書を寄託した。

世界遺産委員会

世界遺産条約締結国から21カ国の委員会国が選ばれる。任期は6年だが、公平な代表性を確保するために4年で自発的に任期を終えること、連続して再選することがないことが望ましいとされている。
世界遺産委員会では、世界遺産委員会の議長と書記1名、副議長5名の7名(7カ国)で構成される任期1年のビューロー会議を設置し、会期中に必要な数だけビューロー会議を開催する。これは次の世界遺産委員会のための準備会議である。

世界遺産リストへの記載の可否

世界遺産委員会の重要な役割の一つが、世界遺産リストへの記載の可否の決定である。暫定リストの内容と推薦書、諮問機関から出された勧告書などを基に審議を行い、「登録」「情報照会」「登録延期」「不登録」の4段階の決議を行う。
「登録」inscription:顕著な普遍的価値を認め、リストに記載する。
「情報照会」Refferal of Nomination:次回の世界遺産委員会に推薦書を再提出し、審査を受けることができる。追加情報は審議を求める年の2月1日までに提出しなければならず、その後諮問委員会の調査を受けるが、現地調査は含まない。また3年以内に再提出がなされない場合、以降は新たな登録推薦と見なされる。
「登録延期」Defferal of Nomination:より綿密な評価・調査が必要であり、推薦書が再提出された場合、諮問委員会の現地調査を含む1年半の調査が必要となる。
「不登録」Decision not to inscribe:不登録。例外的な場合を除き再推薦は認められていない。
世界遺産登録数の上限は定められていないが、人的・財政的状況も考慮し、一締結国からの推薦は年間で1つまで、「情報照会」「登録延期」による再推薦を含む場合は2つまでとされており、1回の世界遺産委員会での審議数は35件までとされている。

*緊急的登録推薦:「顕著な普遍的価値」があることに疑いがないと考えられる遺産が重大で具体的な危機に直面している場合、世界遺産リストへの通常の推薦プロセスを経ずに審議が行われ、世界遺産リストに記載される。このプロセスは「緊急的登録推薦」と呼ばれ、同時に危機遺産リストにも記載される。 例 ベツレヘムの聖誕教会

世界遺産登録における要項

世界遺産登録の基準

*記憶の場:2023年第45回世界遺産委員会で新たに採択された概念。国家とその国民(少なくとも国民の一部)もしくはコミュニティが、記憶に残したいと考える出来事が起こった場所とされる。この定義に基づき、2023年に以下の3つの遺産が登録された。
1. ESMA博物館と記憶の場(アルゼンチン):拘禁と拷問、虐殺のかつての機密拠点
2. 第一次世界大戦(西部戦線)の慰霊と記憶の場(ベルギー/フランス)
3. ルワンダ虐殺の記憶の場(ルワンダ):ニャマタ、ムランビ、ギソジ、ビセセロ
推薦において登録基準(vi)を記憶の場に適用する場合には、他の基準と共に用いることや、近年の紛争と記憶のつながりが明確に示されていること、有形の直接的な証拠があること、類似の特徴を持つ遺産との比較研究がなされていることなどが求められる。

危機遺産

危機遺産は2023年時点で56件ある。危機遺産に登録される理由は、風化や気象の変化などの自然環境や時間の経過によって起こった危機や戦争や内戦による破壊行為、環境破壊など理由は様々。

文化遺産

  • エルサレムの旧市街とその城壁群(ヨルダンが申請したが、世界で唯一当事国を持たない世界遺産となった):イスラエルとパレスチナの紛争、3つの宗教の聖地であるが故の帰属問題

  • ヘブロン/アル・ハリル旧市街(パレスチナ)

  • オリーブとワインの地パレスチナ – エルサレム地方南部バティールの文化的景観(パレスチナ)

  • トリポリのラシード・カラーミー国際見本市会場(レバノン):戦闘行為・管理不足・国家の財政危機による老朽化。

  • 古代都市アレッポ(シリア):2013年、アレッポを含むシリアの世界遺産6か所全てが危機遺産に指定された。

  • パルミラの遺跡(シリア):バールシャミン神殿は2015年8月23日、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」によって爆破された。

