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しなないどく

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2017年5月の記事一覧

無題

パーティーは翌日の午後7時まで続き、ツアーを行ったアーティストのほんの一部だけが辿りつける境地に達して終わった。Konstantinはチルアウトルームで、誰もが床に座り込んでいる中でThe Carpentersの"Close To You"をかけた。誰かがデコレーションのブーケから花を引き抜いては、部屋中にばらまいた。パーティーは開始からほぼ24時間を経て、こんな風にして終わったのだった。 

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アスファルト石畳チェックリストとスタンプラリー

観光しよう、とおもって行動しだすと、それがほとんどチェックリストとスタンプラリーの複合競技に思えてくるのは、僕が観光に向いていないだけだろうか。

散歩に行くたび、あたかも自分自身を置いていくような気分になった。街路の動きに身を委ね、自分を一個の眼に還元することで、考えることの義務から解放された。それが彼にある種の平安をもたらし、好ましい空虚を内面に作り上げた。世界は彼の外に、周りに、前にあり、世

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U4

近いのに遠く
遥か ずっと遠く
君という彼方まで
飛んでいけるような

どれほどの深い愛情の対象であっても、対象と自身の心の在り処、その隔たりを計り知ることは基本的にできない。あるいは計測可能なほど接近すること自体、稀なのかもしれない。

インターネットによって世界中の人々とつながれる、とよく言われるが裏を返せば、隣の座席の人間と(それから座席自体、空間からも)限りなく遠ざけられるテクノロジーでも

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無題

何か出来事があったときに、すぐに言葉にしちゃうとどっちか寄りの感じになっちゃいそうなところもあるんだけど、踏みとどまって考えるわけですよ。夜とかに。そのときに、僕の弟のこととかも考えるんです。何か起きたとき、僕はこうやって作品にするっていう発露のしかたをするけど、僕の弟はそんなことをしなくても日常の中でどうにか整理をつけようとしてると思うんです。そこで「僕のほうが考えてる」とは絶対に言えないんです

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