トリクルダウンと言わざるを得ない構造
いやはや皆様、こんにちは。
カブトコインでございます。
本日は少し、経済全般の話をしたいと思います。
あまりにも上昇をし続けて、バブルと言われ続ける米国株式の市況。
ナスダック総合指数が、またもや史上最高値を更新しました。
(あまりにも頻繁に史上最高値を更新するので、誰も話題にしませんね)
1981年からの推移を見ますと、もはやリーマンショックもコロナショックも「え、どこで下げてたの?」と境目も分からないほどの上昇です。
ビットコインのチャートにも似た上昇を、Google Financeで確認できるだけでも、40年近く続けている訳ですね。
ずっと続くバブル状態に、さぞかしアメリカ国民は潤っているのかと思いきや、「貧富の差」は拡大する一方で、富裕層にお金が集中し、貧困層へは行き渡っていないのが現状です。
日本でも今年は「30年ぶりの日経平均株価3万円台復帰」なんてニュースはありましたが、株価高の恩恵を受けた人を見かけることはほぼありません。
高級外車を乗り回したり、高価な買い物をしたなんて話も、まず聞かないですよね。
さて今日の本題。
なんでこんなに貧富の差が拡大していくのか。
そしてその貧富の差を拡大すると分かっても、政策として取り上げられ続ける「トリクルダウン理論」とはなんなのか、と言ったお話です。
トリクルダウンとはなんなのか
よく、不況になった際の経済対策として出てくる用語、「トリクルダウン理論」というものがあります。
富が富裕層から低所得層に徐々に滴り落ちるとする理論。「トリクルダウン仮説」と呼ばれることもあります。
大企業や高所得者が富むような経済政策を実施すれば、投資や消費が活発になり、より広い層にも恩恵が及ぶとする考え方です。
しかし、富が富裕層に偏在するだけで、経済格差を拡大させかねないとの批判もあります。
「富裕層がお金を盛大に使う」→「そのお金で中間層が潤う」→「中間層が日常的に消費を行う」→「貧困層の職が確保され生活ができる」といった論法です。
以下のような絵で表現されることが多くあります。
「トリクルダウン経済~それが機能すると言われる方法~」
そしてこの理論が、機能しないことを揶揄する画像もインターネット上でよく出回っています。
「~実際に起きていること~」
大企業や富裕層に富が一極集中し、中流層や下層まで行き渡らないことを表しています。
理由としては「企業が内部留保を増加させ、労働者に賃金として支払っていない」等が言われていますが私が思うに、もっと大きな構造的な変化があるため、トリクルダウンが機能しなくなっていると思われます。
もうお金は労働者に流れない。
自分は「IT技術やロボットへの投資が盛んになったから、労働者にはお金が流れなくなった」というのが理由と考えています。
現時点ですでに、IT技術やロボット、コンピューターに奪われている仕事をさっと思いつくだけ例を挙げてみます。
・セルフレジ、モバイルオーダー:レジ係の削減
・インターネット通販:実店舗の店員の削減
・チャットボット:コールセンター要員の削減
・タクシー等配車サービス:配車係の削減
・RPA(ロボティックプロセスオートメーション):定型的な事務職の削減
「AIに仕事を奪われる!」なんてことが時々盛り上がりますが、実は「AI」なんて高次元なものでなくとも、既存のIT技術が世に普及するだけで、奪われていく仕事はたくさんあるのです。
経営者が従業員に求めるのは以下のような要素。
・命令に従順
・長時間働ける
・休まない
・ミスをしない
これらは現段階のIT技術やロボットで、充分対応可能な領域なんですね。
そしてこれらに設備投資が集中すると、単純労働の職は減り、求職者が増えることで時給も上がらず、といった悪循環が起きます。
それでも政府は金融緩和や大企業の優遇を続けます。
これは、金持ち優遇という訳でもなく、「そうしないと、もっと労働者の職が失われるから」ですね。
企業のコストの中で、人件費はかなりの割合を占めます。
不況になった場合、正規雇用の社員より先に、非正規雇用の職が失われます。
その人たちの雇用を守るためにも、効果が薄まっているにも関わらず、大企業の優遇を続ける。
「トリクルダウンと言わざるを得ない構造」が、存在している訳です。
いろいろ考えたけど対策が無い
ここひと月ぐらい、このテーマの対策を考えていたのですが、まったく他の良い案が浮かびませんでした。
政治がどうのこうのというよりも、技術は自然に右肩上がりで進化していく訳なので、「単純労働者を必要としない仕組み」は広まっていく一方なのです。
能力がある方であれば、「新しいIT技術を学ぶ」、「投資で稼ぎを作る」、「その人個人にしか出来ない芸術や対人スキルで稼ぐ」など、いろいろな方法はあります。
むしろ、能力のある人にとっては稼ぐ手段が増えているのが現代です。
ひるがえって、単純作業しかしたことが無い人の職が奪われた際、ほかの稼ぎ方を身に着けるのはかなり難しい訳です。
単純労働に就いていた方同士での、職の奪い合いにもなりますし。
それでも、その少ない職が減り続けるのを阻止するためには、トリクルダウン的な大企業の優遇は続いてしまうのです。
放置して良い問題ではない。
「自業自得じゃん?」、「ホームレスは死んで良いんじゃない?」、「スキルを磨いて単純労働を辞めれば良いじゃない?」みたいな自己責任論が蔓延りがちな世の中です。
このブログをご覧いただいている方は少なくとも、パソコンやスマホが使え、仮想通貨や株の情報を集められるなど、一般的な方々よりも稼ぐことが出来ている方々だと思います。
各々いろんな事情があって、本人の努力で乗り越えられる人と、そうでない人が生まれてしまうのがこの社会です。
これを個人の問題として放置して良いものではないのです。
貧富の差が開き、自暴自棄になる人が増えた場合、ある日突然自分の身に不幸が襲い掛かるかも知れません。
「米騒動」や「打ちこわし」のような怨嗟が、ある日突然、個人に襲ってくる社会が、もう訪れているのかも知れません。
こんな世の中、恐ろしすぎて外に出られませんね。
書きなぐったまま結論が出せませんでしたが、今後も考えていかねばいけないテーマだと思っています。
次回予告
いよいよビットコインの法定通貨化まであと2週間を切りました。
次回は例のあの国、エルサルバドルの話題を取り上げます。
~「エルサルバドル、ビットコイン法定通貨化直前の今」乞うご期待!~
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