  • シリア北部の古代村落群(シリア)

  • クラック・デ・シュヴァリエとカラット・サラーフ・アッディーン(シリア)

  • 古代都市ボスラ(シリア)

  • 古都ダマスカス(シリア)

  • オデーサ歴史地区(ウクライナ):2023年ロシアのウクライナ侵攻を受け危機遺産に指定された。

  • キーウの聖ソフィア大聖堂と関連する修道院群及びキーウ・ペチェールシク大修道院(ウクライナ)

  • リヴィウの歴史地区群(ウクライナ)

  • レプティス・マグナの考古遺跡(リビア):2016年国家分裂状態のリビアの世界遺産5つ全てが危機遺産に登録された。

  • キュレネの考古遺跡(リビア)

  • タドラルト・アカクスの岩絵遺跡群(リビア)

  • サブラタの考古遺跡(リビア)

  • ガダミス旧市街(リビア)

  • アッシュール(カラット・シェルカット)(イラク):フセイン政権時代、アッシュ-ルの遺跡はダム建設によって水没の危機に直面。

  • サーマッラーの考古学都市(イラク):イラクの情勢。

  • ハトラ(イラク):過激派組織IS=イスラミックステートが、石像などを破壊したとする映像をネット上に投稿。

  • バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群(アフガニスタン):1979年のソ連によるアフガニスタン侵攻以来、アフガン紛争によって大きな被害を受た。2001年にはイスラムの偶像崇拝禁止の規定に反しているとして、当時のアフガニスタンのタリバン政権はバーミヤンの大仏の破壊。

  • ジャームのミナレットと考古遺跡群(アフガニスタン):アフガニスタン侵攻では、混乱に乗じての文化財の盗掘が行われ、考古遺跡群全体が危機にさらされている。

  • シバームの旧城壁都市(イエメン):政権側と反体制派の戦闘で破壊されるおそれがある。

  • サヌア旧市街(イエメン):サウジアラビアの空爆で深刻な損傷

  • 古都ザビード(イエメン):都市化。

  • マリブ:古代サバ王国の代表的遺跡群(イエメン):安定な政治情勢などにより保存状況が劣悪。

  • ジェンネ旧市街(マリ):情勢の不安定さ。

  • アスキアの墓(マリ)

  • トンブクトゥ(マリ)

  • ウィーン歴史地区(オーストリア):再開発計画が進められており、歴史的都市景観に悪影響をが懸念。

  • アブ・メナ(エジプト):地盤の脆弱性によって、存続の危機。

  • チャンチャン遺跡地帯(ペルー)

  • シャフリサブス歴史地区(ウズベキスタン):観光方面での過度の開発などが問題視。

  • コロとその港(ベネズエラ)

  • コソボの中世建造物群(セルビア)

  • パナマのカリブ海沿岸の要塞群:ポルトベロとサンロレンソ(パナマ):城壁や砲台などの資産は補強が必要で、風雨による浸食も進んでいる。

  • ポトシ市街(ボリビア)

  • ナン・マトール:ミクロネシア東部の中心的祭祀場(ミクネシア連邦):保全状況の不備

  • ロシア・モンタナの鉱山景観(ルーマニア)

自然遺産

  • ヴィルンガ国立公園(コンゴ):隣国ルワンダの内戦で発生した難民の大量流入などで環境が悪化し、混乱のなかで多数のカバやゴリラが殺されるという悲劇。

  • カフジ=ビエガ国立公園(コンゴ)

  • オカピ野生生物保護区(コンゴ)

  • ガランバ国立公園(コンゴ):密猟の横行などによりキタシロサイ激減。

  • トゥルカナ湖国立公園群(ケニア):トゥルカナ湖に注ぐオモ川上流のエチオピアにおいてダム建設が進められました。渇水や淡水流入不足が原因で水質の変化が予想される。

  • セルース猟獣保護区(タンザニア):中国による象牙をねらった密猟の横行。

  • アイル・テネレ自然保護区(ニジェール):保護区内に暮らす遊牧民の独立運動による内戦が激化。

  • マノヴォ=グンダ・サン・フローリス国立公園(中央アフリカ)

