CAEエンジニアは定量評価できない解析は使えないと言う人とどのように向き合うか

メーカー内のCAE活用において、キッチリV&Vを実施してCAEによる定量評価を可能にしたうえで使うという使い方は一部の大手企業を除いて難しいのではないかと思っている。それはV&VをしてCAEで定量評価できるようにすることは理想ではあるものの、そのためにかかる時間とお金を多くの企業(特に中小企業では)では捻出することができないと思っているためである。そのため、私はCAEで定量評価はしないし、社内では決して定量的な議論をしない。極端なことを言うと、CAEで定量評価するという使い方そのものが間違った使い方だと言っている。もちろんこの前提にあるのはV&Vを実施していないCAEにおいて、というのが付くが、、。

ではどのようにCAEを活用しているのか。
それは設計探査で定性的な傾向や寄与を把握する解析か、現象やメカニズムを把握するための解析のどちらかの使い方をしている。

もちろん、このどちらの使い方も定量評価のCAE解析結果とは異なり、CAEエンジニア以外の人たちにはその結果をそのまま渡したところで理解されることはない。ではどうするのかと言うと、定性的なCAEの結果を相手が理解できるまで徹底的に説明を重ねコミュニケーションをとる。それはCAEを専門としている人以外には、設計探査や解析結果による現象やメカニズムなどの定性評価はわかりえないためである。この説明責任をきちんと果たすことができるれば、何も定量評価にこだわらなくともCAEは十分に活用可能である。そして、定量評価できない解析は使えないというCAEエンジニア以外の領域の人たちに対しては、定性評価をもとに徹底的に説明を尽くせば理解してもらえる。理解してもらえないのは、説明が足りていないか相手との関係性ができていないためであり、後者であれば解析結果以前に相手の潜在ニーズを把握することに努める必要があると思う。

むしろ、V&Vにこだわり定量評価しか認めないCAEエンジニアの方が厄介であるとさえ思う。そのような人たちは相手に対する説明責任を果たさずコミュニケーションができないがために、誰もが見て明確な数値という絶対的な値でしか議論できないのではないかと思う。


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