『純喫茶』の立ち位置
『メロンのタルト』を作ってみました。
タルトに使ったメロンが余ったので、そのメロンでメロンのシロップを手作りして、『メロンクリームソーダ』も作ってみました。
先日、『天然生活』をみていたら、メロンクリームソーダが表紙になってました。
『天然生活』の表紙がメロンクリームソーダって珍しいな、と思ってたら、やっばり、これはメロンのシロップから手作りしたクリームソーダであることがわかりました。(ちゃんとレシピが載ってました)
そのレシピを元に作ってみました。
よく知られてあることではあるけど、昔ながらのかき氷のシロップって、着色と着香で、『それっぽく感じる』ようになってます。
例えば『イチゴ』は、赤い着色料とイチゴの香りをつけただけで、イチゴ味に感じるようになってます。
そういうのを『風味』、わかりやすく言うと『フレーバー』と言って、そのものの成分が入ってるわけではなく、そう感じるようにしてあるだけです。
でも昨今のかき氷ブームで、かき氷は高級路線化していて、イチゴのシロップはちゃんとイチゴからつくってるところも多く、または、フルーツそのものを入れて楽しむようになってきていて、一杯1000円くらいします。
それはそれでいいな、と思うし、昔ながらのシロップのかき氷で、発報スチロールの容器に入ってて、一杯200円、とかもいいと思います。(大事なのは選べること)
昨今、『レトロ喫茶ブーム』とかなんとかで、やたらクリームソーダがもてはやされたりしてますが、、、中には20種類くらい選べる店もあるみたいで、全部コンプリートして写真撮ってインスタとかに上げてる人とかいるみたいですが、、、、あのクリームソーダにしたって(安いかき氷のシロップと同じで)、モナンとかダヴィンチのシロップをソーダ割りしてるだけで、『作られ方』を知ってしまえば、『なーんだ、そんなことか』って感じなのだけど、カフェスケールにしてもそれは同じで、『メロンフレーバーのシロップをソーダで割ったもの』をメロンソーダとして提供しています。
前々からこのメニューは無くしてしまいたい、と思っているのですが、お子さんにとってクリームソーダというのはやはりいつの時代も特別なドリンクであるみたいで、なかなか、無くすわけにもいきません。
その一方で、『天然生活』に載ってたように、季節の果物を使ったクリームソーダというのも、いいな、と思ってしまいます。
一杯、、、1000円くらいの。
イチゴの季節はイチゴのクリームソーダ。
メロンの季節はメロンのクリームソーダ。
やまももの季節はやまももの、マンゴーの季節はマンゴーの。
そんなクリームソーダがいいですよね。
そんなわけで手作りしてみたメロンクリームソーダ。
生のメロンに水と砂糖とハチミツを足してミキサーで撹拌しただけのシロップなので、ちょっと『青くささ』というか『水っぽさ』が気になってしまいました。
手鍋でメロンと砂糖と一緒に煮詰めてシロップを作った方が美味しいかもですね。
さて、話は変わりますが。
1999年の12月。
私が京都の大学生だった頃、三条大橋の鴨川沿いに、スターバックスコーヒーができました。
それが自分の中では象徴的な出来事で、京都におけるシアトル系コーヒーの始まりだったように思います。
大学のゼミで一緒だった女の子が「鴨川沿いのスターバックス行きたい」と言うので「スターバックス?何それ?」と言うと「え?知らないの?スターバックスコーヒー」と言われました。
田舎者の私は、その時に初めて、テイクアウトのコーヒー(紙カップに入ったコーヒー)のお店があること、そして若い女の子がコーヒーを飲む、ということを知りました。
それまで、コーヒーといえば、タバコを片手に新聞を読みながらおじさんが飲むもの、というイメージだったので....
三条大橋のスターバックスで初めてエスプレッソコーヒーや、ラテとかフラペチーノとかマキアートとかいう単語を知りました。
全面禁煙。
喫茶店ではなくカフェ。
2000年代開業の喫茶店で『喫茶』を名乗るお店はほとんどなく、ほとんどが『カフェ』を名乗っていたと思います。(スケールも同じ)
昔ながらの『タバコ片手にコーヒー飲みながらスポーツ新聞』という喫茶店は、今や絶滅危惧種だと思います。
今、甲斐みのりさんの『愛しの純喫茶』という本を読んでいますが、この本を読んでいると、いわゆる『純喫茶』はもはや定義しづらく、かなり現代的な解釈で語られています。
調度品にこだわりがあって、ノスタジックを感じる昔ながらの店、という感じです。
『昔ながらの』というのがキーワードな気がします。
フードがあるとしたら『トースト』『サンドイッチ』『タマゴサンド』『スパゲッティナポリタン』とかそんな感じで、『それ以上凝ったものを出すのは純喫茶ではない』くらいの感じで、ある意味、『純喫茶を名乗るのならば、メニューのクォリティを上げてはならない』と言う謎のルールを暗黙のうちに課しているような気もします。
この甲斐みのりさんと、難波里奈さんの2人が、昨今の『レトロ喫茶ブーム』『純喫茶ブーム』の火付け役であることは間違いないですが、多分、彼女らの言うところの『純喫茶ブーム』って、『一周回っておしゃれ』『一周回って可愛い』というところで、ポイントは『一周回って』、という部分です。
先日noteの方で引用した堀部篤史さんの『喫茶店のディスクール』でも言及されていましたが、本来は『身内』を相手に商売が成立していた時代....京都の人が京都の人を相手にしていたローカルなサービスを、『それこそを写真に収めてSNSにあげたい』という人が増える。それが起死回生につながり(いわゆるブームになり)、お店の売り上げが上がった店もあれば、その要望にうまく応えられずストレスに感じて店を畳んでしまう店もある。
クオリティに関してそこまで求められてはいなかった(重要なのは空間の提供)、ものの『純喫茶ブーム』によって『逆にそれがいい』という価値観が広がり、お店を経営している側から見ると困惑したり『珍現象』ともいえる状況が来ています。
何がなんだかよくわからない状況の中で、いかにして自分の立ち位置を定めるか....それを見極めるためにも、喫茶店やカフェの歴史や流れを知ることは重要だと思っています。
noteの記事も更新が100回以上を数えましたが、この100回以上の投稿を通して、『カフェとはどうあるべきか』をずっと綴っています。
(というか、それをずっと綴るために、noteをやっています。)
『凝ったものを提供しない』(しかも低価格帯で提供する)のが『純喫茶』なのだとしたら、カフェスケールの立ち位置のそれは、『純喫茶』ではないのだと思います。
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