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No-11 昇降機の委託契約

昇降機は設備の知識を覚えるだけでは不十分です。
管理会社に所属する受験生は知っていると思いますが、管理委託契約書には昇降機の再委託の項目が記載されています。

解説
管理会社の多くは昇降機のメンテナンスを管理委託契約書の記載しています。
管理会社の多くは法定点検や設備のメンテナンス会社を子会社化、あるいは関連企業として配下においています。
しかし、昇降機についてはメーカーが直接に行うケースが多く、管理会社がその契約を受け継いで再委託する、あるいは自社と関連があるメンテナンス専門会社に再委託するケースがほとんどです。
そのため、管理委託契約時に再委託先を明記することが一般的です。
再委託については管理委託契約書にも明記されています。

標準管理委託契約より抜粋(さっと読む程度でOK)

第 4 条(第三者への再委託)
① 乙は、前条第 1 号の管理事務の一部又は同条第 2 号、第 3 号若しくは第 4 号の管理事務の全部若しくは一部を、第三者に再委託することができる。

② 乙が前項の規定に基づき管理事務を第三者に再委託した場合においては、乙は、再委託した管理事務 の適正な処理について、甲に対して、責任を負う。

★コメント
:第 4 条関係 ① 第 1 項は、適正化法第 74 条で基幹事務の一括再委 託を禁止していることを踏まえ、第 3 条第 1 号の事務管理業務の一括再委託ができないよう定めたもの である。(基幹業務の全部委託の禁止)
② 本契約は、甲と乙の信頼関係を基礎とするものであるから、管理事務を第三者に再委託する場合にお いても、乙は、自らの責任と管理体制の下で処理す べきものである。(責任の所在の明確化)
第 2 項の規定により再委託した場合の最終的な責任を乙が負うにしても、排水管の清掃業務や消防用設備等の保守点検業務等は、再委託業者が業務を執 行する上で直接甲に接触すること等もあることか ら、契約締結時に再委託する管理事務及び再委託先の名称(以下「再委託事務等」という。)が明らかな場合には、事前に甲に通知することが望ましい。ま た、これを変更又は追加するときも同様とし、諸事情により事前に通知できない場合は、事後速やかに甲に報告することが望ましい。(委託先業者の告知義務)

昇降機の再委託について覚えることは次の点です。

  1. 再委託先の過失は管理会社が負う。

  2. 再委託先が明らかな場合は会社名(名称)を管理組合に知らせる。

  3. 再委託先は告知義務はなく、あくまでも信頼関係上の伝達である。

  4. 再委託先の変更、追加も同様である。

これ以外で注意すること

  • 徴収や出納を委託する場合は委託先の会社名、所在地を明記する必要がある。(お金に関わることです)

  • 再委託先をマンション管理組合が拒否した場合は、最終的な責任を負うのは管理会社です。管理会社に再委託先の拒否権はありません。

  • 昇降機メンテナンス会社と管理会社の委託契約の契約の解除は6カ月前に連絡する必要があります。(3カ月ではありません)・・参考までに

*最近は管理組合が直接EVメンテナンス会社と委託契約を締結、支払業務だけを管理会社が行うケースも増えています。
これは経費を削減したい管理組合が相見積もりを取って、安いメンテナンス会社と契約するためです。

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