見出し画像

No-8 昇降機基本知識(2)

保護装置ー戸開保護装置

平成18年6月に東京都港区の共同住宅で発生した高校生の死亡事故を受け、平成21年9月28日以降に 設置するエレベーターには「戸開走行保護装置」の設置が義務付けられています。

これはEVの扉が閉まらない限り、昇降機が動かないようにする装置です。

しかし、まだこの保護装置を設置していないEVもあります。国土交通省は新築、更新時には設置義務があるとしていますが、それ以外の改修工事等による設置義務はないとしています。(既存不適格)
昇降機には年に1度の法定点検があります。
この点検では既存不適格の項目があり、特定行政庁はこの欄から既存不適格EVの状況を把握しています。

保護装置ー地震時管制運転装置

地震時のエレベーター内での閉じ込めを防止するために防災センター等の火災管制スイッチの操作や自動火災報知器からの信号により、エレベーターを一斉に避難階に呼び戻す装置のことです。
設置義務は平成21年9月28日以降に 設置するエレベーターについて「戸開走行防止装置」と共に建築基準法に定められました。

地震時にP波を感じることで最寄りの階に自動的に止まります。

*以前、P波とS波の速度を問う問題が出題されました。
速いス ピードで伝わる波をP波、伝わるスピードは遅いが揺れは強い波 をS波といいます。 P波は地中を秒速約7km(時速約25,200km) で、S波は秒速約4km(時速約14,400km)で伝わります。
P波は早い、S波は遅いが怖いと豆知識として覚えておくのも良いでしょう。

この装置も設置義務は平成21年9月28日以降です。それ以前の昇降機は既存不適格です。

火災時、地震時の停止階

昇降機の火災や地震時の停止位置は異なります。
これは頻繁に出題されます。必ず覚えてください。
火災時・・避難階に停止(1階とは限りません)
地震時・・最寄りの階に停止

閉じ込め時の対応

昇降機には管制室と連絡ができる装置の設置が義務です。
EVに乗った時「非常時」と書かれているボタンがありますよね。
あれです。
押すと各メンテナンス会社の管制室に繋がります。

*大きな地震が起こると昇降機への閉じ込め事故が起きますが、勝手に動かすことは出来ません。必ずメンテナンス会社の専門家が再スタートをする必要があります。同時に起こりるEVの閉じ込め事故ですが復旧が遅くなる理由はひとつひとつ手作業で復旧させる必要があるからです。

事故時の報告義務

昇降機は一つ間違うと人命に関わるため、不具合が発生した時は保守点検業者に不具合に関する作業報告書を提出させることが義務です。
これは所有者の義務とされ、マンションでは管理者、理事長が相当します。

「人身事故が昇降機における死亡若しくは重傷又は機器の異常等が 原因である可能性のある人身事故に相当する場合は、昇降機事故報告書によ り速やかに特定行政庁に対して報告するものものとする。」(昇降機の適切な維持管理に関する指針より)

昇降機の事故は社会的な問題になったことがあるため、このように事故については厳しく運用を規定しています。

次回はメンテナンスと昇降機通路の規格についてです。

覚えることがたくさんあるからこそ、EVに乗った時に思い出す。
これを繰返し知識を身につける必要があります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?