見出し画像

「風が吹けば桶屋が儲かる」のデータ利用?

7月12日、一般社団法人データ社会推進協議会によるDSA Open BBL Forum「データ連携で作る未来」が開催され、世界経済フォーラム第四次産業革命日本センターから工藤郁子と世界経済フォーラム第四次産業革命センター(サンフランシスコ)から中西友昭が登壇しました。


まずは「共通目的」に着目!

冒頭のキーノートスピーチを担当した工藤は、世界経済フォーラム第四次産業革命センターが取り組むDCPI(Data for Common Purpose Initiative、共通目的データ・イニシアチブ)について説明しました。

DCPIは、権利の尊重を大前提に、個人データやセンシティブデータに対する議論軸とは別に「データの使われ方」という個別の目的に注目することによってデータ価値を解放しようという試みです。

「目的」に着目すると、例えば、生体情報やライフログといった機微情報であっても、医学研究や治験という目的、さらにその中でも「自分がかかっている希少疾患」といった個別の目的を指定して、データ利用許諾を出し分ける可能性をイメージできるようになります。

スクリーンショット 2021-07-12 11.39.32

DCPIのプロジェクト概要(英語)はこちら↓


その上で、DCPIが推進するデータ流通のための取組みとして「データ取引市場」を概説しました。

そして、各国でデータ取引市場関連の取組みが活発化している点も指摘。例えば、中国では、既にAI向けのデータセットが活発に取引されており、欧州では、ルール・システム・エコシステムの一体的整備が進められています。

また、コロンビアでは政府と連携したデータ取引市場に関する実証実験が行われていることを紹介。ノルウェイでは海洋データ、インドでは農業データに関する取組みが進められようとしていることを示しました。


そして、データ取引市場の具体化に伴って、プライバシー保護や権利管理など、データガバナンスに関する課題も生じていることに言及し、グローバルでさまざまな議論が加速していることを紹介しました。

世界経済フォーラム第四次産業革命センターでは、世界中でデータ取引市場ができたときにそれぞれが相互接続(インターオペラビリティ)できるように、事業者要件、ガバナンスインフラ要件の基本的な考え方を提示すべく活動しています。


データ取引市場の運営事業者に求められることは?

次に、サンフランシスコから登壇した中西は、6月18日に閣議決定された「包括的データ戦略」でもデータ取引市場が取り上げられたことを紹介しつつ、DCPI(共通目的データ・イニシアチブ)の実現に向けた一つの「登山ルート」として、当センターにおいても日本政府とも連携しながらデータ取引市場の検討を進めてきた旨を述べました。


そしてデータ取引市場を実現する上で、包括的データ戦略でも述べられた、公正・中立である運営事業者に求められる主な機能・役割として、例えば、①決済機能、②取引参加者の審査機能(参加資格のスクリーニング)、③データの品質確保機能(取引されるデータフォーマットの統一等)、④市場への情報開示機能(価格情報等の提供)、⑤紛争解決機能、などを挙げました。その上で、このような機能・役割を担保するためのガバナンス構造の在り方や、さらには独禁法関係の整理といった論点がある旨を説明しました。

運営事業者要件は、独禁法との関係についても整理する必要がある  


詳細は、まもなく公開されるディスカッションペーパーで発表する予定です。是非、御期待ください。

スクリーンショット 2021-07-12 11.51.15


未来を予測できるというデータ価値

議論では、データ流通を促進するための「ユースケース」の積み上げを切望する声が相次ぎました。確かにデータという素材の価値を解放するためには、医療、防災、教育、介護、食料といった公益・準公益的な領域をはじめとする、あるいはその異なる領域間でのデータ価値の掛け合わせといった、「素材」をどう「料理」するかという「レシピ」の開発が鍵になりそうです。

データには個別最適化、未来予測などのユニークな価値があります。一般社団法人データ社会推進協議会の真野理事長のいう「データ流通には、風が吹けば桶屋が儲かるといった仕組みの可視化が必要だ」という言葉が非常に印象的であり、また「データ取引市場」というデータ流通のありかたを大きく変える可能性がある仕組みに対する期待の大きさを感じました。


世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター               ティルグナー順子



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?