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GTGSビデオ:テクノロジーの現在地

いよいよGTGS開催が目前に迫ってきました。世界経済フォーラムではGTGSに向けて世界各地のテクノロジー事例を映像で紹介する数々のSNSビデオが順次公開されており、日本語版も制作されています。本記事ではGTGSに向けた最新のビデオ作品をいくつかピックアップしてご紹介します!

①障がい者のテレワーク利用を促進する3つの方法

現在、世界で1.3億人もの人々が何らかの障がいを抱えて生きています。障がいを持つ人はそうでない人と比べ、少なくとも2倍の確率で仕事に就けず、貧困に陥りやすくなっています。

動画の冒頭では、目や耳が不自由な人のために字幕を作成したり、手話を使う人の画面を固定したりするZoomの取り組み、目が見えない人のためにAIを活用して画面内で何が起こっているかを解説する取り組み、認知障害のある人でも1タップで簡単にスマートフォンを操作できる取り組みなどの事例が紹介されています。

②3Dプリンターで作る学校がマダガスカルに

2021年後半、マダガスカル・フィアナランツォアの大学に建設される予定なのは、なんと3Dプリンターでつくる学校。わずか1週間足らずで建てられるこの学校は、3Dプリンターで作ったコンクリートの壁と、地元の素材を使った屋根や被覆材を組み合わせる地域完結型の建設です。ソーラーパネルによる発電で電力を供給し、外壁には立体庭園が組み込まれています。

ユニットを組み合わせて建物を拡張することができるので、必要に応じて学校を大きくすることができます。この方法は従来の建設方法よりも安価で、CO2排出量も少ないとか。3Dプリンターでつくる学校なら熟練した労働者が少ない人里から離れた場所でも簡単に建設することができます。

物理的なインフラの欠如はアフリカにおける教育の最大の障壁のひとつ。設計者は3Dプリンターの使い方を地元コミュニティに教え、必要とされる場所により多くの学校を迅速に建設できるよう計画しています。

③イギリスで、世界初の空飛ぶクルマ専用空港がオープン

都市の過密と汚染を減らすために何ができるか――解決策の一つは、空飛ぶ車にあるかもしれません。イギリスでのコベントリーに、世界初の空飛ぶ車専用空港が期間限定でオープンします。対象は、電動エアタクシーやドローンで、都市型のゼロエミッション航空機時代の到来を予告するものです。

これを手掛ける企業は今後5年以内に200か所以上でフライングカー空港の開発を計画中。すべてゼロエミッション、サイズは従来のヘリポートの60%で、わずか数日で建設・解体が可能な世界一小さな空港になります。

パートナーとして参画するヒョンデ自動車は2028年までにエアタクシーを商業化する計画もしており、ゼロエミッションの都市型航空機が実用化される未来も近いかもしれません。

④日本のスタートアップが、宇宙で働くロボットを開発する理由

この動画では、日本のロボットスタートアップGITAIの活動が大々的に取り上げられています。GITAIのロボットは、人間に変わって軌道上で人工衛星を修理するものです。これにより人工衛星の寿命は数十年延びると言います。

実は地球の軌道上には8000トンものスペースデブリが存在するのですが、これが人工衛星に衝突することで宇宙飛行士の生命を脅かすことが問題となってきました。開発されたロボットは人間に変わって作業を行うことで、宇宙飛行士を生命のリスクから救うことに貢献しているのです。

現在GITAIのロボットは国際宇宙ステーションで利用され、月や火星に生活の拠点を作ることに貢献し続けています。

⑤ニットウェアを丸ごと編み上げる、日本の「3Dニットマシン」

日本発の事例です。動画内では、記事を三次元に編み込むことで、一つの生地のみで衣服を製作することができる島精機製作所が開発した機械が紹介されています。これにより、廃棄となる材料が30%削減されます。また、デジタル3Dモデルを使用することで、試作品を作成する必要もなくなります。

従来の服飾業界においては、異なる生地を縫い合わせるのが普通でしたが、これにより12%の素材が廃棄する生地が増大していました。糸を使用しない島精機製作所の機械は、廃棄物を減らせるうえ、排出するCO2の削減にもつながります。(現在、服飾業界は世界の10%のCO2を排出しています)

テクノロジーの活用と制御 - 議論はGTGSへ

こうした新たなテクノロジーの数々を、いかに社会実装していくか。この議論は未来の実装でもあります。来る「第1回グローバル・テクノロジー・ガバナンス・サミット(GTGS)」では、テクノロジー・ガバナンスを人間中心のアプローチとして捉え、政府、企業、市民社会、スタートアップ、学界を代表する意思決定者が一堂に会します。テクノロジーの責任ある設計と実装に向けて、最前線の議論がストリーミング配信される予定です。

執筆
世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター
ティルグナー順子
大原有貴(インターン)

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