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#8 現場で行うコンクリートの試験は4つ

コンクリートは強度がもっとも重要だと言うこと、その上で硬化後にひびがないことも重要だと説明しました。

コンクリートは厄介で硬化後、失敗するとすべてやり直すためには破壊(はつる)する必要がありとても大変な仕事です。
そのため、完全に固まる前に試験を結果を出す必要があります。
マンション等のコンクリートを使用する現場で行われる試験は4つです。

これまでの試験に出題されていない試験もありますが、関連している問題は多く出題されています。

1、スランプ試験


工事現場で見かける三角コーンに似た形状の容器に固まる前のコンクリートを充填します。
これをひっくり返してその形状が破壊した高さ測る試験です。
水が多ければ崩れやすく数値は大きな値、水が少なければ数値は少ない値になります。
強度的には水分は少ない方が優位と言われています。(説明しました)
しかし、作業性(ワークアビリティ)が悪くなります。
建築用のスランプ試験の値は15〜18cm程度です。


スランプ試験

*Drスランプのアラレちゃん試験と覚えました。

2、空気量検査


コンクリートはセメント、砂利、水、骨材を混合して製造します。
混合はミキシングと言われその過程で空気が入り込みます。
この空気量は硬化した際の密度に影響を与え、過度な含有空気は強度を低下させる原因になります。
そのため固める前のコンクリート中の含有空気量を測定します。

測定器

容器に使用するコンクリート一杯に詰め、加圧することで中の空気量を測定します。
普通コンクリート、舗装コンクリートで4.5±1.5%、軽量気泡コンクリ一トで5.0±1.5%の空気量と規定されています。
一般の建物は普通コンクリートを使用します。
4.5±1.5%です。

3、塩化物測定
コンクリート中の塩化物イオン量を測定します。(コンクリート製造メーカーが出荷時に行うこともできる)
塩化物量はコンクリートの強度や耐久性に影響はしません。
ただし、塩化物が多いコンクリートは鉄筋を錆びやすくするデメリットがあるため、塩化物量の規格が定められています。
塩化物総量は原則として0.30kg/㎥以下に規制されています。

塩化物が入る原因としてはコンクリートに使用する砂利(海から採掘)の洗浄不足になります。

試験はカンタブと言う試験紙を用いて行うことが一般的です。

カンタブ試験法(モール法)

コンクリート中の塩化物とコンクリートの劣化を問う問題はこれまでも何度も出題されています。
塩化物の量がコンクリートの強度や耐久性に影響を与えることはないと覚えてください。
あくまでも過多な塩化物の存在が内部の鉄骨が促進させるために検査をしていることを覚えてください。

4、圧縮強度試験

試験自体は硬化後に試験室で行いますが、サンプルの採取は現場で行います。
1~3までの試験で合格であっても最終的な強度確認は必要です。
試験片のサイズの容器にコンクリートを充填します。
これを持ち帰り、一定期間(1週間後、4週間後)に圧縮強度試験を行い強度が基準値以上であること確認します。

建設現場で行われるコンクリートの試験について説明しました。
ここまで詳しく知る必要がありませんが、躯体のほとんどはコンクリートで出来ています。
コンクリートの性質を知るにはこのような情報を背景として知っておくと今後説明する劣化についても簡単に理解できます。


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