畠山美由紀＆藤本一馬「夜の庭」Pre-Release Live @象の鼻テラス

2022年11月4日 01:29

2022年11月3日（木）19:00開演／18:30開場
会場：象の鼻テラス
ボーカル：畠山美由紀／ギター：藤本一馬／チェロ：伊藤ハルトシ

はじめに

夜の港の風景が見える会場でギターとチェロとボーカルだけの静謐な音楽。期待以上の美しい音楽体験でした。先行発売のサイン入りのCDも手に入れて帰りました。

18:30に開場して整理番号順に入場、19:00過ぎに開演。最初に3人登場して畠山美由紀さんがマイクでお話しようとした瞬間に地震と緊急地震警報というアクシデント。後半にもまた鳴りました。

畠山さんはリバーブが強すぎて歌いにくそうで、何度もスタッフに下げるように指示してましたが、あまり変わらず。でも聴く方としては少しだけ強いかなとは思いましたが耳障りというほどではなく、楽器含め全体の音のバランスはよかったと思います。素晴らしい音質で聴けました。一馬くんのギターはやっぱり生がいいです。9月のオレペコのblue noteに続いてとなります。

私の隣の席の女性は畠山さんが歌うと毎曲ハンカチを出して目を拭っていました。畠山さんのライブは複数の人のライブで遠目で何回か観たことはありますが、ワンマンは初めてです。前も普通にキレイな方だなと思っていましたが、近くで拝見するともっとキレイでした。こんな表情豊かに歌う方だったんだとあらためて思いました。

象の鼻テラス

「象の鼻テラス」は横浜の「象の鼻パーク」内にある建物で、普段はカフェです。そもそもこの「象の鼻パーク」という公園ですが、もとは横浜で最初の本格的な波止場で、堤防の形状が象の鼻に似ていたことに由来しています。

私は赤レンガ倉庫の今はなきmotion blueに通っていた頃、ライブの後みなとみらいに行く人並みにまざるのがイヤで、日本大通りに向かう時がありました。この時通りかかる「象の鼻パーク」が気になっていましたが、入ったことはありませんでした。だから「象の鼻テラス」もどういう場所なのか全然わかりませんでした。建物か、もしくは屋外なのかすらも。調べればわかるのですが、何となく楽しみにとっておこうと。そもそもここに行きたくてこのライブに行くことにしたくらいです。結果、ガラス張りの建物でした。中には大きな象もいました。

曲について

2曲だけ先行配信されているものの、リリースもされていないアルバムのライブという試み。14曲のうちニューアルバムからの10曲、全部演奏しました。

先行配信の「新しい眼」と「夜の庭」をまずは2曲。藤本一馬作曲、畠山美由紀作詞。この二人、曲先のようです。後で演奏される「古い地図」もそうです。

畠山さんの2013年のアルバム「rain falls」から「かなえられた願い」。次にジョアン・ジルベルトの「estate」のカバー。

「If You Were Coming In The Fall」はエミリ・ディキンソンの詩に畠山さんが曲をつけたもの。Port of Notes「Luminous Halo」に収録されていますが、「夜の庭」ではチェロの演奏が加わっています。

「浅緋 -Asaake-」と「青藍 -Seiran-」は一馬くんのインスト。

「Sky And Sea (Blue In Green)」ですが、少しややこしい。「Blue In Green」はマイルス・デイヴィスのクレジットですが、ビル・エヴァンスとの共作かという説もあると一馬くんが話してました。その「Blue In Green」にカサンドラ・ウィルソンが歌詞をつけて「Sky And Sea」というタイトルで「Traveliing Miles」に入れています。この曲の演奏はすごい。

「Todo O Sentimento」はブラジルの歌手シコ・ブアルキのカバー。この曲がアルバムの最後なのはいいと思います。

「幸せでいて」「この空の下」畠山さんが作曲した曲は優しい。「If You Were Coming In The Fall」はフォークロア調です。ちなみに、一馬くんが作曲すると暗い。畠山さん、自分の歌詞は暗いとおっしゃってましたが、曲は明るく親しみやすい。アルバムは35分くらいで短いとのことですが、全然感じない。じっくりつくった感じのする、いいアルバムです。