見出し画像

スナックを事業承継し、売上が1.6倍に

「すなっくせつこ」を事業承継し、2022年4月に「スナック水中」がオープンしました。この約2年間、水中が成し遂げたことは何だろう?じっくりと振り返り、これからの未来についても考えていきます。


2023年実績

事業承継後の売上

2022年4月にオープンし、延べ1万人以上のお客様にご来店いただきました。業績は、2022年売上高1,702万円(前年比135%)、2023年2,599万円(前年比152%)となりました。承継前の2021年から比べると、2年で約1.6倍の売上です。

水中売上実績

2023年に大きく実績を伸ばした要因としては、「すなっくせつこ」時代から通っていただいているお客様や、スナック水中としてオープンしてから通っていただいているお客様との信頼関係を築き上げてきた結果と、オープンからの1年間のスナック水中密着の様子がテレビ「ザ・ノンフィクション」で放映されたことが重なったことが考えられます。

他にも、数多くのTV・雑誌・Webメディアに取り上げられ、多くの方にスナック水中を知っていただく機会が増えました。

スナック水中はこれからも、スナック・バーといった夜の社交場を継承し、社交場ー特に女性も立ち寄れる社交場ーがこれからもまち中に残ることを目指していきます。

売上が1.6倍になった理由

客数の増加

売上を大きく伸ばした理由のひとつとしては、「すなっくせつこ」時代には獲得できなかったターゲットの拡充が挙げられます。

具体的には、20〜30代の若手〜ミドル層、女性、遠方からのお客様に恵まれました。

これらのお客様の増加には、水中のサービスが一定評価されていると考えられます。

これまでママだけが把握していた顧客情報をスタックみんなで共有するようになりました。顧客情報をデジタル化し、ホテルマン並みの顧客情報の共有を可能にしたのです。スタッフ同士のコミュニケーションはSlackを積極的に活用しています。

こうした取り組みから、オンライン・リアルでの口コミが広がり、幅広い層のお客様にご来店いただいております。

客単価増加

次に、期間限定のフェアや、毎月変わる季節のドリンク(スピリッツやリキュール)などによる客単価アップに成功しました。

さらに、地元の国立に紐づく東京都国立市のクラフトビール醸造所KUNITACHI BREWERYの「くにぶる」や、地元で採れたミントを使ったカクテルの人気も後押ししています。

事業継承の面白さ

「今の時代だからこそ、スナックというニーズがある」

スナックなどを通じて人との繋がりを面白いと感じていた当時大学生の坂根千里(株式会社水中 代表取締役)に、突然舞い込んだ「すなっくせつこ」ママからの承継話。

坂根は「すなっくせつこ」でアルバイトをしながら、自分でスナックをオープンすることも考えていた矢先の出来事でした。

物件やお客様といった資産が残っているのに、トップの体調不良やライフイベントを理由に事業が潰れていくことがもったいないと感じ、承継することを検討しはじめます。

まだ学生だった坂根には、社会的信用も資金もありません。事業承継は、先代のアセットをそのまま引き継ぐことができる魅力的な話だったのです。

しかし坂根は、一橋大学を卒業したあと丸の内を闊歩するバリキャリ目指していたので、スナックを承継するという決断は簡単なものではありませんでした。

悩み抜いたあげく、起業志向の強かった坂根は就職活動をやめ、新卒でスナックを継ぐことを決めます。この決断は人を惹きつけ、数多くのメディアにも取り上げられることになります。

それから「すなっくせつこ」を「スナック水中」としてリニューアルオープンし、2年後には1.6倍の売上という結果を残すことができました。

2025年までに、平均引退年齢の70歳平均引退年齢を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人. となり、うち約半数の127万(日本企業全体の1/3)が後継者未定と言われている2025年問題がありますが、スナックも例外ではありません。

まずは1店舗目を軌道に乗せたところですが、スナック水中は、これから100店舗を目指し、引退を考えているスナックのママさんから、スナック事業を承継できればと考えています。

水中が目指すのは「多くの頼り先に小さく甘えられる社会」

スナック水中はリピート率が7〜8割となっており、会社でもなく家庭でもないひとつのサードプレイス(第三の場所)になっています。

女性のお客様も20%ほどいらっしゃり、これまでスナックに自分の居場所を求めていなかった方にも通っていただいています。

より多くの方に、心地よい空間と認識していただき、何かあったときはスタッフや隣の席のお客様同士が小さく甘えられる社会ができているのではないかと感じています。それこそ株式会社水中が目指す世界です。

他のスナックと比べるとリピート率が7〜8割というのは少し少ないかもしれません。きっと多いところでは9割超える店舗もあると思いますが、スナック水中は新規のお客様も比較的多くいらっしゃる状態が続いています。

