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今回の短編は、思い付きのフィクションです。 良ければ一読ください。 _____ 「ノダ君によく似ているね...」と、急に言われた。京都駅前のスクランブル交差点(の北西端へたどり着いたあたり)。そう言って、その人は僕の手首を強めに(静電気すら起こった)握った。 「ちょっと顔を見せて」と女の人の声が立て続けにした。手首をわし掴みにされていたので、僕はできるだけ訝し気に、その声がする方に向かって上体をひねって振り返って(さながら、財布をすられたのに気が付いた刑事のように)女性
今回の短編は、ほんと短い大学生時代の経験を基に書いた恋バナです。 良ければ一読ください。 _____ 彼女に知ってほしいことがたくさんあった。そのためにずいぶん言葉を考えた。一つ一つのセンテンスが淀みなく流れ、音の響きで彼女をおびえさせないように、そしてなにより言葉に思いをのせ過ぎないように僕は話をした。 彼女と出会ったのは二十歳の年だった。 出会ってから、毎日一緒に時間を過ごすようになるまで二週間と掛からなかった。 彼女との時間を僕は軽やかに過ごしたかった。