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台本シリーズ『漫画』

いきなり台本からだと「こんなん読んでられっか!」と思われそうなので、まずはよもやま話から。

今回記事にするネタは2年目に作ったネタのはずです。
そこからすでに10年近く経とうとしているって怖い話ですね。
当時事務所ライブの「バカ爆走」の中で4組のコント師が新ネタ4本おろす「コントロイド」というライブがありまして、そのときに作ったうちの1本です。
初めてキングオブコントの1回戦を突破できたネタなので、思い出深いネタですねー。

実は初期の設定は「小学生の男の子が自分を主人公にした漫画を先生に没収されてる」という形でした。
漫画の内容も「クラスの中心人物の男子を敵キャラにして復讐してる冒険漫画」みたいな感じだったと思います。
そのときは「このネタいい感じになりそうなんだけど、もうちょっと良くならないかなー」とウンウンいってました。

その形でネタ見せしたときに、横で見てた当時ザ・フライの今野さんが「色々できそうだよね。キャラクターをヤンキーにして漫画も少女漫画とかにしてもいいんじゃない?」と言っていたと当時アンパサンドの中村さん(現ポテンシャル聡さん)に伝えて貰った瞬間にネタのイメージが一気に出来上がりました。
確かそれがコントロイドの前日とかだったのですが、明らかにネタが良くなりそうだったので台本を全部書き直してドタバタで準備してやった記憶があります。
あまりにも素直にアドバイス聞いたのが恥ずかしすぎて、しばらくは今野さんにありがとうございますと言えなかったなぁ。

でも、それをきっかけに今野さんや中村さんとそれまでより話せるようになったので嬉しかったです。そんな体験があったので、今でも後輩のネタを見て思いついたことがあったときは、偉そうにならないように気をつけながら伝えるようにしてます。
うるせぇなぁと思っている後輩がいたらごめんね。

このネタでキングオブコントの1回戦を突破したときに、滅多に人のことを褒めない養成所の講師の方に初めて(1年間通った養成所ではボロクソに言われてたので本当に初めて!)褒めてもらえました。

そしてキングオブコントの2回戦でめちゃめちゃ緊張してたら、事務所の先輩のラバーガールさんに話しかけてもらったのもいい思い出です。
ガチガチに緊張してる我々に色々ボケてくれて楽しく話したあとに「どう?これで緊張とれた?」と言ってもらえたときは「あぁ!ラバーガール兄さん!」とシビレました。

ライブにまつわる思い出でいくと、このネタでK-PROさんのライブの「若武者」で2位になったときに優勝してたのが真空ジェシカさんでした。
しかも!新ネタ初おろしで優勝!悔しかったけどカッコよかったですねー。

あと、別のライブのネタ見せに行ったときに小道具の漫画を見て「小道具すごいねー、絶対ウケるじゃんこのネタ」と言ってくださった後に我々の比じゃないウケ方をしてたのがだーりんずさんでした。
あれもカッコよかったなぁ。

