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登-14 仮登記ってなぜするの?

登記の仮登記はたまに試験にでます。
仮登記って何をするための登記なのでしょうか。

仮登記をする理由

仮登記の主な目的は2つあります。
1、登記申請に必要な資料が揃っていないが優先順位は確保したい。
(1号仮登記)

2、将来発生する権利として優先順位は確保したい。
(2号仮登記)

仮登記は権利の順番についての優先順が重要なことがわかります。

具体的にはどのような場合なのか?
1、必要な資料が揃っていない(1号登記)
例えば、不動産売買契約で売買契約は終了した。
すでに売買代金が支払われ、物件の引渡しも終了しています。
しかし、物件の所有権を示す登記識別情報がない場合は、仮登記を行うことで優先順位を確保することができます。

2、将来発生する権利の保全(2号登記)
例えば、不動産売買契約で売買契約が先行する場合があります。
後日、銀行の融資が降り、代金の支払いと同時に買主が所有権移転登録、金融機関が抵当権の登録を行うようなケースでは、売主が現金で支払う買主が現れて売ってしまうこともあります。
これに対抗するためには、万が一に備えて仮登録を行っておけば、例え現金で買った買主が移転登記を行っても優先して所有権を主張できます。

仮登記は登記のための「予約」という位置づけであることを覚えてください。

仮登記は効力はあるの?

権利の順位を保全する(予約)と言う意味では効力はありますが、登記本来の効力である第三者に対して対抗をする効力はありません。
あくまでも権利の予約になります。
仮登記がされた物権であっても抵当権登記や移転登記を行うことができます。
ただし、仮登記がされた以降に登記された権利は、仮登記を本登記した場合には優先します。

本登記って何?

仮登記を正式な登記に変更することです。
本登記も原則、共同申請です。

本登記で注意することは、仮登記以降に登記された人の承諾が必要になることです。
これを利害関係を有する第三者と言います。
仮登記後に抵当権設定、仮差押、移転などがなされた場合の登記名義人が利害関係を有する第三者に該当します。

宅建士の試験では頻繁に出題されます。

おい、移転登記って変じゃないの?

そうですね。
例えば所有者Aが二重売買した場合に移転登記される場合があります。(2号仮登記)
Bは仮登記をしています。
Cが本登記に承諾を出すとは思えませんよね。
このような時はAは裁判所を起こし判決を受けます。
この結果があれば単独申請ができることになります。
実際、悪質なCは裁判で負けることがわかっているため承諾をせざる得ないと言う訳です。

仮登記は誰ができる?

仮であっても単独ではできません。
登記の原則である「共同申請」になります。
登記権利者および登記義務者が共同して申請を行う必要があります。

だだし、相続は登記義務者が死亡しているため、共同申請はできません。
その場合は死亡が確認できる戸籍又は除籍の全部事項証明書(謄本)・個人事項証明書(抄本) (本籍の市区町村で交付)が必要になります。
また、裁判で確定した判決内容で登記申請を行う時は単独で申請することができます。

仮登記って抹消することはできるの?
仮登記の抹消登記仮登記を行うことができます。
抹消登記であっても単独ではできません。
登記の原則である「共同申請」になります。
*原則、共同申請は相続と裁判のことを示すと覚えましょう。
意外と大変でいろんな書類が必要です。

  • 登記申請書

  • 登記申請書登記済証

  • 印鑑証明書

  • 登記原因証明情報

  • 資格証明書

  • 委任状

仮登記、本登記は登記簿のどこに掲載されるの?
仮登記は順番に従い権利部(甲区)の所有権の下部に記載されます。
本登記は順番に関わらず、仮登記の下部に記載されます。
これで、仮登記と本登記が一目でわかるようになります。
わからない場合は、googleで「仮登記 記載例」で検索してください。
事例が確認できます。

以上が仮登記の説明です。
過去の出題数は多くありませんが、いつ出題されてもおかしくありません。

ポイント

◎ 登記の予約であること
◎ 1号仮登録、2号仮登記があること
◎ 本登記で効力をもつこと
◎ 仮登記、本登記、抹消登記のいずれも共同申請であること
◎ 仮登記後にされる登記が利害関係者になること
◎ 本登記は利害関係者の承諾が必要であること


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