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『グレート・リセット』読書会報告

世界経済フォーラム第四次産業革命日本センターでは、2021年の年次総会のテーマである “The Great Reset” に関する知見を深めるため、クラウス・シュワブ会長とティエリ・マルレ氏の共著『COVID-19 : The Great Reset』(邦訳『グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界』)の読書会を11月12日に開催いたしました。

当センターのスタッフ、フェロー、インターンなど20名以上が参加し、オンライン会議システムを通じて、活発な議論が展開されました。


書籍の概要

“The Great Reset”とは、国の経済や社会機構を組みなおす大きな契機であり、今回はCovid-19によって世界にグレート・リセットがもたらされます。

Covid-19は、以前から経済や社会に潜んでいた断層・問題を全て明るみに出すと同時に悪化させており、今行動を起こし社会をリセットしなければ我々の未来は深刻なダメージを受けてしまいます。

パンデミックをきっかけに人々はかつての枠組みから脱却し持続可能な社会・システムを求めるようになっていますが、適切なリセットのためには国家間の協調・協力を強めることが不可欠です。

読書会の様子

開催前の準備として、私(インターン佐藤)がレジュメ担当として、書籍の概要を7ページにまとめ、事前に共有いたしました。

当日は、参加者が一読してきたことを前提に、レジュメを用いて報告を行いました。その後、参加者全員で質疑応答とディスカッションを行いました。例えば、以下のようなコメントがありました。

本書でもサステイナビリティの議論がされていたが、これは「環境問題」「エネルギー問題」というよりも、成長をもたらす新たなマーケットと理解し、取り組むべき領域として示されていると理解した方がよいのではないか。
エネルギーや環境は、既存の産業とは異なる原理で動く、新たな産業にあたる。グレートリセットは、まさにその産業の推移を生み出すものとして位置づけられる。
この本は、「グレートリセット」という言葉を広め、議論のベースを網羅的に作ってくれた。その上で、私たちが日本からどのように旗を振っていくかが重要。グレートリセットの先の具体的な世界を描いていきたい。

レジュメ担当の所感

本書では、コロナウイルス感染症がもたらすグレート・リセットに関し、包括的にかつ時事的な事例も交えて語られており、グレート・リセットについて学ぶ第一歩目として非常に分かりやすい本でした。

一例として環境分野のチャプターでは、厳しいロックダウンを各国が経験しながら炭素排出量が年次ベースで8%しか減少しない見込みであること(国連目標は毎年7.6%減少)などが言及されており、従来の問題に再度目を向ける必要性を実感いたしました。

一方で、ディスカッションにおいて話し合われたように、グレート・リセットの先の目指すべき将来について示す具体的言及は書中ではあまりされておりません。世界経済フォーラム第四時産業革命日本センターがその目指すべき将来を形成する主体として、どのような目標を設定し、どのように発信・実行していくのか、議論を続けて参りたいと考えています。


執筆:世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター インターン 佐藤良磨

企画・構成:世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター プロジェクト戦略責任者 工藤郁子



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