遠くに向かう途中で
私は彼の体の振動に耐え切れずことばと肉体を駆使して彼の振動を止めようと緊張感を持って行動を開始した。まず人差し指に指令を出した。ゆっくりとそれが動き出すのを私は私の目を使って確認した。次に白茶けた黄色っぽい靴下の中で眠っていた足の指たちを意識する。ゆっくりと彼らが目覚めるのがわかる。彼の振動によって停止していた私の体がゆっくりと目覚めようとしている。意思を得るために私はまず意識を使う。意識が私を捉えた時に私はここにいることに気づく。彼の振動が私をかき消して停止させていることに気づく。私は徐々に目覚めていく。遠くが徐々に近づいてくる。彼の振動はまだ続いている。私は気づく。彼の振動を止めなくても私が目覚めつつあることを。彼は気づいていない。私が目覚めつつあることを。彼が私を停止させていたことを。具体的に何かが全て変わりつつあることを。振動の中で彼は私と違う遠くを目指していることを。そこに問題がなかったことを。私たちは遠くに行く必要がないことを。遠くが近づいてきていることを。私が彼から独立したことを。私が足の指たちにおはようを言ったことを。
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