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小宇宙

小学校の頃は、自力で歩いて行ける範囲が、世界のすべてでした。
だから、徒歩圏内の「Aコープ」へ行くのですらテンションⅯAX。
それが成長とともに、バスや電車や飛行機で移動できるようになり、世界はだんだん広くなりました。若い頃は、そうやって少しずつ行動範囲が広がるのが、嬉しくて楽しくてワクワクしたものです。

そして今、定休日にマイカーで市街地へ降りるだけで、そこそこワクワクしています。ふだん、ずっと店にいるから。
世界、ずいぶん小さくなりました。
 
でも「世界」の広さって、移動距離で決まるのでしょうか。
もしそうなら、どんどん「世界」を広げるためにはどんどん遠く離れた、宇宙の彼方まで出かけないといけません。
世界中のより多くの人と繋がれば繋がるほど、より「世界」は広くなるのでしょうか。それもちょっと違う気がします。
 
たとえ一つの場所にじっとしたまま、たくさんの人と交わらなくても、自分の中の小宇宙は、無限に広げることができるはずです。
本を読んだり、自然を眺めたり、本当に大切な誰かを思いやってみたり。
そうやって広げることができるから、「小宇宙」なのだと思うのです。
 
雪に埋もれた小さな店で、そんなことを考える移動距離も交友関係も器も狭小の店主です。

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