【朗読・話し方Q&A】長い文章を息切れせず読むには?

皆様の、朗読への質問・お悩みを、
私なりにお答えするQ&Aのコーナーです。

本日はこちら。


Q.
文の最初1文節程度は張った通る声が出るのですが、
2文節あたりから息が抜けてしまい、
最後の文節は、はぁ〜 と言う感じで、
脱力した印象になってしまいます。

アドバイスよろしくお願いします。

A.
ご質問ありがとうございます。
息が続かない、という事でよろしいでしょうか。
作品によっても一文の長さが大分違うので、どのくらいの長さで苦戦されているかにもよりますが、
アプローチとしてはおおまかには2つの方法があると思います。

・息が長く続くように訓練する
・一文の中で「踏み直し」を効果的に使う

まず、呼吸を長くするパターンです。
「2文節あたりから息が抜けてしまい」という事は、
1文節目で大量に息が漏れてしまっている可能性があります。
なので、均等な強さで息を吐き続ける訓練などしてみると良いと思います。
「s」で歯の隙間から息を少しずつ漏らしていくような感じで、
15秒ほど吐き続ける、みたいな事をやってみるといいかと思います。
吐ききったら自然に空気が入ってくるので、また吐く、それを繰り返す感じです。
呼吸は継続訓練で深く、長く出来るので、
トライしてみて下さい。
ただし、無理は禁物、苦しくなったら無理せずやめましょう。
少しずつ少しずつ、です。

また、口をホース、
空気(言葉)を水
だと思って喋ってみると良いと思います。
1文節目で大量に水が出すぎて、
残りの水の量が減ってしまってるのが現状のイメージ。
ホースの先を握りつぶして水量をコントロールするように、
出ていく空気の量をコントロールすることで、後ろの方の文節まで空気が保持できます。


続いて、一文の中で踏み直しを効果的に使う、という方法です。
「踏み直し」というのを他で聞いたことがないので造語かもしれませんが、
長い文章の時に、適度に音を持ち上げる、あるいは強調する箇所を作って力強さを文末まで保持する事をこう呼んでいます。

例文で説明します。
僕も読んでて「長いな一文が(笑)」と思った、夢野久作『老巡査』の冒頭部分です。

「外套の頭巾を外して、シンカンと静まり返っている別荘地帯の真夜中の気はいに耳を澄ましたが、やがて手袋のまま外套の内ポケットを探って、覚束ない手付きで老眼鏡をかけながら、よく見ると、それは金口の巻煙草の吸いさしを、短かい銅線の切端の折れ曲りに挟んで、根元まで吸い上げた残りであった。」

これは一息ではさすがに難しいので、ブレスのポイントをうまく作る必要があります。
また、日本語は一文の中で音が高い方から低い方へ落ちていく構造なので、この長さをずっと落ちていくと、
息は続いても音が出しにくく、力が弱まってきます。

そこで例えば

外套の頭巾を外して、

シンカンと静まり返っている別荘地帯の
真夜中の気はいに耳を澄ましたが、

やがて手袋のまま外套の内ポケットを探って、

覚束ない手付きで老眼鏡をかけながら、よく見ると、

それは

金口の巻煙草の吸いさしを、

短かい銅線の切端の折れ曲りに挟んで、

根元まで吸い上げた

残りであった。

と細かくブロックに分けます。
そして、ブロックの頭で音を高くする、あるいは強めに読む、という事をやります。
(変な所で切ると、文章の意味が崩れてしまうので、読み込みが必要です。)

すると、ブロックの頭ごとにエネルギーが補充されるので、力が弱まりにくくなる、という技です。
このブロック分けでも力が続かない場合は、

外套の
頭巾を
外して

と、本当に文節ごとに力をいれていく(踏み直す)ことをやってみるとよいかと思います。
ただ、余りに細かく踏み直すと、文章全体がごつごつした印象になるので、
だんだんブロックを大きくしていけると良いと思います。

なんにせよ、継続は力、です。

これは僕なりの回答ですが、
他の朗読講師の方がアドバイスを寄せている記事も

(社)日本朗読検定協会 公式BLOG

から読むことが出来ますので、
よろしければそちらもご参照下さい。

また、何か質問などありましたら、
お気軽にこちらの質問箱までお寄せ下さい。

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