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GTGSアジェンダブログ(1):世界は長寿とテクノロジーをどうみているのか。

いよいよ来週に迫ったグローバル・テクノロジー・ガバナンス・サミット(GTGS)。開催に先駆け、世界経済フォーラム「Global Future Council on Healthy Ageing and Longevity」のメンバーを含む世界の専門家たちが長寿社会とテクノロジーの関係について意見を寄せるアジェンダブログが公開されました。

テクノロジーがもたらす長寿社会への恩恵とは?

日本は長寿社会で知られていますが、多くの国でその平均寿命が70歳を超えるなど、高齢化社会は特定の国々に限定された話ではありません。いまや世界的な社会現象である長寿に対して、テクノロジーは何ができるのでしょうかーー身体活動の維持、転倒の検知などに支援された自立生活、スマートホーム技術、病気の早期発見と管理、孤立させない社会的なつながり、労働力への継続的な関与など、さまざまな目的で技術革新がおこっています。そしてここで重要なのは、こうしたテクノロジーの恩恵が、デジタルから距離を置きがちな高齢者を取り残さないよう設計されることです。

ケアサービスの充実は高齢者の幸福に

世界経済フォーラムでフェローとして活躍する経済産業省の中西友昭氏は、介護者のスキルとデータの力を組み合わせたアプローチを提唱しています。

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これまでの介護サービスは熟練した介護者の経験と勘に大きく依存しているため、介護施設はその知見を収集して継承することに苦労してきました。中西氏は投資を行うための適切なインセンティブ・メカニズムや規制の枠組みの不在を指摘。そのうえで、データを活用して高齢者ケアの質を高めるために介護施設がスマートデバイスを通じてケア・データ(治療データやリハビリプログラムの結果など)を収集、分析サービスなどを活用しながら介護を必要とするすべての高齢者のためにケアサービスを充実させる未来を描きました。

個人の権利を尊重しながら、公益のためにデータを活用

世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター・ヘルスケアデータ政策プロジェクト長の藤田卓仙氏は、パンデミック対応のために開発されたアプリの技術リスクのほか、認知症などを伴う高齢層においては「テクノロジーが負担になる」状況もありうることを指摘。

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そのうえで、超高齢社会であり高齢者に関するデータが大規模に収集されている日本のもつ可能性に着目。同意偏重主義に偏りがちなテクノロジーの活用において、個人、テック企業などのデータ保有者、社会におけるバランスをとりつつ、公益のためにデータを利用するフレームワーク、APPA(Authorized Public Purpose Access)を紹介しました。

当日はストリーミング配信(日本語同時通訳付)で!

そのほかこのアジェンダブログでは、「社会と繋がる」ことを可能にするテクノロジー、高齢者の自宅生活のための支援、マルチチャンネル・ヘルスデリバリー、介護ロボット、就労支援などが論じられました。来るGTGSでの議論に期待が高まります。ヘルスケア関連のセッションでは「データ宝庫としてのウェアラブル (Wearable Data Troves)」にエーザイ・内藤CEO、「次の最前線:健康と長寿社会(The New Frontier: Healthy Ageing)」にSOMPO・櫻田CEOなどが登場する予定です。

セッションの多くは、以下のサイトにてストリーミング配信されます。会期中、いくつかの注目セッションをピックアップし、本noteにてレポート配信する予定ですのでお楽しみに!

執筆
世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター
ティルグナー順子
大原有貴(インターン)

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