現代では核家族化が進み、自分の目的に合う人以外と交流を持つことが本当に少なくなりました。

私たちが目指すのは、「目的だけでは交わらないような人たちとどれだけ多くリアルに繋がれるか」

今は個の時代で、自分の足で自分のことを世話しなければいけない。でもそうではなくて、周りの人に頼りながら生きていく世の中にしていきたいと思っています。

人との繋がりを感じた2つの原体験

スナック水中代表の坂根は、1998年東京生まれ。

Z世代は生まれたときからインターネット社会で、人との繋がりが希薄であり、個で生きることが強いられています。

そんな中、坂根が大学時代に、地方創生インターンで奄美大島に訪れ、東京とは全く違う人との関わりや優しさに触れたことが「多くの頼り先に小さく甘えられる社会」を目指すことになった原体験に繋がります。

さらに衝撃を受けたのが、スナック水中の前身となる「すなっくせつこ」でのアルバイト体験。

そこは、大人たちが「ちゃんと食べてるの?」と帰り際に色々持たせてくれるような、お節介が成立する場所でした。

おかまいなしに自分のテリトリーにズカズカと入ってくる。最初は驚きましたが、それが心地よくなってくる。距離が近いからこそ、頼り頼られる関係が生まれました。

坂根がまずスナックにハマり、大学の後輩をスナックに誘うと、次第に後輩たちもスナックにハマるようになりました。繋がりが希薄なZ世代だからこそ、スナックでの人との繋がりが新鮮に映ったのでしょう。

「すなっくせつこ」で働くメンバーは家庭や職場ではないスナックという空間でコミュニケーションができることで、ちょっと気持ちが楽になったり、明るくなったりする方が増えると実感していました。

現在スナック水中になってからも、それは変わることなく、ここはゆるく繋がる場所として機能しています。

スナックといえば、年配の方が多くいらっしゃるイメージがあるかもしれませんが、スナック水中は20〜30代の若い世代も多くいらっしゃいます。「多くの頼り先に小さく甘えられる社会」はどんな世代にも必要なのだと感じています。

とても些細なことかもしれませんが、そんなサードプレイスを日本中に作るため、日々奮闘中です。

健やかな社交場を作るために

健やかな社交場を作るためには、お客様と働くスタッフどちらにとってもいい空間であることが必要です。

まず、私たちが目指す居場所にするためには、どういうお客様に来てほしいかということを考えます。

例えば、色恋やセクハラ目的の人には来てほしくないと思っていますので、水中のルールを作り、自分たちが作りたい場のコンセプトを掲げ、ちゃんと場に緊張感を持たせることが大事です。

女性がいらっしゃったときには、この店が場違いだと思われないように接客したり、お店に清潔感を出したりするようにしています。

そんな社交場づくりを日頃から心がけているおかげか、本当はスナックに興味があったけどなかなか行きづらく、「水中なら最初のスナックとして行けそう」と思ってきてくださる方も多い印象です。

そして、スタッフが安心して働けることも重要。

困ったお客様がいたときにはママがコントロールに入りますし、何か違和感があったときなどは伝えてもらうような関係を築いています。

実際には、何かお店で困ったことがあったときには、常連さんが助け舟を出してくれることも多いんです。

水中には、性別、年齢、さまざまなバックグラウンド関係なしに、それを受け入れるだけの許容度があり、それが水中らしさになっていると思います。

健やかな社交場づくりは、オープンから約2年をかけて、徐々に作り上げられてきていると感じています。

ママとしてのキャリアを応援する

業界全体としては、スナックのママになりたいという方が減っていると思います。

スナック水中としても、ママの採用は苦戦しているところではありますが、坂根がママになるときに一番躊躇したのは、この店を何十年も守ることができるのか、ということでした。

そんな不安を払拭してもらえるよう水中では、ママとしてスキルアップができたり、ライフイベントに合わせた働き方ができるような体制を構築中です。

スナックは水商売に分類されるので、マイナスイメージを持たれる方もいらっしゃいますが、それを変えていけるような社会にしていきたい。

2023年11月、スナック水中には新しいママが正社員第一号として入社されました。坂根やGM、お店のスタッフが協力し、ママのスキルアップやステップアップを応援している状況です。

新しいママがどういったお店づくりをしたいのかヒアリングしつつ、会社の方向性と合致するところを探しながら、力を合わせてスナック運営をしています。

ママの今後のキャリアとしては、ママの伴走役であるGM(ゼネラルマネージャー)、エリアマネージャー、店舗開発などの道があり、やれることが増えていけば、その分お給料もあがっていきます。

また、スナックは個人経営が多いので、孤独感を感じることが多いママが多いのではないかと思っています。水中では、ママを孤独にさせないチームづくりをしていくことが何より大事だと思っています。

ママとして働くことがポジティブで、やりがいと誇りを持てるような、そんな組織を目指しています。

100店舗、1000店舗を目指していきたい

後継者不在による廃業の危機に直面する2025年問題が待ったなしで現実のものとなりつつありますが、すでに日本のスナックは毎年10%(約10,000軒)ほど減少していっています。

株式会社水中はこの減り続けるスナックに歯止めをかけ、常連さんに支えられる社交場を私たちの手で残すことを目標としています。

スナックはママさんの個人運営が多く、私たちが知る限りにおいては多店舗展開をしているチェーン店が存在しません。水中は、この業界に風穴を開け、スナックではじめての100店舗、1000店舗展開を目指していきます。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?