第14回 大岩オスカール 「変化していく世界」
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第14回 大岩オスカール 「変化していく世界」

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自分の考えを作品にしていくのが僕の仕事だと思っていますが、それが人の目にふれるまでには色々な人が関わってくるので、ある程度のコミュニケーション能力も必要になってきます。色々な言葉を話せるだけでなく、自分と全然違う文化、年齢、タイプの人たちとどう心を通わせていくかをマスターしなければなりません。僕はもともとあまりおしゃべりではありませんし、メールを書くのが大好きでもないし、携帯電話にくっついているタイプでもありませんが、なんとか必要な時には幅広くコミュニケーションをとっています。

この一年の間、日本に戻ったり、他の国に行ったり、展覧会やプロジェクトでよく旅をしてきました。特に去年は忙しい年で、ニューヨーク、ロサンゼルス、金沢、パリ、ブリュッセルと上海で仕事をしました。今年も同じようにいくつかの用事が入っていましたが、コロナウィルスのパンデミックで突然生活が変わってしまいました。今までのように地下鉄に乗ったり、スタジオに通ったり、街を歩いたり、映画館で映画を見たり、友人と会ったりできなくなってしまい、隔離生活の中、外に出るのは食料品の買い出しか、ちょっと外の空気を吸いに行くだけになりました。

進行中のプロジェクトや展覧会は全て延期されました。都市はパンデミックの中核になり、住民は誰でも今までよりも難しい生活を強いられています。多くの人が職を失い、請求書の支払いに絶望的になっていて、世界中どこをみても元気の出るニュースなど見当たりません。多くの国が国境封鎖を行っています。アメリカの大統領の施策は最悪です。現在ニューヨーク市だけで、30万人の感染者と2万人の死者が出ているそうです。 外に出るのが怖い、人と会うのは不可能。路上にはお腹をすかせて、お金をねだるホームレスが増えている感じがします。

僕が普段通りのクリエイティブマインドでいられるために何ができるか?それもマンハッタンのマンションに籠ったままでできることを考えました。幸い僕は自分が感じたことを作品化するスキルを神様から授かっているので、この力を使って新しい試みのデジタルで描く日記風ドローイングシリーズを始め、隔離生活の真っ只中の空想の旅を思いつきました。

これから、世の中はどうなっていくのでしょうか。多分夏あたりには、マスクをして社会的距離をとりながら、なんとなく 動いていくのではないかと思います。 ウィルス対策の研究やワクチンが開発されて、飛行機も飛び始め、人間もまた移動するようになるでしょう。しかし、以前のようには経済はダイナミックに動かないでしょう。 失われていくものと、新たにでてくるものが現れてくるでしょう。ただ単純に店やサービス業が閉店して、時代に合わせた新しいビジネスが生まれるだけではなく、現在の政治のモデルや産業のやり方自体が変わっていくのではないかと思います。今までの社会では、敵は必ず他国でした。そのために、莫大な国家予算を軍事に回してきました。でも、戦争と同じぐらい人を殺している今回の原因は病気です。マクロ経済的に考えると、税金の形で集められた人々の労働時間をもう少し効率よく人に役に立つものに使う必要性があるのではないかと思います。

今回のように地球規模で社会が一旦停止することは、これからもあまりないことだと思います。世の中が新しくスタートする時には、社会のシステムが多少変化しているでしょう。人間は問題にぶつかることで答えを考えます。 個人であろうが、国であろうが、教育や知識の高いところから新たな道を素早く見つけていくでしょう。その変化について行かれないものは置いていかれて、それによって貧富の差が更に広がっていくでしょう。 人類の歴史はこの繰り返しであると思います。

このようなことを考えながら、Quarantine(隔離)シリーズのドローイングを描いています。

*このドローイングシリーズはこちらで公開しています:
http://www.oscaroiwastudio.com/oscar_website/pages.html/quarantine.html

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作品タイトル(掲載順)
Queensboro Bridge, New York, 2020, digital drawing, 56 x 76 cm
Times Square, New York, 2020, digital drawing, 56 x 76 cm
Serra do Mar, São Paulo, 2020, digital drawing, 56 x 76 cm


大岩オスカール
-1965 サンパウロ生まれ
-1989 サンパウロ大学建築学部卒業
-ニューヨーク在住 -
■主な個展
-2020 眠る世界の夢 カリフォルニア州立大学パシフィックアジア美術館 / パサデナ USA
-2019 大岩オスカール リオ、東京、パリ パリ日本文化会館 / パリ
-2019 大岩オスカール 光をめざす旅 / 金沢21世紀美術館 / 石川
-2016 世界は光に満ちている アートフロントギャラリー / 東京
-2012 Traveling Light アートフロントギャラリー 渋谷ヒカリエ キューブ / 東京
-2012 Traveling Light クムサンギャラリー / ソウル
■主なグループ展
-2019 上海都市空間芸術季 (SUSAS) / 上海、中国
-2018 終わりのむこうへ:廃墟の美術史 渋谷区立松濤美術館 / 東京
-2017 北アルプス国際芸術祭 大町温泉郷 / 長野
-2016 瀬戸内国際芸術祭 男木島 小豆島 / 香川


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アーティストの言葉、今後もアップしていきます。
1997年から2016年まで、東京の下町、墨田区の向島で活動。2017年11月、京都の上京区に移転し、NPO ANEWAL Galleryとのコラボにより、ANEWAL Gallery 現代美術製作所の名でアートスペースを運営しています。