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4IRアジェンダブログ:労働力をリスキリングし、生涯学習へ

働くことは、教育の目的地ではなく、生涯学習プロセスだ―― 「労働力をリスキリングし、生涯学習へ(Reskilling the workforce, one person at a lifetime)」と題したアジェンダブログをご紹介します。「リスキリング(再教育)」という言葉をあちこちで耳にするようになったように、テクノロジーがもたらす新しい社会は私たち一人ひとりによる「継続的な学び」という新たなマインドセットを必要としています。そしてこの新たなチャレンジには、雇用主と教育機関による緊密な連携に加えて、テクノロジー、データ、人材、生み出される価値に関するインサイトの集約が必要だと筆者は指摘しています。

原文「We need to reskill the workforce, one person at a lifetime」はこちら↓

そしてリスキリングというテーマは、長期的かつ持続可能な成長を実現する社会へのチャンスでもあります。

多くの人にとって、生涯学習に向けて精神的なシフトを図ることは困難なことです。。。一方で「リスキリング」という言葉には、チャンスという意味が込められています。つまり、生涯にわたってスキルを向上させ続けることで、チャンスが広がるのです。自分の好きな仕事に近づき、福祉と生産性にも大きな影響を与えることになります。

パーソナライズされたサービスが拓く成長市場

20世紀には、テレビ放送から教育まで、視聴者や学習者を不定形のセグメントとして扱う傾向がありましたが、今や時代は大きく変わりました。大規模なスキル・シフトに対応するには、個人のニーズに応じた再教育や再トレーニングが必要であり、テクノロジーがこれを可能にします。

大手企業の多くは、すでに何十億ドルもの資金を従業員のトレーニングに投じています。また、多くの企業が、自社の従業員だけでなく、将来の従業員にも広く影響を与えるために、そのリソースを活用しています。アクセンチュアは、7兆ドル規模の教育・学習市場は2025年に8.9兆ドルへ成長すると予測しています。教育・学習分野の支出のうち、デジタル化されているのはわずか3%。エンターテインメント分野のデジタル比率が30%をはるかに超えていることからも、その成長性は明らかです。

学びは、新たな形へ

パンデミックは、私たちの社会が驚くべき適応力を持っていることを証明しました。Google ClassroomやZoom、CourseraのコースやByjuの学習プログラムなど、何百万人もの教師やサービスプロバイダーがテクノロジーを用いて新しい環境に立ち向かいました。

学びの体験全体が、よりインタラクティブで、没入感があり、パーソナライズされたものになるには、テクノロジー、データ、人材に加えて、すべての主要なステークホルダーに対して生み出される価値に関するインサイトの集約が必要だと筆者は指摘します。

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大きくシフトする教育と働き方の意味

リスキリングを巡る議論は、教育と働き方の意味が大きくシフトしてきていることを明示しています。今後、政策は成長分野への労働移動を促す方向へ、教育システムは学生が生涯にわたって学び続けることができる方向へ、企業は研修システムの意味と価値を転換し、個人の幸福は生涯学習への意欲と関連していくようなトレンドが加速するでしょう。

一方で、失業中の炭鉱労働者に「コーディングを学べばよい」と米国の政治家が発言して物議を醸した件など、このテーマは社会の分断が反映されやすいテーマでもあります。テクノロジーによる構造変化を支える柱となる「リスキリング」は、その正しさよりも、インクルーシブな社会的な価値観の定着が成否の鍵を握っているように思いました。

【ご参考】リスキリングも大きなテーマとなった「The Job Reset Summit」の勉強会報告はこちら↓


世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター               ティルグナー順子


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