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登-07 不動産の物権変動を理解する(民法と登記の関係がよくわかります。)

前回は民法が5つから構成されていること、不動産登記はその中の物権の権利を第三者に対抗するために行う権利の公示の意味合いがあることを説明しました。
今回は民法の物権変動を覚えます。
これを身につけると試験に出題される民法の不動産登記に関する問題は容易に解くことができます。

不動産の物権変動は発生、変更、消滅の3つの意味の総称です。
不動産登記法の基本で説明した4つの登記がありました。

  • 新しい不動産の登記(表題登記)

  • 新しい不動産の所有権登記(所有権の保存登記)

  • 不動産の権利の変更登記(所有権の移転登記)

  • 不動産の滅失の登記(滅失の登記)

発生は表題登記、所有権の保存登記です。
変更は所有権の移転登記です。
滅失は滅失の登記です。

このように民法の物権変動があった場合に不動産は登記登録をすることで物権を第三者に公示することができます。
このことをしっかりと覚えてください。

民法では契約の成立が意志表示
契約の成立には、契約者双方が意志を相手に伝えた時が契約の成立時とする考え方(意思主義)と書面等の形式を整えた時に契約が成立する考え方(形式主義)があります。

日本の民法は意思主義を採用しています。
物権変動は契約者間では互いの意志はわかりますが、物権変動を第三者が知ることはできません。
例えば友人から購入した車は友人と本人間では物権変動(売買)の事実は知っていますが、第三者はそれを知ることが出来ません。
友人の所有していた車が他の所有者のものだった場合、当事者が権利を証明する書面を確認する等して本当の所有者を決める必要があります。

資産価値が高い不動産ではこのような事態を避ける必要があり、不動産の物権を第三者に主張する際は、契約書ではなく登記が必要と定めました。
これがポイントです。
不動産は登記をすること以外で第三者に対抗することができません
これを理解することで試験によく出題される問題は簡単にわかります。

例題1
Aが所有する土地をBに売買し代金を支払いました。
Bが登記をしなかった場合、Aが契約後Cに同じ土地を売却、Cが登記をした場合の所有権は誰か?

Bは契約、代金を支払っている
Bは購入した土地の登記をしていない
Cは登記をしている

答えは所有権はCになります。

登記を移転をするためには、売主Aと買主Cの両方の承認が必要です。(登記の基本です。)
Cが勝手にひとりでは登記はできません。
そのため、登記が出来たと言うことはAが土地の物権変動を認めたことになります。

Bはもちろん、被害者です。
Aに代金の返却と賠償請求などを起こすことはできますが、物権変動とは別な民法です。
また、Aが登記をしなかったことも原因です。

このような二重売買は先に登記をしたものに所有権が認められることになります。
登記に善悪ではなく、早く登記をした者に物権を第三者に対抗できる権利を与える制度です。
この権利は争う際には「対抗要件」と言われます。

不動産の物権変動があった時に第三者に対抗要件を整えるためには登記が不可欠であることを覚えましょう。

次回は試験問題の民法や不動産登記法は判例を元に出題されていることを理解しましょう。



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