📘気道評価・気道確保②:困難気道への対応・手技(DAM) | 麻酔科専門医試験対策 青本online
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【🌟☆☆】:直接聞かれることはないが,基礎知識として必要
【🌟🌟☆】:問われる可能性があり,おさえておいたほうがよい.
【🌟🌟🌟】:問われる可能性が高く,重要です.
🔑 KeyWords
困難気道 DAM トリプルエアウェイマニューバー TAM 気道管理ガイドライン カプノグラム CVCI ガムエラスティックブジー(GEB) 輪状甲状間膜穿刺 意識下挿管 意識下ファイバー挿管 声門上器具 ハローベスト 頸椎カラー
🔵 困難気道患者の麻酔導入
Q. 【🌟🌟🌟】 気道確保困難が予想される場合にはどのような準備を行いますか.説明して下さい.
DAMカートを準備します.DAMカートには気管支ファイバー,各種ビデオ喉頭鏡,ガムエラスティックブジー,声門上器具,光源付スタイレット,経口・経鼻エアウェイ,輪状甲状間膜穿刺キットなどが揃っているのを確認しておきます.
気道確保にあたっては複数の麻酔科医であたり,事前に情報も共有し,プランAがダメだった場合にも速やかに対応できるようにしておきます.必要に応じて耳鼻科医にもstandbyを依頼します(緊急気管切開).
麻酔導入前には十分に酸素化・脱窒素化をし,気道確保に臨みます.
【補足・解説】
脱窒素化と酸素化については,こちら を参照.
Q. 【🌟🌟🌟】 困難気道が疑われる患者の麻酔導入方法について説明してください.
準備が一番大切です.2人以上の麻酔科医で対応し,DAMカートを準備し,内容も確認しておきます.
体位は頭高位(+ランプ位)をとり,導入前に純酸素による十分な酸素化・脱窒素化を行ってから導入を開始します.
症例(病的肥満や手術後や腫瘍による影響,解剖学的異常など)に応じて意識下(気管支ファイバー)挿管を行うか,迅速導入や通常導入するかを選択します.
意識下挿管では適切な局所麻酔(経鼻または経口)と鎮静を行います.
通常導入や迅速導入を選択する場合は,マスク換気困難時や挿管困難時のプランB(声門上器具,外科的気道確保など)を麻酔科内や看護師と共有しておきます.
【補足・解説】
うまくいかず(軽度抵抗されたり,視野がいまいちだったり),酸素飽和度が低下するような場合は,一旦休憩し,しっかりと深呼吸を行ってもらったりして仕切り直しましょう.患者がつらさを訴えるような場合,表面麻酔を追加や,少量フェンタニルやミダゾラム,レミマゾラム,デクスメデトミジン等の鎮静薬を慎重に少量から用います.
Q. 【🌟☆☆】 ランプ位(ramped position)とはどのような体位ですか?
主に(高度)肥満患者や睡眠時無呼吸症候群患者の気道確保と換気を改善するために用いられる体位です.
上胸部から頭部にかけて20〜30度の傾斜をつけ,外耳孔が胸骨切痕よりも高位となるように位置取りを行います.
枕やタオル,専用のマットなどを用いて段階的に傾斜をつけることで,上気道の開存性が改善し,機能的残気量が増加します.
【補足・解説】
"ramped"は「傾斜した」という意味です.
実際の体位は「階段状」になることが多いため,"stacked position"とも呼ばれます.
頭高位による血圧低下に注意が必要ですが,適切な体位は換気・挿管を劇的に改善する可能性があります.ランプ位用のマットも売られていますね.
Q. 【🌟🌟🌟】 麻酔導入時の上気道閉塞の症状にはどのようなものがありますか.
上気道閉塞の症状・所見としては,マスク換気困難,奇異性呼吸,陥没呼吸,tracheal tug(吸気時の鎖骨上窩の陥凹)などがあります.
不完全な閉塞では吸気時に喘鳴や狭窄音がしますが,完全閉塞に陥ると呼吸音は消失します.
この状態が継続すると,SpO₂の低下,高二酸化炭素血症,徐脈と進行し,顔面のチアノーゼや暗赤色化を来します(見たくない!).
小児では成人と比べて症状の進行がはるかに早く,迅速な対処が必要です.
【補足・解説】
tracheal tugは動画での出題もありました.Youtubeなどでも動画がありますので確認してみてください.
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