こんな時にしか記事を書けない可哀想な女

散々だった。

ここ最近散々だ。好きだった男には振られた。いけると思っていた会社は2次面接で落ちた。一番行きたかった企業に書類で落とされた。自粛。オンライン授業。10時50分に始まる二限すら出なかった。好きだった曲は聞き飽きた。ご飯を食べる気にすらならなかった。今日は雨だった。

あー。知らない男と寝よう。

ほぼ4ヶ月セックスをしていなかった。セックスは好きだ。けれどリスクを負う行動は好きではなかった。さらに、私は人を本当に好きになると意味もなく一途になれた。しかし一途になった相手は特に変わった様子なく他の女を抱いていたようだった。

ありえないほど家が遠いやつのところへ行った。電車で1時間もかかった。これで乗り換えがあったら絶対に辞めていた。何かを終わらせたかった。誰とでも寝れる最悪でサイテーでしょうもない女になりたかった。気を紛らわせたかった。色々あったけれど、本当の理由は分からなかった。心がただ虚しかった。行きの電車ではぼーっとしながら就活対策の時事問題のテキストを眺めた。

全くもって相性は良くなかった。セックスもよく分からないセックスだった。最中にありえないほど相手は萎えたし私もわざとらしく喘いでいたと思う。後半になると気持ち良いよりも疲れたが勝った。性格は悪くなかった。人肌に安心した。

電話しようよ、かれしに。

セックスの途中で言われた。私があまりにもびっくりした顔をしたから相手は萎えてしまった。はっきりとした声で「いやだ」と言った。

電話してしまえばよかったんだと思う。そうして振った直後に知らない男に抱かれてあまつさえ最中に電話までかけてくる最悪な女をやったらよかった。そしたらすっきりしただろう。すっきりはっきりと諦められただろう。はっきりしない性格の彼は、別れ際すら曖昧だった。変に期待するより自分からそうやってしまえばよかった。

こんな状況でさえ、嫌な女だと、尻軽で最悪な女だと思われるのが嫌なのだった。重くていいから誠実だと思われたいなんて、どれほど傲慢か。それはもう、好きで仕方ないようだった。激しく惨めだった。

家の遠い知らない男のイントネーションが、聞き覚えのある関西弁だった。

関西のどこなの。

兵庫。

え。

神戸だよ。

ええ。

神戸の男としか出会えないのか。全く才能がない。あー、またタバコだ。タバコを吸う男。


あーもう。辞めよう。それか、タバコでも吸いはじめてしまおうか。そんな勇気はないか。なんだかんだ、長生きがしたいし。笑える。今日も爪は伸びる。ご飯を食べなくても、好きな男とうまくいかなくても、授業をサボっても、感染症が流行していようとも。どうしようもない。私が生きていることはどうしようもなく止められなくて、別に止めたいとも思わない。何か新しい音楽にはまろう。それがいいだろう。きっと。他人に本気になることが怖くなった。まあいいや。しょうがない。あ、香水。女もの。DIOR。セックスの後のこれが嫌だ。いやだけど好きだ。

でも、いっときいらないな。


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