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堀江裕子さんの写真集

裕子さんがうちのカフェにいらした時、
少し不機嫌な様子だったので、
会計の時に「ごちそうさま」と少しだけ口を動かして言ってくださった時は、強い印象を受けていた。
それからよく来てくださるようになって、買ったばかりのデジタルカメラを箱から出し、説明書を読みながら、コーヒーを飲む姿はまたまた印象的だったのを思い出している。
「私、写真撮るの好きなんです」とお話を少し。
今からこのカメラで写真を撮るんだとおっしゃって、説明書を読みながら、
カメラの動かし方、操作の仕方を話したり。
それからは写真を撮りに行った話、旅人に出会った話、好きな物への熱意、ライブパフォーマーのカッコよさなど、沢山の話をしてきた。

あれから、もう6〜7年が経つかな
「写真集出そうと思って」

それがこれだ

植物、枯れているのにピンッと立っている草。花の断面、雨粒、透けるように細いのに強い白樺の木。

植物は私の知り合いの誰かに似ている。

この枯れているのにシュッと立っているのは、認知症と癌を患っているパパだ。
しなやかで裏表があるこの草はあの子だ。
頼りなげで実は硬い茎のこの枝はアイツだ。

なんとなくいとおしく思いながら、
なんだか泣きそうになりながら、
おおおおーと何かグッときながら、

色んな人生経験がぼろぼろとはがれ落ちて、
なるほどね!と思わせられている。←今ここ

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