欲しいEV三輪車の効率的な探し方

前回、モーターとバッテリーのバランスを考えてEV三輪車という選択に至ったということを書いた。ここで言う三輪車とは、ピサ屋のバイクやサポカーではなく、側車付軽二輪というカテゴリの乗り物のことである。

今回はEV三輪車の探し方について書く。この探し方はEV三輪車に限らず、ガソリンで走る三輪車にも当てはまる。
もし私のようにEV三輪車を購入しようとするのなら、くれぐれもご自身の用途や状況に合ったスペックのものを選んで頂きたいと思う。私も危うく引っかかるところだったので…

三輪車を探すための検索ワード

そもそも現在(2021年)の日本において、三輪車は滅多に見かけない乗り物である。せいぜい宅配ピザ屋やコンビニの店頭に置かれている程度であるが、それは私の購入する三輪車(側車付軽二輪)ではない。
今の日本では、それこそ下手をしたら三輪車と言えば自転車に乗れない幼稚園児が乗るあれだと思う人も多いことだろう。

そんな状況の中において、自分が欲しいスペックの三輪車を探す際にはコツがある。それは三輪車の他にも

・トゥクトゥク
・リキシャー
・ベスパカー

といった検索ワードで探すことである。
このような検索ワードを使えば、ピザ屋のバイクのようなものは引っかからないで済む。

参考までに、トゥクトゥクはタイなど東南アジアで走っている三輪車の呼び名である。
トゥクトゥクはエンジンの音がそのまま名前になったもので、元々ダイハツのミゼットが輸出されて定着したものだと言う。そのため日本国内でも比較的パーツが探しやすいらしい。

インドやパキスタンではトゥクトゥクという呼び名は使われずにリキシャーと呼ばれる。このリキシャーという名前は、日本語の人力車から来ている言葉だという説がある。にわかに信じがたいが、エンジンを積むのに人力車から人(ジン)を取り除いたことでリキシャーとなったそうな。

さて、トゥクトゥクもリキシャーも日本に由来のある三輪車ということなのだが、ベスパカーだけはちょっと勝手が違う。
ベスパカーはイタリアの三輪車である。かの『ローマの休日』という映画でオードリー・ヘップバーンの演じる女王が抜け出す際に乗り込むあの車を、日本ではベスパカーと呼んでいる。
しかしイタリアを含めヨーロッパでベスパカーと言っても、恐らく何のことか通じない。ヨーロッパではベスパカーのことをアペと呼ぶ。このアペが日本に輸出される時、既に日本のメーカーがエイプというバイクを出していたため、仕方なしにベスパカーと名付けたという。アルファベット表記をするとアペもエイプも同じapeとなってしまうのだ。
ちなみにベスパカーは、ベスパというバイクがベースとなって開発された三輪車である。そのため、これも日本国内で比較的パーツを探しやすいらしい。

恐らく「トゥクトゥク」「リキシャー」「ベスパカー」を検索すれば、日本国内の大半の三輪車は検索に引っかかってくるだろう。
もちろん、最初から特定の国で使われている三輪車が欲しいのなら、現地における三輪車の呼び名を調べて、その呼び名で検索してみたら良いだろう。

修理・点検を見越して三輪車を選ぶ

三輪車を探すための検索ワードのところで随分と雑談を挟んだが、もし日本国内でパーツの入手が困難だとしたら、満足な修理ができないかもしれないということを忘れてはならない。
ただでさえ今の日本で三輪車はマイナーな存在である。修理工場に持ち込んでも「ウチじゃ見ないよ」ということだってありえる。仮に三輪車の面倒をみてくれる修理工場が見つかったとしても、トゥクトゥクに強い修理工場とベスパカーに強い修理工場では勝手が違うことも想像できる。
これが、検索ワードとして挙げなかった国の三輪車となると、対応してくれる所が限られるのは目に見えている。仮に修理は自分でできるという人でも、例えばイスラム圏のように文化や商習慣の異なる国の三輪車だと、パーツを取り寄せるのも一苦労ということだって考えられる。

実は、日本国内における三輪車の修理に関しては、「どこから購入するか」も大切な要素となる。
国産の三輪車は、せいぜい光岡自動車という富山県に本社のあるメーカーぐらいしかない。もちろん光岡の三輪車が気に入れば光岡で買えば良いのだが、比較検討した結果として外国産の三輪車を選ぶことも多いだろう。三輪車の車種の中で日本車は極めて稀だから、光岡が選ばれなかったとしても、それは仕方ないことである。
さて、外車と言えば聞こえは良いが、単に輸入販売しかしていないショップでは修理やメンテナンスは期待できない。仮にそれが三輪車メーカーのディーラーの日本支店だとしても、日本のメーカーのディーラーのようにアフターケアが充実しているとは限らない。
調べてみると、輸入販売する際に輸入した三輪車を一度全部バラして組み直して完全に修理してから納車するというお店もある。ただし、いくらそういう日本のショップがあると言っても、そのお店の得意な三輪車とそうでもない三輪車があることを忘れてはならない。よそで買ったのを持ち込むのも気が引けるかもしれない。

