【開催報告】9/21 生きてる図書館×れもんカフェを開催しました
9/21(土)に生きてる図書館×れもんカフェを西新宿にあるれもんハウスで開催しました。
生きてる図書館は生きた人間が『本』となり、『読者』に貸し出すデンマーク発祥のイベントです。今回はより気軽に来てほしいと思い、借りたい人だけ『本』を借りて読めるよう、借りない時にもケーキを食べたり他の読者とお話できるスペースを作りました。
当日は3冊の『本』をご用意。16名の『読者』に入館いただきました。
受付開始!
13:00に入館開始。受付で来てくれた『読者』に読書カードをお渡ししました。
読書カードには『読者』それぞれが予約している『本』とケーキ&ドリンクの名前が書いてあります。※申し込みの際に読みたい『本』と食べたいケーキ&ドリンクを選んでもらってます
『本』の思い出のケーキとドリンクを提供
『本』が選んだ思い出のケーキとドリンクをご用意しました。「とっても美味しくて、全てのケーキが気になった!もっと食べたかった」と大好評。
メニューから『本』を選んでいただくのもいいなと思います。「ウイークエンドシトロン食べてみたいな。このケーキがお気に入りのりんさんはどんな人なんだろう?」みたいに。
メニューからも『本』の人柄が伝わってきませんか?
読書の時間
入館から30分後、いよいよ1回目の読書の時間です。読書カードに書かれた『本』のいる場所へ。
今回は6〜8人の参加者である『読者』が1冊の生きてる『本』を囲みました。
1回目の読書の時間が終わると休憩& カフェタイム。しかし30分では足りなかったようでほとんどの『読者』と『本』がそのまま対話を続けています。休憩の30分間質問を続け、休憩なく次の読書に入る方も。
1回目の読書30分、休憩&カフェタイム30分のあとは本が入れ替わって2回目の読書の時間へ。今回は全部で3回の読書の時間がありました。
3冊の生きてる本
今回の『読者』はほとんどの方が3冊借りて読んでいました。それぞれの『本』の読書の様子と『読者』からいただいた感想も共有します。
Book No.1 『永遠の人生迷子』
『永遠の人生迷子』というタイトルで『本』になったゆうき【構築家-composer-】さん。
「人生の迷子」を愉しむようになったゆうきさん。『読者』から読みたいキーワードを選んでもらい、それに答える形で話していきます。
『読者』からの感想
「いろんなところに建築で養ったノウハウを活かしているというところに私も今までの経験を違う方面にも活かしていくとしたらどういうふうになるのかなぁと考えました。」
「何年か後に、続きがまた読みたくなる本でした。」
「自らを構築家と呼び、ポジティブに生きている姿に勇気をもらいました!」
「周りの期待に応えたり、優等生であったところから、自分の人生を生きていくストーリーはとても痛快で、私も同じような背景があったので希望を感じました。」
「一度手放すという恐れの先にある景色の愉快さを感じた気がします。」
Book No.2『私の頭の中に住む女性たち』
琴香【フェミニスト】さんは『私の頭の中に住む女性たち』というタイトルで『本』になってくれました。
『読者』が読みたい"章"を選び、琴香さんがゆっくりと話しはじめ読書がスタートします。
『読者』からの感想
「この本を借りて読めたことで、今まで自分でも気づいていなかったような傷みや、構造的な差別に気づくきっかけになりました。」
「自分のこと家族のことについて普段なら話されないような大切なお話を聞かせていただきました。」
「今回(自分より)下の年代の方の話を聞いて「私もあの頃そう思ってた!」と一瞬でその頃の自分が蘇ってきました。いつの間に私はその気持ちと現実の折り合いをつけてしまったんだろ?と気づきを得られたことはとても大きな収穫でした。」
「(生きてる図書館の)翌日、たまたま立ち寄った神保町の本屋でフェミニズム最初の一冊、と紹介されている本を手に取って購入しました。今まで開かなかった本のジャンルを開けるほどの、人を動かす刺激が『生きてる図書館』にはある、と思った体験になった回でした。」
Book No.3 『ちょうどいい私を探すための実験』
りん【アーティスト→美学者】さんのタイトルは 『ちょうどいい私を探すための実験』
名前を「自分で選んだ」りんさんが自身の半生を語りました。りんさん自身が作成した積み木のあそび道具や3Dプリンターで作った生き物のパーツを触りながら対話が進んでいきます。
『読者』からの感想
「『ルールが統一されていて、みんながそのルールを守るから、みんなが楽しく気分よく暮らせるんだよ』と子供にも教えていたので、ルールは一つじゃなくてもいいよね?という話がとても心に残りました。」
