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デアデビル2期-①「DAREDEVIL: guardian devil」


情報

ライター:ケヴィン・スミス

ペンシラー:ジョー・ケサダ

収録:daredevil(1998~2011)#1~8

本書はオーディオブック化もされており、購入できる。CDも一応発売されている模様。


あらすじ

カレンペイジがマットのもとを去り、悲しみに暮れるマット。だが街はお構いなし。マットは赤ん坊を連れて逃げ惑う少女の心音を察知した。マットは彼女を追っていた謎の男達の妨害はしたものの彼女を見失ってしまう。フォギーの扱うクライアントの話をしている最中、マットは再び彼女の心音を掴む。なんと彼女は知りもしないはずのマットの弁護士事務所に来ていた。彼女曰く、彼女の守っている赤ん坊は、わずか15歳の彼女自身の子供で、しかも彼女の身体は処女だと言う。その赤ん坊は救世主であり、デアデビルであるマットマードックが守らねばならないと言い残しその少女は去ってしまった。不可解な事態に巻き込まれたマットは調査を開始する。

感想

デアデビル2期の始まり。謎がなぞを呼ぶ伏線に加え、2期の幕開けに相応しいデアデビル史上きっての大事件を迎える本書。これは僕が初めて読んだデアデビルの原書で大変思い出深い。子守をするブラックウィドウやデアデビルを手伝うドクターストレンジと、ゲストも豪華。デアデビル1期の歴史を踏まえたセリフが多々あり、本書のセリフが読み辛いこともありデアデビル初心者にはあまり向かないかもしれない。でも映画的なストーリーとクライマックスのカタルシスに心を奪われる読者も沢山いるはず。



ストーリー詳細※ネタバレ有

※原書を読む上での参考にしてください。原書未読の方は読まないでね。

赤ん坊を預かったマットは、控えていたブラックウィドウ宛緊急連絡先に電話。ブラックウィドウに赤ん坊を預け、赤ん坊の情報を調査しに行く。記事によれば、ちょうどある病院で幼児殺人事件があった後で、惨劇が報告されていた。あの赤ん坊の情報は無く謎。その時丁度マットのもとになぞの老人が現れ、彼にその赤ん坊が災いを呼ぶ反キリストだと語り始めた。その赤ん坊を始末しなければマットの周囲に災いがもたらされると説得されたマットは、次第にその話を信じ始める。マットは赤ん坊をビルから落とそうとするがすんでのところで踏みとどまる。ブチ切れたブラックウィドウは赤ん坊を預かり、マットは呆然と座り込むしかなかった。

少女を追いかけていた男達はガブリエルと名乗る男にお叱りを受けていた。ガブリエルは何かを企んでいる。

フォギーはクライアントのリディアを家まで送るが、なんとそのままリディアと寝てしまう。フォギーはリズ・アランと付き合っているのにも関わらず浮気してしまったのだ。彼が後悔に苛まれる隙もなく、リディアは一瞬化け物に返信したかと思うと窓に見を投げ出し死んでしまった。

カレン・ペイジがマットのもとに帰ってきた。カレンはHIVと診断されマットに助けを求めに帰ってきた。

リディア殺人の罪で逮捕されたフォギーは、フォギーとマットの所属する、フォギーの母ロザリンド・シャープの法律事務所から解雇されてしまう。マットはシャープを見限り同じくその事務所を後にする。

謎の老人はカレンにも接触し赤ん坊の始末をそそのかす。マットは誘拐され超感覚の効かない部屋に閉じ込められなぞの人物バールから話を聞く。脱出する際にバールの所持品を強奪。

マットはブラックウィドウが敵の手先であると思い込み赤ん坊を始末しかける。だが踏みとどまり、彼の母であるシスターマギーに助けを求める。試練に襲われるデアデビルは神とはなんなのかマギーと話す。

マットはドクターストレンジに反キリストの調査を依頼する。バールの所持品からは催眠作用のある毒があることがわかり、デアデビルがドクターストレンジを今疑い始め彼を襲おうとしたのもその毒のせいだとわかった。ドクターストレンジはメフィストを召喚し反キリストについて尋問するが、そんなものは存在しないとあしらわれる。※デアデビルは以前メフィストと闘ったことがある。メフィストを召喚した結界を閉じるストレンジ。メフィストはデアデビルの母が危ないと嘲笑いながら消えていった。

