ドイツ近代史の暗い影を描く『真昼の女』(TIFF2023)
東京国際映画祭2023のコンペティション部門に出品されたオーストリアの女性監督の作品。第一次大戦から二次大戦後までの激動のドイツを舞台に、看護師の女性主人公の半生を描く。ドイツ作家ユリア・フランクの小説が原作。
ワイマール共和制期の時代にベルリンへ上京し医師を目指す主人公の人生は、ナチスの台頭とともに次第に暗転していく。
その過程で、この国が経験したいくつもの痛ましい出来事が、主人公に苦難をもたらしていく。この作品が描いた時代は、日本も暗い闇の底へと徐々に落ちていくような時期だったといえるだろう。
作品のラストシーンで描かれる我が子とのエピソードも、終戦直後の中国大陸などで日本人が突きつけられた状況だといえる。ナチスによるユダヤ人迫害については、少し違った角度からストーリーに折り込まれる。「そういうこともあったのか」と驚きもあった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?