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プロポフォールには牛乳成分はありません!

 かつてKing of Popと呼ばれた某ミュージシャンの不幸な事件で有名になった静脈麻酔薬(鎮静薬)プロポフォール.強力な鎮静作用を持ちますが,睡眠薬として用いるには危なすぎる薬です.

なぜ白いの?

 見る人にインパクトを与えるまっちろな液体,プロポフォール.たまに「この患者さん牛乳だめらしいんですけど,プロポフォールで大丈夫ですか?」と聞かれますが,そのたびに「プロポはミルクじゃねぇ」という話をします.
 ではあの白さは何?ということになりますが,中に含まれる成分のせいです.プロポフォールやイントラリピッド(脂肪乳剤)は真っ白ですが,その成分はダイズ油,卵黄レシチン(卵アレルギーがダメと言われる理由),濃グリセリンなどであり,これらが水中で乳化され,脂肪の粒子が非常に細かく分散されます.
 この脂肪の粒子が多くの波長の光を散乱させるため,白く見えます.
 ちなみに手についたりした時に匂ってみてください.油の匂いが強く自動車整備工場のような匂いがします🤗

どんな特徴を持つ薬?なぜ人気?

 麻酔に用いられる鎮静薬にはいくつか種類がありますが,現在最も使用されている薬物です.なぜそんなに人気なのでしょうか?その理由は以下に示します.

  • 作用発現が早い(すぐに効く)

  • 持続時間が短い(すぐに効果が切れる)

  • 蓄積性がない(持続投与を行なった場合でも比較的早く目が覚める)

 他にもレミマゾラム(アネレム®)など優れた静脈麻酔薬も出てきていますが,まだまだ第一線で活躍するのではないでしょうか.
 他の特徴としては,脳代謝率、脳血流ともに低下させ、頭蓋内圧を低下させるため、脳外科手術や脳出血・脳梗塞・頭部外傷患者での鎮静にもよく使用されます。

恐ろしい合併症プロポフォール注入症候群(PRIS)

 試験にもよく出題されますが,プロポフォール投与による合併症にプロポフォール注入症候群(PRIS:propofol infusion syndrome)という致命的な合併症があります.
 集中治療室における小児への鎮静への使用は禁忌となっていますが,それはこの合併症を起こすリスクがあるためです.詳細は試験対策の別の記事で取り上げたいと思いますが,とりあえず名前だけは知っておいてください.
 発生リスクは「高流量」で「長時間(多くが48時間以上)」なので,通常の小児麻酔における使用ではまず問題になることはありません.


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