そんな色んな先輩との思い出を作ってくれたりネタのポップさを意識させてもらったりしたありがたいネタですね。

というわけで、以下台本でございます。


松元:Yシャツの上にジャージ、下はスーツのズボンで学校の先生の格好をしている。
空閑:学ランの中に赤いTシャツを着てヤンキーの格好をしている。

(2人板付き、下手に椅子一脚。)
(松元椅子に座って腕を組んでいる。空閑上手に立っている。明転。)
松「おい、くが。ちゃんと反省してるのか。」
空「反省してるつってんだろ。」
松「なんだその態度は。」
空「うっせーな、俺の漫画返せよ。」
松「そんな態度の奴に返すわけないだろ。」
空「いや反省してるから、俺の漫画返してくれよ。」
松「なんだ、そんなに返して欲しいのか。」
空「返せよ、俺の描いた漫画!」
(松元、背中から空閑がノートに描いた漫画を取り出す。表紙には少女漫画のイラストとタイトルが描いてある。)
松「このピュアラブハイスクールか。」
空「タイトル読んでんじゃねーよ。」
松「いやー、読むならまだしも描くとはね。」
空「授業サボって描いてたのは謝っただろ!」
松「なんだその態度は、くが。いや、アントワーヌくがか。」
空「ペンネームで呼ぶんじゃねーよ。」
松「それにだいたいお前はだな...」
空「うっせーな!」
松「いや、先生うるさくはしてないだろ。うるさいのは、この主人公の凛子の担任だろ?」
空「てめぇ、読んでんのかよ!」
(松元、漫画を開いて読み出す。表紙の女の子を指しながら話す。)
松「でも、先生少女漫画って初めて読んだから気になったんだけどな。主人公の凛子ってどこにでもいる普通の高校生の割りに可愛すぎないか?」
空「いや、そういうもんなんだよ。」
松「あと、よく出てくるこのトクンって何の音だ?」
空「心臓の音だよ。」
松「心臓はドクンだろ。」
空「それじゃ乙女の繊細なときめきが表現できねーだろ。」
松「あ、ときめきの音なのか。」
空「ときめきの音だよ!言わすんじゃねーよ!」
松「でもピュアラブハイスクール、面白かったよ。」
空「おぅ。」
(空閑、少し照れる。)
空「早く返せよ。」
松「これ、続きないのか。」
空「ねーよ。ねーし、もう恥ずかしいから描かねーよ。」
(松元立ち上がる。)
松「それは駄目だ。先生続き気になってんだから。」
空「はぁ?」
(松元、漫画を胸元に抱える。)
松「先生もう『ピュアスク』のファンです。」
空「何勝手にピュアラブハイスクール略してんだよ。いやもう描かねーから。」
松「ちょっと、アントワーヌ先生。」
空「ペンネームで呼ぶな、あと先生はお前! 」
松「お願いしますよー、凛子と早峰君はくっつくんですかー。」
空「なんなんだよ。」
松「でも、その場合は凛子の幼馴染みの健ちゃんも幸せにしてあげてください。」
空「なにちょっと注文つけてきてんだよ。」
松「あぁ、でも、凛子と健ちゃんがくっつくのもありか。でも、そしたら健ちゃんを好きな図書委員の子がかわいそうだしなー。あー、楽しー。」
空「もう、なんなんだよ、こいつ!勝手に暴走すんな!」
松「止められないよ!自分の好きに気づいちゃったから!」
空「凛子のセリフを引用すんな!」
松「お願いします、続きを。」
空「いや、描かねーって言ってんだろ。」
松「じゃあ、停学だ。」
空「はぁ?なに急に教師ぶってんだよ!」
松「だって...だって届けなきゃ!この想いは。」
松・空「「私の大事なピュアラブだから!」」
空「だからセリフ引用すんな!それに、そういうのが恥ずかしいからもう描けないんだよ。」
松「先生、じゃあ退学だ。」
空「何で仕打ちが増すんだよ。」
松「お願いしますよ!」
(松元、空閑にすがりつく。空閑、松元を振り払う。)
空「もう、放っといてくれよ!そんな漫画もうどうでもいいから描かないんだよ。」
松「嘘だ!」
空「はぁ?」
(松元、漫画の最後のページにある四つ折りになっているイラストを広げる。)
松「どうでもいい人が、付録の特大ポスターまで描くわけない!」
空「あー!」
(空閑、崩れ落ちる。松元、空閑の肩に手を置く。)
松「好きなんでしょう、アントワーヌ先生?」
空「わかったよ、描くよ。」
松「本当ですか!?」
空「ただ恥ずかしいから、この生徒指導室以外で読ませねーからな。」
松「え、アントワーヌ先生の作品が読めるのは生徒指導室だけ!?」
空「売りみたいに言ってんじゃねーよ。漫画返せよ。」
(松元、空閑に漫画を返す。)
松「はい。じゃあ、続き楽しみにしてます。」
空「おう。」
松「楽しみだなー。」
(松元、嬉しそうにしながら上手にハケる。
空閑、嬉しそうに跳ねる。暗転)


とまぁ、こんな感じで今後も台本やらネタの経緯やら思い出やらを書いていければなと思っております。
良ければYouTubeにもネタがあがってるので見てやってください。

それでは、また。
バイオニの松元でした。

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