【朗読Q&A】「物語のセリフ」を自然に聞こえるようにするには?【文語体にも有効!】

朗読に関する疑問・質問にお答えするQ&Aのコーナー。

今回は

「物語のセリフ」を自然に聞こえるようにするには。

朗読の勉強を初めて間もない者です。
とりあえず音読に少しでも慣れていこうと思い、
毎日小説や物語を声に出して読んでみていますが、
やはりセリフが特に難しいです。
というのも、書かれたセリフというのは、
実際に日常で話したり聞いたりする言葉とは
ちょっと違うことが多いからです。
また、演劇用の台本のセリフとも
ちょっと違うような気がします。

つまり、話し言葉のようで話し言葉ではない。
会話であってもすこしあらたまった
「文章」のようなものが多いような気がします。
その「書き言葉」であるセリフを
自然な感じで表現するには、
なにかコツがありますか?


ご質問ありがとうございます。
「物語のセリフ」を自然に聞こえるようにするには、とのこと。

これは確かに、私も感じます。
小説の台詞は、演劇の台詞よりも読みにくいことが多いですね。
作家にもよると思いますが、
小説と戯曲の台詞の大きな違いは、
「声に出すことを前提に書かれているか否か」
だと思います。

小説の場合、どうしても文字情報になるので、
多少、「日常ではそんなに細かく喋らないだろう」
みたいな事まで丁寧に台詞にしてあるケースが多いように感じます。
その方がイメージも喚起しやすいし、
読んで分かりやすいのだと思います。

対して演劇の台詞は、
人の動きや間、関係性などを実際に舞台で見せることが出来るので、
過度な装飾よりは、行間、に多くのものが込められているケースが多いですね。

しかし、小説を朗読する場合には、小説の台詞を喋らねばなりませんから、
「すこしあらたまった文章」を、いかに自然に読んでいくか、は重要なポイントですね。

そこで私がオススメしたいのは、
一度、「自分語」に翻訳するというやり方です。

夢野久作の『老巡査』から台詞を例にとりますと

「見舞に行くには及ばぬ。君のような人間が現場に立会ったとて役に立つものじゃない。留守をして電話でも聞いていたまえ」

主人公の老巡査が、署長からすごい怒られる台詞です。
怒ってるのに、及ばぬ、ものじゃない、たまえ、など、比較的優雅?というか文字数が多い?というか、あらたまった感じがします。
これを、例えば私が極端に自分の言葉にすると
「馬鹿か、じっとしてろ!お前が行って何になる!大人しくしてろ!」
となります。
大分荒々しくなってきました。
そして、一回これを声に出して見る。
自分の言葉なので気持ちもノリやすいはずです。

そして今度は、この気持ちを忘れずに、
同じ感情を、
決められた文章の型に流し込んでいく。
するとあら不思議、
あらたまった感じが少し和らいだ気がしませんか?

ちょっと堅苦しい言い方をすれば、
台詞に語られている目的を絞る
(この場合は、怒る、なじる、おとしめる等)
ことで、
人物が喋る目的を明確にし、
誰に、どう影響を与えたいのかを考え、
それを言葉にしっかりと流し込む。

という事です。

良かったら一度試してみて下さい。
文語で書かれているものなど、
時代的に自然に話せない文章にも効果的です!

英語のお芝居を観て、言葉が分からなくてもなんとなく展開が分かる、
みたいな現象があると思います。

それと同じで、難しくて分かりにくい言葉でも、
人物の感情や目的、
読み手の感じ方、
などが伝わると、
朗読は一気に親しみやすくなるのでは?

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