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山岳国家ジョージアをユニークに描く『ゴンドラ』

東京国際映画祭2023がいよいよ開幕。実質初日の24日は、上映時間が夜の中東映画は見送り、ジョージア・ドイツ合作のコンペ出品作「ゴンドラ」を鑑賞。

ファイト・フェルマー監督は、ドイツ人だろうか。昔、日本で人気を博した、フィンランドのアキ・カウリスマキ作品をもっと幻想的にしたような不思議なテイスト。雄大な緑の山を上下する赤いゴンドラの乗務員2人の、突っ込みどころ満載の奇妙な体験が、流れるようにつづいていく。

こうした、ほぼゴンドラだけが舞台の映画が作られるのも、ジョージアが山岳国家だということが大きいのだろう。日本のように、観光やスキーのためのものではなく、生活に欠かせない交通手段になっているようだ。

そう考えると、ゴンドラが発明される以前のジョージアの人たちの暮らしは、いったいどんなだったろうとも思った。

そういえば、5年前に、今はない神田神保町の「岩波ホール」で、ジョージア映画祭で、ジョージア映画を何本か見たことがあったのだった。

「大いなる緑の谷」など、長い歴史的スパンでストーリーが展開される骨太の作品が多かった印象だった。
今回みた「ゴンドラ」は、そうしたジョージア映画群とは雰囲気が異なるものの、ジョージアという国の断面を、ゴンドラという重要交通手段に着目してユニークに切り取った作品といえそうだ。

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