「ご自分が作成した3Dのパーツでみんなで遊んだ時はとても嬉しそうで、ものづくりがお好きなんだなと思いました。」
「お話しをきくうちに少しずつわかっていって、本当にパラパラと小説を拝見しているような感覚でした。」
「自分にしかない表現、自分にしか出せないメッセージ、それを明確にして社会とかかわることが、自分を生きていくということなのかなと感じさせられました。」
感想共有time
最後にその場に残ってくれた『本』と『読者』、『司書』そしてパティシエの全員で感想共有タイム。たくさんの方が気づきや感想を共有してくれました。
『読者』の視点
「感受するためには、日常の小さなことをしっかりと見つめて能動的に反応することを繰り返していかないと息するようには出来ないのかと思いました。とても今の私にとって大事な気づきでした。」
「あっという間の30分でした。(聞けなかった)他の章や続きも聞きたかった。」
「自分の考えていることと、全く違ったことを共有してもらって、すごくおもしろかった。 深い話ができて、新鮮でよかったです。」
『本』の視点
今回『本』としてお話してくれた3名にも感想や気づきをお聞きしました。
「時間が経てば『本』の内容も変わる・書き足される事もあると思うので、改めてやってみるとまた発見がありそうだと思いました。」
「30分があっという間で、実質休憩時間も含めた1時間ぶっ通しで話が盛り上がった。」
「いろんな質問が飛んできて新しい気づきがたくさんあった。普段人前で自分の話をする機会が少ない人)にこそ『本』をやってほしい。」
「自分の考えや思いを人に伝えることが、ほんの少しの間でも何かを変えるのかもしれないと思えました。」
意図的に『本』を傷つけてはいけない、でも何を聞いてもいい
生きてる図書館×れもんカフェの入館者には申し込みの際に以下のような同意書を確認して、同意してもらっています。
生きている『本』と『読者』を守るためのグランドルールのようなもの。
意図的に『本』を傷つけなければ何も聞いてもいい。
『本』は答えたくない質問には「それはこの本には書いてありません」と言って答えなくていい。だからこそ初対面でも『読者』は変に遠慮することなく聞けて、『本』は安心して話をできる。
色々遠慮しがちな社会だからこそ『本』と『読者』という役割をあえて作ることで安心して異質なもの同士が出会い、対話することができるのかなと思います。
これから
今後はオープンなカフェのような場所で生きてる図書館とカフェをやっていきたいと考えています。
ブックカフェのようなイメージで、そこにある生きてる本を読んでもいいし、読まずに一緒に来た人とお話したり、自分の作業をしてもいい。そんな空間。
ふらっとカフェに来て作業
→奥の方の席で『本』とそれを借りている『読者』の対話がなんとなく聞こえる
→気になってブックリスト(『本』のタイトルやあらすじ)を読んでみる
→「ちょっと話聞いてみたいかも」と思い、『本』を借りてみる
そんな風に出会うはずのなかった『本』と『読者』が出会う機会を創りたいです。いつのまにか分断された人と人が『本』と『読者』という形で出会い(または出会い直し)少しでも生きやすい世界になったらいいなと思います。
最後に
今回「何をやるのかよく分からない」状態でも「なんか面白そう」と言って来てくれた『読者』の皆さん、来れなかったけれど興味を持ってくれた方、多分不安も多い中引き受けてくれた『本』の3名、当日来てくれたカメラマンの稲橋さん、一緒に企画やあらすじ作りをしてくれたE.Oさん、そしてカフェのパティシエとして当日ケーキとドリンクを作ってくれたえっちゃん。本当にありがとうございました。
また、今回の開催にあたり東京ヒューマンライブラリー協会(※2)の坪井さんと高瀬さんにお話を聞かせていただきました。
情報保障については告知ページへの記載方法から丁寧に教えてくれた方もおり、大変ありがたかったです。
当日来ていただいた『読者』と『本』の皆さんからはたくさんのフィードバックもいただきました。変えていきたいこと、やりたいことが溢れてきて少しパニックになっていますが次回の開催に向けて進みます。
これからもどうぞよろしくお願いします。
※1)けーじろー:れもんハウスに遊びに来たヒッチハイカー、京都の建築学生。画像はけーじろーが描いてくれたパースに文字いれして使わせていただいてます。→けーじろーのInstagram
※2)東京ヒューマンライブラリー協会:ヒューマンライブラリーの普及と発展に貢献する事業を行う団体。
次回は10/17 木曜日に代々木公園でやります(10/3追記)
次回の開催告知noteはこちら↓
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