  • ニョコロ=コバ国立公園(セネガル):アフリカゾウやライオンなどの密猟が問題化しており、また近くのガンビア川にダム建設が計画。

  • ニンバ山厳正自然保護区(ギニア/コートジボワール):リベリア側から採掘のための開発が行われ、またリベリアからの難民がこの領域に多数流入して、自然環境に深刻な影響を与えている。

  • アツィナナナの雨林(マダガスカル)

  • エバーグレーズ国立公園(アメリカ):海の環境悪化が湿原の水生生物にまで影響を及ぼしてきた。

  • カリフォルニア湾の島々と自然保護区(メキシコ):この地域の固有種コガシラネズミイルカが絶滅の恐れにある。

  • リオ・プラタノ生物圏保護区(ホンジュラス):不法な居住者による森林伐採・密猟、周辺地域の3つのダム建設計画などに加え、麻薬密売業者の存在によって、このエリアの保全が困難。

  • スマトラの熱帯雨林遺産(インドネシア):密猟、違法伐採、農地の拡大、公園内における道路の建設計画。

  • 東レンネル(ソロモン諸島レンネル島)

負の遺産

負の世界遺産とは、人類が犯した過ちを記憶にとどめ教訓とする遺産といわれています。ただし負の世界遺産は、世界遺産条約で明確にカテゴリー化されておらず、どの遺産を「負の世界遺産」とするかは、諸説あります。

  • ゴレ島(セネガル):奴隷の収容施設

  • ヴォルタ州、グレーター・アクラ州、セントラル州、ウェスタン州の城塞群(ガーナ):奴隷貿易の港

  • クンタ・キンテ島と関連遺跡群(ガンビア):西アフリカにおける奴隷貿易の中心地

  • ザンジバル島のストーン・タウン(タンザニア):アフリカからの奴隷・象牙・金などの輸出で栄えた。

  • キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡群(タンザニア):モノモタパ王国の黄金、タンザニアの奴隷などの交易の拠点

  • カルタヘナの港、要塞、歴史的建造物群(コロンビア):黒人奴隷の受け入れ港

  • トリニダとロス・インヘニオス渓谷(キューバ):黒人の奴隷達に生産活動を利用したプランテーション

  • ロベン島(南アフリカ):反アパルトヘイト運動の活動家たちが政治犯として収容された刑務所

  • アープラヴァシ・ガート(モーリシャス):インドからわたってきた労働者の迎え入れに使われた場所

  • ル・モーンの文化的景観(モーリシャス):奴隷の自由との戦いの象徴。

  • ポトシ市街(ボリビア):銀の採掘に多くの先住民が強制的に集められた結果、黒人奴隷と合わせて約800万人が犠牲になった

  • ヴァロンゴ埠頭考古遺跡(ブラジル):奴隷貿易のための港湾施設

  • ビキニ環礁核実験場(マーシャル諸島):ここでアメリカは12年間で23回もの核実験を行いました。(マーシャル諸島では合計67回)。

  • アウシュヴィッツ・ビルケナウ ナチス・ドイツの強制絶滅収容所(1940年-1945年)(ポーランド)

  • バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群(アフガニスタン):2001年にはイスラムの偶像崇拝禁止の規定に反しているとして、当時のアフガニスタンのタリバン政権はバーミヤンの大仏の破壊。

  • モスタル旧市街の古い橋の地区(ボスニア・ヘルツゴヴィナ):モスタルの象徴でもあったスタリ・モストですが、1992年に勃発したボスニア・ヘルツェゴビナ紛争で破壊。

  • オーストラリアの囚人遺跡群(オーストラリア):囚人遺跡群

  • 原爆ドーム(広島平和記念碑)(日本)

  • ソロヴェツキー諸島の文化的・歴史的遺産群(ロシア):16世紀のリヴォニア戦争、17世紀の大動乱期、クリミア戦争、ロシア内戦と外敵を避け続けました。17世紀に起こった「ソロヴェツキー修道院における反乱」でも、修道院を占領できたのは内通者の手引きでした。十月革命後、修道院は閉鎖されロシア国内初の強制収容所となります。


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