見出し画像

No-9 昇降機基本知識(3)

昇降路の構造

昇降路は建物を縦に通る構造をしているため、火災時には煙突として働いてしまいます。
例えば下階で火災が発生した場合、上階に炎や煙を運ぶ通路になります。
そのため、昇降路は防火区画に指定され法令で定める防火壁で区画します。

また乗場戸の近傍で、遮炎・遮煙の両者の性能を有した防火設備で区画する必要があります。

重要ポイント

  1. 昇降路は防火区画である

  2. 壁は防火壁である

  3. 乗降扉は遮炎・遮煙性が必要である

EVの扉が鉄で出来ている理由がわかります。
最近では開口扉を交換するだけで建築基準法をクリアーできる装置もあります。

機械室

EVの機械室はかなり厄介な基準値があります。
参考のため建築基準法を記載します。

 エレベーターの機械室は、次に定める構 造としなければならない。
一)床面積は、昇降路の水平投影面積の2 倍以上とすること。ただし、機械の配置 及び管理に支障がない場合においては、 この限りでない。
二)床面から天井又ははりの下端までの垂 直距離は、かごの定格速度(積載荷重を 作用させて上昇する場合の毎分の最高速度をいう。以下この節において同じ。) に応じて、次の表に定める数値以上とすること。
表は略
三)換気上有効な開口部又は換気設備を設 けること。
四)出入り口の幅及び高さは、それぞれ、 70センチメートル以上及び1.8メートル 以上とし、旋錠装置を有する鋼製の戸を設けること。
五)機械室に通ずる階段のけあげ及び踏面 は、それぞれ、23センチメートル以下及 び15センチメートル以上とし、かつ、当 該階段の両側に側壁又はこれに代わるも のがない場合においては、手すりを設け ること。

EVの機械室は火災等があった時にEVの稼働に大きな影響を与えるため細かい基準が定められています。
すべて覚える必要はありません。
次の点を覚えてください。
厄介な数値もありますが、これは後にいろいろなところでも使う数値です。

重要ポイント

  1. 換気上有効な開口部又は換気設備を設 けること。

  2. 旋錠装置を有する鋼製の戸を設けること。

  3. 70センチメートル以上及び1.8メートル 以上の扉

  4. 機械室が上階にある場合の階段のけあげ及び踏面は23センチメートル以下及 び15センチメートル以上。

  5. 両側に側壁、または手すりの設置義務

管理会社に在籍している人はマンションを訪問した時に機械室をチェックするべきです。
特に小規模マンションでは機械室が1階以外に設置されているケースがよくあります。
地階にある場合は浸水被害、上階に設置されている場合は火災を想定した対策があることを確認してください。

次回はメンテナンスと契約についてです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?