珈琲と私〜48〜

撹拌の極意!

こんばんは、マスター吉良です!

「珈琲と私」第48回です。

今日もサイフォンのお話です。

「サイフォンのお話〜4〜」
サイフォンにとって重要な作業【撹拌】についてお話します。
【撹拌】とは簡単にいうとかき混ぜることです。
そしてサイフォンにおいて味を出す上で非常に重要な工程となります。
撹拌については、様々な考え、方法がありますので、吉良流ということで聞いてください。
先にも述べましたが、撹拌は味を出す上で重要な作業ではありますが、
私は撹拌で味を出しているとは考えておりません。
私はサイフォン抽出の際、2回撹拌を行います。
お湯と豆が接触を始めてから行う第一撹拌、浸漬時間を計測してから行う第2撹拌。
第一撹拌は、お湯の上に乗った豆をかき混ぜるので、この時に味を出しているように見えますが、私の考える第一撹拌は豆とお湯をなじませる作業です。
なぜなら、サイフォンは浸漬法だから。
お湯に豆が漬かった状態で放置することでコーヒー成分がお湯に溶け出していくという
イメージです。
フラスコからお湯が上のロート部分に上がってくると豆を乗せて上がってきます。
豆の下部分は、お湯と接触が始まりますが、豆の表面はまだお湯と触れていないので
味は出ていませんよね。このタイムラグを少しでも無くすために、第一撹拌を行い
触れている部分と、触れていない部分とのタイムラグを無くすことで、均一に味を出していきます。豆全体がお湯に馴染んだら、浸漬時間の計測です。濃度はこの時間で調節します。
第一撹拌のやめ時は、ガス層、豆層、液体層の3層になった時にやめます。
第一撹拌をやりすぎると、一番上のガス層が壊れてしまい、香りが逃げていきます。
ですから、ガス層で蓋をするイメージを持ってもらうと良いかと思います。
良く香りがしてくるまで第一撹拌をっという方がいらっしゃいますが、
せっかくの香りですから、お客様にとっておいてあげると良いのでは?っと思います。
続いて、第二撹拌。
第二撹拌は濾過をスムーズにするための補助と考えてます。
第一撹拌後にできたガス層は浮力があります。
そのため第二撹拌をしてガスを抜いてあげないと、濾過の時間がバラバラになります。
豆の鮮度によってガス層の厚さが違いますから、当然新鮮な豆ほどガス層が厚くなり
浮力も大きくなります。浮力が大きいと濾過に時間がかかってしまいます。
ここがポイントです。
サイフォンは浸漬法。お湯に豆が漬かっている時間で味をコントロールしています。
ですから、お湯と豆が接触を始めてから、全てのお湯が豆を通過して下のフラスコに落ちるまで抽出は続いています。更に浸漬時間を計っているので、落ちる時間がまちまちになるとせっかく計った浸漬時間が意味をなさなくなります。
ですから、お湯の上がるスピード、第一撹拌の時間、浸漬時間、第二撹拌の時間、落ちる時間(濾過)を同じにすることが味作りを均一にするために重要となります。
簡単にいうといつも同じことを同じ時間でする事です。
何度も言いますが、サイフォンは浸漬法ですから、お湯と豆が接触している時間に
味が出ているということです。常に同じ作業を同じ時間ですることが1番重要と考えています。
プロの方は、同じ豆を使い、お湯が湧いてからロートを差した時に、タイム計測を始め、
ロートからフラスコに全て落ちた時にタイム計測をストップする。
この時間の差が無くせるように練習していくと良いと思いますよ。

このようなことから、私の撹拌の美学は「いかに少ない手数で撹拌をするか」です。
よく説明で使うのは同じ浸漬法の紅茶のティーバッグ。
味が薄いと感じた時、ティーパックを揺すると濃くなりますよね?
でも揺すり過ぎると濃くなりますが、渋みもでますよね?
コーヒーにとっては、この渋みはネガティブな要素となります。
撹拌で豆を何度も混ぜるということは豆に圧力をかけること、紅茶のティーパックを揺することと同じに要素となります。ですから私は少ない手数で撹拌をするようにしています。寿司職人の方が、手の熱をネタに伝えないために、なるべく握る手数を減らすという話を聞いたことがありますが、似てるような気がします。

撹拌って作業は混ぜなきゃいけないけど、混ぜ過ぎちゃいけない非常に繊細な作業なのです。

それではまた明日!

Coffee is Power !!

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