三輪車のスペックは表で確認を

トゥクトゥク、リキシャー、ベスパカーと調べていくと、つい「もっと良い三輪車はないものか」と欲が出てくる。
三輪車に似たものとして、トライクと呼ばれることが多い三輪バイクがある。ミニカーもある。あれこれWebサイトを見ると、写真の車両に乗っているのが1人だとトライクやミニカーのことが多く、三輪車は複数人が乗っていることが多い。
このこと自体は、なかなか貴重である。過剰な期待をしてWebサイトを読み進めていたら違うものだったというミスマッチを軽減できるので。

ただ、写真だけでは読み解けないことも多いことを忘れてはならない。

タイでもインドでもパキスタンでもないアジアの某国で作られた三輪車は、なかなか素敵なデザインをしている。写真を多用したWebサイトは、実際に自分が使う時のイメージを掻き立てる。
しかし、肝心なこと・気になることが全く書かれていない。ページを何回かクリックして読み進めて、ようやく出てきたのが「最高速度40km/h」という表記だった。それも写真を多用したページとは比べるまでもないほど小さなフォントで。
この瞬間、さっきまでのイメージは一気に崩れ去った。そんな力ないモーターでは、下手したら近所の陸橋で立ち往生して、世間様に迷惑を掛けてしまうかもしれない。

残念ながら、このような不誠実な感じすら受けるサイトを、いくつか見た。
ひょっとしたらイメージ先行で購入を促すつもりかもしれない。あるいは、その国ではそういう広告が一般的なのかもしれない。しかし、それは得策ではないと私は思う。
よほどのマニアでもない限り車を何台も同時に所有することはないし、一生に何回も買うものではない。それ故に車の購入は慎重に検討することになる。こんな不誠実な見せ方をする企業は、下手をしたら納車前に代金を求めてそのまま納車せずに行方不明になってしまうかもしれないとさえ私は思った。仮に納車されても、欠陥品をよこすかもしれないとも思った。

大抵、スペックは表にまとめられている。面倒でも、早い段階でスペックの書かれた表を探し出して、しっかりと読み込むことをオススメする。
正直、写真や動画は後回しで良い。嫌でも写真や動画は目に入ってくるし、納得できるスペックの三輪車であれば試乗する際にいくらでも好きな角度で見ることができる。

三輪車に限らず車を選ぶのは、何とも言えないワクワク感が伴う。くれぐれも、そのワクワク感に流されて大切なことを見落とすことのないように。

私が探し出した三輪車「EV BOSCO」

参考までに、私の購入するEV三輪車は「EV BOSCO」という名前である。このEV三輪車は、三輪車の輸入販売も行っている神戸にあるBOSCOというガレージが、インドの三輪車メーカーさんと共同で作ったEV三輪車である。
このガレージのブログを読むと、出張修理も行って下さることがわかる。更にブログからはアルファロメオのような高級外車のカスタマイズが得意で、三輪車に関してはベスパカーに対する熱い想いを持った上でリキシャーを扱っていることも伺える。
ちなみにEV BOSCOの場合、最高速度は60km/hを出せて、3時間のフル充電で走行可能な距離は75kmである。実際に走っている様子を映した動画を見ると、普通に坂道を減速せずに登っている。
恐らくWebで情報提供するよりも目の前の車をいじるといった感じのガレージなのだろう。せっかくEV BOSCOの特設サイトを作ったものの、車種ごとのスペックと、車体の色を試すページしかない。神戸という土地柄か、大変オシャレなサイトではあるのだが…。

私としては、木村氏のEV軽トラのように、このEV BOSCOのピックアップにソーラーパネルを載せて、ソーラーパネルから供給される電気だけで走りたい。そのカスタマイズも相談している。
なお、もしソーラーパネルを載せるのが無理だとしても、私はEV BOSCOを購入する予定である。というのも、この車に未来を感じるからである。

まとめと次回予告

三輪車を探す際は、三輪車の他にトゥクトゥクやリキシャーやベスパカーといった検索ワードを用いることをオススメする。三輪車のサイトを見る時は、なるべく早い段階でスペックの書かれた表を読んで、それが自分のニーズに合った三輪車であるかどうかを判断する。そして実際に三輪車を買う際は、修理が必要になった時に困らないよう、予め修理工場を探しておくことが望ましい。信頼できるところから購入することも大切である。

繰り返しになるが、今の日本では三輪車はレアな存在である。人によっては、そんなレアな乗り物に魅力を感じないという方も多いかもしれない。
そこで次回は日本の道路事情から三輪車のメリットを説きたい。単に個人の問題としてではなく、日本が抱える社会の問題解決のためにも三輪車は強みを持っていることをお伝えしたい、


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