マガジンのカバー画像

怪しの話

88
You Tubeのの星野しづくさんのチャンネル「不思議の館」と、ツイキャス(You Tube)の「怖い図書館」に投稿した、不思議な話や怖い話をほぼ週1回のペースで掲載しています。
運営しているクリエイター

2024年5月の記事一覧

スナックよみぢ

10年ほど前、とあるバーのカウンター席で、隣で飲んでいた中年の男性がこんな話をしていました。 その男性(仮にYさんとしておきます)は機械修理の仕事をしているらしいのですが、ある日、県北の町に出張にいったときのことだそうです。 当初は日帰りの予定でしたが、近くの事業所からも修理以来があったので、ついでにそちら寄ってほしいという連絡が会社からあり、その日は急遽一泊することになりました。 途中で軽く食事を済ませ、Yさんが小さなビジネスホテルに着いたのは午後8時頃。 フロントで

深夜の交通誘導

この話は数年前、我が家の前の道路工事現場で交通誘導をしていた警備員のおじさんから聞いた彼の体験談です。 そのおじさん(仮にAさんとしておきます)が30代だった、ある年の夏のことです。 彼は、とある道路工事現場の交通誘導にあたることになりました。 指示された現場は片側が崖、片側が山の二車線の道路でした。 片側交互通行の誘導ですが、道が崖側に大きくカーブしている箇所で、見通しが悪いために、Aさんのほかに若いBくんと年配でベテランのCさんの、3人体制で誘導にあたることになったの

肩の両手

今回は昔よく通っていた喫茶店の常連客の男性から聞いたお話です。 その男性(仮にAさんとしておきます)が30代だった1978年(昭和53年)6月のことです。 その日Aさんは出張のため東京に来ていました。 午後9時頃に仕事を終えたあとは、同僚たちと2軒ほど居酒屋を回り、気づけば時刻は午前零時近くになっていました。 ホテルへと戻ろうと、同僚たちと別れて、西日暮里の駅に向かっていたAさんでしたが、ふと一軒のラーメン屋台が目についたのだそうです。 〈このままホテルに帰って、コンビ

お守り

これは私が小学校1年生の時のごく短い些細なエピソードです。 その日私は、同級生のMくんといっしょに自転車遊びをしていました。 ふたりとも自転車に乗れるようになって、まだまもない頃のことでしたが、この時期は乗れば乗るほど運転技術が上達していく頃でもありました。 遊んでいるうちに自然と二人乗りができるようになり、ふたりとも嬉しさで夢中になって、ひとつの自転車をとりあうようにして漕ぎ回っていました。 そうやって遊んでいた、何度目かの二人乗りのときのことです。 Mくんの運転で、

角を曲がる女

今回は先日、病院の待合で偶然会った知人から聞いた話です。 事の起こりは、彼(仮に田中さんとしておきます)が20代のはじめ頃、今から40年ほど前のことです。 その日田中さんは、隣の市にある喫茶店で友人と会う約束があり出かけたのですが、途中で道に迷ってしまいました。 携帯電話がまだない頃のことです。 田中さんは友人から聞いた大まかな住所と、喫茶店の名前だけを頼りに、見知らぬ街を歩きまわっていました。 待ち合わせの時間が迫り、焦る田中さんでしたが、ふと前を行く一人の女性に目がと