急いで協会に向かったデアデビル。そこには無数の死体があった。ブルズアイが赤ん坊を奪いに来ていた。デアデビルの攻撃も虚しく、アダマンチウムで強化されたブルズアイには叶わなかった。カレンはブルズアイを騙しデアデビルを助けようとするも失敗。命を落としてしまう。

精神的に深刻なダメージも受けながらもデアデビルは立ち上がった。マットはタークを縛りあげ、赤ん坊の居場所を突き止める。マットは敵の待ち構えるビルに向かっていった。

敵のいるビルには大掛かりな仕掛けがあったが、彼はその違和感に気づきコスチュームを着た偽物達を見破る。すべてを操っていたのはミステリオであり、彼は自分が腫瘍と癌で余命幾ばくもないこと、映画を超えるイリュージョンを夢見るも2流ヴィランとしての評判に落ち着いてしまったことを語る。彼が自分の人生のフィナーレに選んだのはデアデビルだった。この事件でミステリオは無数の罪のない人々を殺し、あの最初に出会った少女さえも殺し埋めていた。デアデビルは彼がただの夢見る3流であると吐き捨て、ミステリオが自分を殺せと懇願するのを無視した。ミステリオは逆噴射式銃で自殺した。

ミステリオの死が報道される。フォギーの罪は晴らされ、カレンの勤務先の保険が降りマットにその資金が渡された。カレンは、その何十年も先に年老いたマットが読むはずだった手紙の中で、その資金を他でもなくマット自身のために使うようにと伝えていた。

この悲劇の中で絶望したマットはスパイダーマンに励まされる。「だが君はあの赤ん坊を救った」

ブラックウィドウに自分が毒で理性を失って彼女を攻撃したと説得したマット。ブラックウィドウは彼に対し自分をいたわるように諭す。※ここでマットの過去の彼女の話やらなんやらが登場。エレクトラ、グロリアナオブリーン等。

フォギーとマットは、(デアデビル:ボーンアゲインでの出来事)吹き飛ばされたまま空き地になっていたマットの土地に、カレンの遺産で事務所を建てることを決意。マットが救った赤ん坊は養子縁組先が見つかり、マットはその赤ん坊にカレンと名付けた。


感想※ネタバレ有

ミステリオが死んだりカレンが死んだり色々起こりすぎ。大変。ミステリオとマットが死闘を繰り広げるといった真剣勝負感はなかったものの、死にゆくものが最後に負の遺産だけ残して死んでいくという悲しさが目立つ。マットは試練を受け入れまた前に進む。ミステリオは神話、キリスト教てきな脚本を書き、災いをもたらす反キリストや世界の救世主といった役割をでっち上げた。赤ん坊は嘘で固められた設定に、ではあるが救世主としてマットのもとに預けられた。それが最後の最後には皮肉にもデアデビルを精神的に救うことになる。デアデビルはカトリックであり、やはり本編でも触れられているが、ブラックウィドウはその反キリストや救世主といった世界観を一蹴したがデアデビルは一瞬信じるか迷ってる。デアデビルの信仰心が試される場面だと捉えることもできる。だがここでのポイントはデアデビルがこの試練を通じ、過酷な試練を耐え、新たな生命への希望を捨てず、人間への失望に堕ちずに済んだことだろうか。デアデビルが神を信じるかどうか、といった問題は明確に提起されていないと思う。シスターマギーとの会話で神について口論する場面があるが、マットは試練を通じたキリスト教的実存を内省する場面として実にデアデビルチックに描き出されている。ミステリオの描く偽物の神と、デアデビルのカトリックとしての信念が実に皮肉にもなり対比にもなり面白かった。他、伏線と大事件でてんてこ舞いでカタルシスで面白かったが、本書のライターが映画監督であることも影響していると思う。ケヴィン・スミスは映画デアデビルにもカメオ出演もしている。

ケヴィン・スミス曰く、デアデビルはアメコミ界のグレイトフルデッド。※この動画の日本語字幕付きは映画デアデビルの特典映像で見ることができる。

キャラクター※ネタバレ有

カレン・ペイジ デアデビルの初期からいる古株キャラ。マットと恋仲だったり離れたりしてる。筆者はまだ1期をほとんど読んでいないのであまり知らない。麻薬欲しさにデアデビルの正体を売り渡したり、女優になったりポルノスターになったりラジオジョッキーになったり激動の人生を歩む。HIVと診断されるも、ミステリオの嘘だったことが彼女の死後判明している。本書で、昔チアリーダーをやっていたりGPAが3.8だったリしたことが判明。そして本書で人生の幕を閉じる。彼女の存在はデアデビルにとって大きく、亡き後もマットに影響を与えていく。

