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MFとRA

 力強くて大きな結束力はありません。
 今もそれは変わらず、たまに動向を伺いながら、緩やかに糸を結び、確かな繋がりがある事に心が温かくなります。

 愉快な友人、MFとRAの話がしたいのです。

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 ここに、MFという人物が居ます。
 艶やかなフチの眼鏡を掛けており、スラッとした佇まいから、真面目な様子が伺えます。誰に対してもフレンドリー。こんな自分と仲良くなれるくらいなのですから、相当だと思って構いません。
 MFの好きなところは、食べ物の好き嫌いが多い事、待ち合わせは80%遅刻してくること、夜に囚われているのか、出会った頃から夜明けまで起きて、昼頃までのんびりと寝てしまうところです。
 何も考えていないようで、人の何百倍も、眠れない夜と共にわからない事を考え、自分なりの答えを探せるような美しい人です。

 ここに、RAという人物がいます。
 RAに関しては、暫く会えていないので、一緒にいた頃の印象を書きます。
 可愛いものが大好きで、特にお化粧や服が好きな人です。常に小さなポシェットを持ち歩いており、一緒に歩くと、’てんてんてん‘と足早に先の方へ行ってしまいます。
 RAの好きなところは、甘い物を食べたいと言いながらついつい春巻きを手に取ってしまうところ、白黒はっきりしており敵を作りがちなところ、一緒に授業をサボタージュしてくれるところです。
 唯一、筆者の事を「せんせい」と呼ばなかったところも好きです。(この話はいずれ書きます)
 一見淡白で冷たい印象ですが、自分の手に届く範囲をしっかり守れるような、強くて逞しい人です。


 彼女たちとは、大学での専攻が一緒でした。お互い出会った頃はここまで交流が続くとは思って居なかったことでしょう。
 3人が3人ともです。
 学科教室で学ぶ際、各々好きな席に座るのですが、その席が同じテーブルだった。というだけでした。

 まともに遊ぶ事をしたのは、確か1年生の後半ごろだったような気がします。
 そうです。ちょうど自分自身が、19の冬に悪い風が吹き海溝まで潜ってしまった時期です。

<ミゾの会>

 という団体が突然発足されました。
 まごう事なき自分のための会。
 簡単にいうと、当時落ち込みがちだった自分を励ましてくれる会でした。

 発足者はMFです。メンバーはRAと、またいずれ書きたいと思っているMMという人物も加わってくれました。

 正直、何をしたかはほとんど覚えていないのです。
 束の間光を当ててくれたことだけが幸せでした。
 断片的ですが、カラオケに行って、ショッピングに行って、そのときに月の形が連なった指輪を、迷いながら買ったのを覚えています。

 この出来事は、ろくに人間関係を築いた事がなかった自分にとっては特別な物でしたが、あの日から何かが変わった。といった青い話ではありません。
 何も変わらないまま、ただなんとなくMFが授業に遅れてきた日は「寝坊かね」と手を招いたり、RAが教室にいたら「あ、おはよう」とそばに座るような、示し合わせのない関係がどことなく好きでした。

 どこか片隅で「3人である」ということ。
 「3人」の間には許す関係であれば誰でも入ってくれてよいこと。
 こんな緩い関係が、いまでも心地よく、大切で特別だと感じます。

 まあ、MFとRA がどう思っているかは、知る由もありませんが。

C.Heath / mizo

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