奇妙な30秒間

今日道を歩いていたら、妙な30秒に出会いました。

向こうからベビーカーを押したお父さんと、お母さんが歩いてきます。お父さんお母さんは、25歳か30歳くらいでしょうか。普通の若い人って感じです。ベビーカーに座る男の子は、2歳にはなってないくらいだと思います。

まず不思議に感じたのは、お父さんとお母さんが手を繋いでいることでした。お父さんは片手でベビーカーを押していました。カップルで手を繋いで歩いているのは不思議ではないと思うのですが、なんとなく違和感がありました。ベビーカー不安定じゃない?

次に子どもに目をやると、スマホを両手で持って動画か何かを見ています。こんなに小さな子が、と驚きました。別にダメではないと思うのですが、お父さんお母さんそれでいいの?って。

その親子とすれ違って10秒ほど経つと、後ろから来た自転車が私を追い抜いて行きました。後ろ姿しか見ていないので分かりませんが、服装や声から40代か50代の3人組の女性だったと思います。彼女たちは、赤ちゃんってやっぱり癒されるよね〜、ほんとにそうだよね〜、と会話していました。違和感を感じました。この人たちは私を追い抜いていく前にあの親子とすれ違っていますから、この会話はそこから生まれたものなのでしょう。ビルが並び、ガラス張りのカフェやインテリアショップが並び、街路樹が並んで、冬を感じる冷たい風が吹き、暖かいコートを着た人々やたくさんの車が行き交う道でした。そんな場所で、お父さんに押されるベビーカーの上で小さなスマホだけを凝視している子を見て、癒されたのでしょうか。というかそもそも1歳後半の子を赤ちゃんと呼ぶ?

もしかしたらその子がスマホを見ていたのはその時だけだったのかもしれないですし、自転車の女性たちはこの子を見ての会話ではなかったのかもしれません。けれどこの30秒はとても奇妙なようで、その先の歩く道で私は考えさせられました。考えた結果わかったことは、私はこのような、なんだか奇妙、なんとなく不思議、という曖昧な部分を、言語化できないのだということです。具体的になぜこのように感じたのか、何が奇妙に思われるのか、文章で表せるようになりたいです。

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