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2020/05/01 距離、だいじやよ

この記事はマンガの制作記録です。

最近は週に1回くらい、出版社の編集者さんにネーム(マンガの設計図)やアイデアを見てもらっている。
出版社に行ける場所に住んでいるけれど、今は距離がだいじなので、メールや電話でのやりとり。

はじめて連絡をいただいたタイミングが絶妙で、一度もお会いしていない方もいる。
「早くお会いしたいですね」と話してはいるけれど、会わないまま作り続けるのは、作品にとってしあわせなことなのかもしれない、とも思う。

音楽家・高木正勝さんが、お仕事を受けるときの考えとしてこんなことを言っていて、何だか良いなーと思ったのだった。

距離、だいじやよ。自分も疲れへんし、相手も変な気を使わんで、ちゃんと注文してくれるし。
http://milieu.ink/interview/takagi_masakatsu

(この記事はとてもおすすめで、肩の力がほどよく抜けます。たいこをポンッとやりたくなるのです。)

昨日は、毎回楽しみにしているマンガ連載が休載になるというお知らせを見た。前から大好きな作家さんで、Twitterでも追っかけていた。ご本人の投稿で、ご病気による休載であることを知った。

そんな素敵な作家さん達を支えている編集さんにアイデアのかけらを送りつづけている物好き、それが自分の現状。いただいた分でさえ返せているとは思えないけれど、返せるときはきっと、そんな作家さんたちと並んでもいいくらいには良い作品が描けたときかな…。でもそういうときに病気で描けなくなったとしたら、自分だったらとてもやりきれないと思う。

すこし前に、「マンガ描きとしてどうなりたいか?」「何ができれば、うまくいっていると言える?」とえんえん考えたことがある。むかし、拾ってくれた編集長さんにふと聞かれたこともあった。結局、答えは出なかった。
そこで考えるのをやめても良かったんだけれど、「逆に失敗って何だろう?」と思ったら、すぐに答えが出た。

唯一の失敗は、「描けなくなること」。

そういうわけで、マンガのことで何かに迷ったら、「少なくとも、どっかの時点で描けなくなってしまうほうは間違い」だと思うことにした。
瞬間最大風速の新記録に挑むように、短期間しかできないような無理をして頑張る人を見て「自分は頑張れないから駄目だ」とへこんだりもした。でもこの結論が出てからは、「頑張りすぎて5年後に描けなくなってたら意味がない」と思うようになった。
いんたーねっとでつながる世界では、急に近づいたものは、急に離れていくような気がしている。
出来るだけ息の長くなる選択をするようにしても、防げないことはもちろんある。けれど、後悔は減る…と思いたい。

そのような感じで、マンガとの距離をだいじにしていきたいな、ということはよく考えています。
思い立ったらまた文章を書きます。

途中で書いた高木さんの音楽は素敵なので、聞いてみてください。
ピアノが主役の曲が多いです。
最近気分が落ち着かない人におすすめ。
湧き水のでる山にいるような気分になれます。

高木正勝
・Girls 
https://youtu.be/P-tT6fu1I8k
・Marginalia #1
https://youtu.be/0tjsiZcGk6Q

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