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10.虫 鳥 時々、小動物

ひとりの夏の休憩で何日か留守にして家に帰ると、2種類ある庭のブドウの片方の実が全部食べられてしまったと報告があった。植えてから数年、今年初めて実数の少ない2房をやっとつけた株だったので、くやしい。皮は食べずに落ちていたとのことなので、鳥ではなさそうだ。ハクビシンかな…

庭仕事を好きだけれど、まだ浅い知識や経験から行き届かない部分があり、農薬や殺虫剤無しの枝葉や作物にはできれば来てほしくない来訪者、入居者も多い。
実や果実の食べ頃を察知する能力は彼らの方が格段に上なので、今回の様なこともしばしばある。
本能的な能力が劣る分、勉強しなくてはいけないし、物理的な防御も工夫が必要なことを痛感する日々。

考えさせらることが多い反面、庭での事件やサプライズに、声が出ない程驚くことはあっても強い嫌悪感を覚えることはまず無い。
こちらにとっての害虫との対峙でさえ、人間の都合で駆除するという重い負い目はあっても、嫌悪感とは違うと感じる。
それが1対1(相手が複数のこともあるけれど)で命と真剣に向き合う時間だからだと思う。

ただ、今の心情にたどり着くまでにはいくつか段階があった。駆除する害虫が多すぎてひどく塞ぎ込んだ時期もあり、それをどうにかしたくて方法を変えたり、根本的な対策を探したり、場合によっては見逃したりして、まだ模索中ながらやっとバランスがとれてきた。
そしてよく観察していると、こちらの願いをかなえる手助けをしてくれる生き物もたくさんいる。
小さな群れで通りすがりにイモムシを食べていってくれる小鳥 葉っぱの色に同化して虫を捕食するカマキリ 小さな羽虫を捕まえてくれるトンボ 受粉してくれる蜂や蝶 土を豊かにしてくれるミミズ ボーフラを食べて蚊を減らしてくれる(くれているはず…)メダカ 夜の灯りに集まる小さな虫をエサにしているヤモリなどなど。その生態が人間にありがたいだけでなく、彼らの多くはその姿で癒してもくれる。

日々、収穫を競い合う相手も、庭仕事を楽にしてくれる身方も、虫や鳥 時々、小動物で、彼らにこちらの気持ちやタイミングは一切関係ない。そこがいい。
思い通りにならず予測不可能なことはままあって、それは悪いことではないと 自然を通して日常的に思い出させてもらえる場所が身近にあるのは幸運だなと思う。







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