リズ・アラン グリーンゴブリンの息子ハリーオズボーンと結婚していたことがある。スパイダーマンホームカミングでのヒロインとして実写化もされた。本書ではフォギーと付き合っていたが、フォギーの浮気により破局。 

ガブリエル ミステリオに雇われて活動した。パワースーツを着てバールに変装。本書のみの登場。バールというあの姿のキャラは別に存在する模様。詳しくは分からない(ゴメン)。

ロザリンド・シャープ ストーリー開始時点でマットとフォギーの所属する弁護士事務所の弁護士。フォギーの母親。フォギーが弁護士になったのは彼女の影響。正直あまり最近のデアデビルでは見かけない。

シスター・マギー マットの母親。マットは幼少期から母親は死んだと聞かされていたが、実は生きておりシスターだった。マットを助ける人々の一人。マギーは自分がマットの母だと明言せずはぐらかしがちである。だが本書ではマットに対し母としての面を許している。デアデビルに頻繁に登場するわけではないものの重要キャラである。

ブラックウィドウ アベンジャーズの一員。元ソビエトスパイ。スカーレット・ヨハンソン。ブラックウィドウは1期でデアデビルと付き合っていた。デアデビル誌はデアデビルアンドブラックウィドウというタイトルに変更されていた時期もあった。よくデアデビルに登場するキャラクター。デアデビルの前では小悪魔的な性格を覗かせることもある。

ドクターストレンジ 彼もニューヨークに住んでいる為デアデビルはご近所さん。サンクタム・サンクトラムに住む魔法使い。お手伝いのウォンもいる。デアデビルに(魔法で)背後から忍び寄り彼を脅かすことができる数少ない人物。ブラックウィドウほどではないがデアデビル誌にたまに登場する。

メフィスト しれっと出てきたがマーベル・コミック的には重要キャラ。地獄の王。超次元的な存在。超強い。歴史のあるキャラで、数々のヒーローたちと闘ってきた。昔デアデビルとも闘ったことがある。

スパイダーマン 言わずとしれた蜘蛛男。本書ではスカーレット・スパイダーのことも言及されてるけどそれについては各自調べて欲しい。デアデビルとは活動範囲が近いので仲が良い。プロ同士の仕事仲間的な側面が強めかもしれない。デアデビルに対して強く意見をできる数少ない人物。デアデビルが精神的に参ってる時に助けに来てくれたりする。デアデビルの正体は昔から(1期の頃から)知ってる。

ミステリオ いつもスパイダーマンと闘うヴィラン。スパイダーマンファーフロムホームの映画にも出てきたので有名になった。映画仕込の視覚効果で幻覚を見せる他、映画のように脚本を練りヒーローを陥れる。不本意ながら結局2流ヴィランになってしまったという妬み嫉みをこじらせた挙げ句、寿命が残り短くなったことも合わさってヤケをおこしてデアデビルを狙った。動機が不順で迷惑極まりなかった。

ブルズアイ 生きていてはいけないヤバい人。息をするように人を殺す。雇われの殺し屋。アダマンチウムで骨格を強化しているらしい。アダマンチウム製の拳が本書でデアデビルを圧倒した。何でも狙った場所に凶器を必ず当てることができ、それはどんなものであれ当たった場合致命傷になる(もしくは死ぬ)。バットマンでいうとこのジョーカー的な立ち位置のデアデビルの宿敵。デアデビルは相手の筋肉の動きや心音から相手の行動を一瞬早く読め、ついでに超感覚による超人的な空間把握能力も持っている為、ほぼ唯一ブルズアイの投擲物を避けることができる人物である。基本的に犯罪の動機は殺しの報酬の為だが、前述のデアデビルの能力のせいでデアデビルに対し特別な執着がある。本書では自分の前歯を投擲しサイコパス力を読者に見せつけた。

ターク 街のチンピラ。デアデビル名物キャラ。よくデアデビルにボコられて情報を吐く。とりあえずタークに聞いとけ感。街のタウンページ。


前巻

準備中

後巻



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