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第16回 Art Lab Ova 「日記から」

最近ダンボールの家を作っては壊すを繰り返している子。
今日も部屋の中の小屋に大人を招き入れる。
はるか遠く部屋の入り口から双眼鏡片手に要求に応えようとする大人もいる。

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縮小された密室でかくれんぼ。
あなたからは見えるけど、わたしからは見えない。
在るのに見つからない。
高揚と焦燥。
何度も繰り返す。

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呼吸をする様に側転をしたり大声を出すこどもたち。
昨今やたらと警察が来る。
向かいの窓の人影。
通りの人々の視線。
誰の通報かはわからない。
こどもが路上でコマを廻す。
通りすがりのおじさんがじっと見ている。
そしてゆっくりと近付いて来る。
「やらせてくれる?」
宙を舞い手の平で回るコマ。

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3 世代 5 人家族と本場の火鍋。
「おばあちゃんがドンドン食べなって」
通訳するこどもの声。
直箸は気の置けない仲間の証。
ガツガツ食べる。

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余ったパンを寄付してくれていたカフェが閉店。
最後のパンを頂戴にあがる。
田舎に避難と言う名の移住をしたオーナーは二度と戻らない。
店内は突然残された荷物とスタッフの困惑で満ちていた。

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助成金をもらって配食サービス。
きょうはネパールの子のお店のカレー。
「おじいちゃんがアルコールで暴れて夕飯が作れない」
という子に渡した。
期せずして初インドカレー。

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凧にアプローチ。
距離をとることで生まれる達成感。
新しい経験。
「見て見て!」
"凧揚げのスキーマ"の隙間を走り抜ける。
街の静けさ。
風景は正月。

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Art Lab Ova(アートラボ・オーバ)は、日常の風景・場景の奥行きと広がりをみつめ、それらの〈状況〉に対して同じ日常の地平における関わりとしての表現を試行している。
2015年から近隣のこどもたちに拠点であるアートスペース「横浜パラダイス会館」を開放し、2020年1月時点で中国、コリア、フィリピン、タイ、ネパールなど、主に海外につながる子たちが毎日20人ほど集っていた。
2020年4月9日以降も毎日4~5人のこどもたちがやって来ている。

よこはま若葉町多文化こども企画
https://www.facebook.com/kidsinparadisehall/

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