管理会社から議事録の提出が遅い時の対処方法
今回の相談は
アドバイス
管理会社に強く要請するためには契約内容を確認する必要があります。
委託契約書を確認する
国土交通省が公開している標準管理委託契約書には次のように管理会社の業務が示されています。
この内容が現在の管理会社との契約書に記載されていることを確認します。
この内容が記載されていれば、臨時総会の議事録の作成業務が契約に定められていることになります。
契約遅延の条項
標準管理委託契約書には契約事項の履行が遅滞した場合の対処方法が記載されています。
期間を定めて履行を求め、それでも履行しない場合は契約解除、さらに損害賠償を要求することもできると書かれています。
上席に訴える
一般的にはフロントが遅い場合は、フロントの上席に事情を話し、対応を急がせる方法が一般的です。
しかし、会社によってはフロントが上席だったり、フロントに任せているなど訳の分からない理由で事態が好転しないこともあります。
そんな時に利用する方法が内容証明です。
内容証明を利用する
電話やメールで催促しても言い訳ばかりで実行しない場合は、内容証明で履行期日を定めた上で履行の要求を行うことが効果的な方法になります。
この際注意することは、請求相手はフロントではありません。
契約書の相手である会社になります。
フロントはあくまでも窓口であり、重要事項説明書に記名押印、重要事項説明会で契約の内容を説明する資格を有しているだけで契約の相手ではありません。
これまでの経験
内容証明で履行を促したことは何度もあります。
大抵は、内容証明が届いた翌日にフロントの上席が理事長に連絡をしてきます。
「申し訳ありませんでした。必ず期日までに履行させます。」
一度、内容証明を使った履行請求をするとそれ以降、対応が変わります。
その理由は簡単です。
この理事会は、本気で怒らせるとまずいと相手が認識したからです。
なぜこのようなことが起きるか
一言でいればフロントに甘く見られているからでしょう。
「大丈夫・・あそこはそこまでやらない」
「適当にあしらっておけば平気」
「たかが議事録、そんなに急ぐ必要はない」
優秀なフロントは手の抜き方が上手いと言われます。
フロントも皆さん管理組合をよく見ています。
「この組合はうるさいからしっかりサポートしないとまずい」
「ここはちょろい、理事長が良い加減だから」
「熱意のない無関心組合は大歓迎」
甘く見られたら最後、相手はとことん手を抜き始めます。
議事録に限ったことではない
今回の例は議事録でしたが、理事会の要請をなかなか聞き入れてくれないケースでそれが委託契約書の業務に含まれていれば、内容証明は有効な手段になります。
重要なことは「委託契約書の業務」です。
会計や出納業務は詳細な業務が記載されていますが、期間業務以外についてはかなり大雑把な表現になっています。
大抵、理事長や管理組合からの不満を聞くと管理会社の対応が悪いと言いますが、そもそもその要求が管理会社の契約に含まれるのかを不満を口にする人たちもはっきりとわからずにいることが多くあります。
「管理会社の仕事でしょう。」
「いえいえ、契約書には記載がありません。」
そんなやり取りをよく聞きます。
実際、理事会で話合われる議案についての助言、資料の作成と示されていますが、どこまで管理会社の業務になるのかは定かではありません。
できれば標準管理規約に囚われず、組合と管理会社で業務の範囲を定めておこう事が重要なのですが、素人が集まっている管理組合だけではそこまで気に留めることは出来ないのも当然かもしれません。
いずれにしても管理会社が契約書で定めた内容を履行しない場合は内容証明書が有効な手段であることは覚えておいてください。
どの程度の遅れは許容範囲?
なかなか難しい問題ですが、毎月理事会を開催している組合であれば、1ヵ月でしょうね。
前回の理事会議事録が未提出の状態で、新しい理事会を開催すべきではありません。
2カ月、3カ月に1回の組合でも1カ月を過ぎることは避けるべきでしょう。
と考えると、それなりに提出を請求した上で1カ月を過ぎても未提出の状況にある時はひとつの選択して内容証明書による履行の請求があると考えてください。
ただし、内容証明を出す前にフロントの上席に状況を伝えることはすべきでしょうね。
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