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008-銀行口座の差押えを請求者が直接できるか?

問題

管理費等の未納により裁判所から債務者の銀行口座の差押え請求が認められた場合、管理組合(理事長、管理者、法人)は銀行に直接、差押え請求することができる。 これは正しいですか?

解答

「できない」

解答は50%ずつに割れました。
なかなか難しい問題です。
ただし、実際にマンション管理費等の回収では、不動産売却は抵当権の関係で目途が立たないことも多く、給与や銀行口座の差押えも多くあります。
是非、この機会に覚えてください。

解説

問題文の「銀行に直接、差押え請求する」の意味を考える必要があります。
債務者の銀行口座の差押えをする手順です。

差押えの手順

債務者の銀行口座差し押さえには、それを正当化できる理由が必要になります。
(1)裁判等により債務があることについて判決を受ける。 
(2)債務名義の獲得を行います。
(3)強制執行(債権差し押さえ)の申し立てを行う
(4)裁判所による債権差押命令の発行
(5)債権者による取り立てを銀行に行う

この問題のポイントは、誰が債務者の銀行口座に差押え命令を出すかと言うことです。

(3)の強制執行(債権差し押さえ)の申し立ては組合が行います。
これが認められると裁判所は銀行に債権差押命令を発行します。

債権差押命令は債権者、債務者、銀行に送達を送付します。
(債務者はこの時点で初めて自分の口座が差押えられた事実を知ることになります。)

命令を受けた銀行は口座の差押え(出金を禁止する措置)をします。
差押えがされると一定期間後に債権者は銀行に対して債務額(債権差押命令に記載された額を上限)の引出ができます。

これが一連の流れです。

命令後の入金には無効

債権差押命令が銀行に届いた時の残高に対して差押えがされます。
それ以降に入金があったお金については債権差押命令の効力は発生しません。
そのため、確実に口座にお金がある給料日に債権差押命令を出すように工夫をしたりします。

管理費の滞納者がサラリーマンだった場合は、銀行口座ではなく務める会社に対して給与を差押えることもできます。

このような場合は差押え相手が債務者が務める会社になります。
この会社のことを第三債務者と言います。

ポイント

強制執行が認められた時としてもそれを理由に、銀行口座を債権者が直接差押えることはできず、必ず裁判所から銀行に対して債権差押命令が出され、それによって差押えが行われます。

その後は、債権者が銀行に差押えた額を上限に引出を請求することになります。

不動産の差押え、競売は仕組みが違います。
いずれ出題するので楽しみしてください。




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