ドッペルゲンガー他人版

鬱で休職していると
テレビをよく見る。
他にやることも
やれることもないからだ。

ただでさえこのコロナ禍での
ステイホーム、
そんな人も多くいるに違いない。

その昔、美輪明宏が
「テレビはタダなんだから
まともな情報なんか流すわけない」
という意味の事をテレビで言っていた。
(ということはその発言自体も
意味のない情報ということになるが)

それ以来、
テレビとは完全に斜に接してきた私だが、
あの瞬間は
思わず持っていたグラスを
落としそうになった。
冬のソナタのユジンが
ミニョンに会った時の気持ちが
初めてわかった気がした。

人は誰しも
ある程度年齢を重ねていくと
何とも言い難い恋の思い出のひとつやふたつ、
否応なく抱えてしまうものだと思うが、

私にも例に漏れず、
忘れたい、というよりも
積極的には思い出したくない相手がいる、
辛く苦しくなるからだ。

それなのにあの日、 

「出た」

それは声楽家の方が
本当に歌が上手い日本の歌手を
ランキング形式で紹介していく、
という番組で、

もともと斜の私は
「〇〇ってことはねぇだろ」
とか
「△△って下手じゃん」
とか文句をいいながらも
そこそこ番組を楽しんでいた。

私にとって
斜に構えるということは
文句を言いながらも楽しむ、
ということらしい。

そんな時、である。

元カレが歌手の推薦を始めた。

へ?なんで?
転職したん?
カラオケ、下手だったよね?

しかし全くの別人であった。
名前が違う。

所謂「他人の空似」ってやつなのだが、
その空がね、
北海道の空じゃねぇの。
東京の空なの、狭くて近い。

ヤバァイ💦
と思って
Googleでその方の名前を検索してみた。

著名な方なようで、
動画や画像が沢山出てきた。 

テレビで見るより似ている。
もう同一人物と言っていい。

ただ、その歌声は
本当に素晴らしく
きっかけはどうあれ
すっかりファンになってしまった笑

もし、元カレが
この番組を見ていたら
ドッペルゲンガーで死んだと思う。
だが、まだ死亡の知らせは聞こえない。

よかったな。命拾いしたと思うよ。

間違っても
リサイタルなんか行くなよ、
私は行くけど笑

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?