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過去の災害を知る《6》不意打ちの火山噴火〜2014年の御嶽山噴火(9月27日)~

 風が心地よく絶景を楽しめるハイキング。その最中に突然噴火に遭遇したら・・・今日は、6年前に発生した御嶽山噴火について紹介します。

御嶽山

2014年の御嶽山噴火の概要
発生日時   :2014年9月27日11時52分ごろ
発生場所   :御嶽山(岐阜・長野県境)
被害     :死者・行方不明者合わせて63名

 2014年の御嶽山噴火の死者・行方不明者数は、火山災害としては戦後最大でした。避難用のシェルターが不足していた、噴火の写真を撮っていて逃げ遅れたとみられる、など様々な理由が考えられていますが、その中でも今日は「噴火警戒レベルが低かった」ことに着目したいと思います。

噴火警戒レベルとは何か

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 そもそも、噴火警戒レベルとは何でしょうか。

 噴火警戒レベルとは火山ごとに気象庁が発表する指標で、火山活動の状況に応じて「警戒が必要な範囲」と防災機関や住民等の「とるべき防災対応」を5段階に区分しレベル分けされています。(説明と上図は気象庁HP参照)

 この噴火警戒レベルに応じ、自治体などが入山規制や避難指示を行います。例えば、観光地として有名な鹿児島県の桜島は現在「噴火警戒レベル3(入山規制)」にあたり、火口から2km以内は立入禁止区域となっています。

 日本には111の活火山※がありますが、そのうち「今後100年程度の中長期的な噴火の可能性及び社会的影響」を踏まえ選定された48の火山で上記の噴火警戒レベルが発表されています。

※活火山:概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山(気象庁HPより)

御嶽山噴火は不意打ちだった

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 2014年の噴火当時、御嶽山の噴火警戒レベルは1でした。当然入山規制もなく、週末だったこともあり多くの登山者が火口付近を散策していました。まさに不意打ちの噴火だったのです。これが、戦後最大という多くの犠牲者が出てしまった一因と考えられています。

 噴火警戒レベルの設定ミスでは?と思うかもしれません。しかし、そう簡単なことではないのです。

 噴火警戒レベルは火山の活動状況に応じて発表されます。しかし、火山活動は、科学的にまだ判明していない点が多いとされています。

 御嶽山でも数週間前から地震動が発生していましたが、「地震が起きている時には、噴火に至るとは判断できなかった」との見解が述べられています。当時の判断基準では、引き上げることが出来なかったのです。

 噴火警戒レベルは人の命を守るための大切な指標です。しかし、決して万能ではないため不意打ちの噴火に遭遇してしまうことがあるのです。

不意打ちでも私たちにできること

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 火山噴火に限りませんが、自然災害は往々にして突然発生します。事前準備をするに越したことはありませんが、火山噴火についてもいくつかの事前対策があります。その中でも、誰でもできることとしてハザードマップの活用を紹介します。

 水害などと同様に、噴火時の注意すべき点や避難所などがまとめられたハザードマップが公開されている火山があります。

 これらの火山を訪れる際は、軽くでも目を通してイメージしておくだけで、不意打ちに対する初動が大きく変わる効果が期待されます。

 火山噴火は、ほとんどの人が経験したことがない災害だからこそ対応が困難です。しかし、御嶽山のようにまさかハイキング中に・・・ということもあり得ます。少しでもイメージを持っておくことが、せめて私たちにできることなのです。

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