見出し画像

台本シリーズ『いい写真』

久々の台本シリーズです。
もうちょっと頻度をあげなきゃいけませんねぇ。
すみません、どうも。

このネタは、何年か前のキングオブコントの2回戦でやって準々決勝に進めたときのネタです。
何かのバトルライブでもこのネタで勝てたありがたいネタですねぇ。



ネタよもやま話

ネタの経緯

このネタができたのは、確か新宿西口のサンマルクカフェだったんじゃないでしょうか。
「胡散臭い記者がスクープを売りつけにくるシーンってあるよね。」と空閑さんが言ってくれて、どういうシーンか2人で何となくやってた記憶があります。

その中で「いい写真」というワードが出たので、(これが違う意味での「いい写真」ってネタできるかなー、どうかなー)と思っていたら、似たようなアイデアを空閑さんも出してきたので、思わずボツにしようかと思いました。
いやぁ、焦ってボツにしなくてよかった。

なんか、コンビで同じこと考えてたって気持ち悪ぃな!ボツ!と思ったんですが、この感覚ってどう言えば正確に伝わるんでしょうか。
コンビという関係性の不思議なとこですね。

ネタの変遷

このネタはおそらく我々のネタの中で、後半の展開が一番変わったネタだと思います。

最初に作ったときは、「本当にいい写真という裏切りを何回か繰り返した上で、そういう商売としてやっている人が最後に高値で写真の入ったデジタルのフォトアルバムを売りつけてくる」といった流れでした。

オチも「フォトアルバムから流れてくる曲がアップテンポな大黒摩季の曲で雰囲気に合ってない」という個人的には好みなんですが、ふざけたオチだったはずです。

我々は比較的、ネタの台本を変えない方のコンビだと思います。
ウケなかった部分も台本ではなく言い方やニュアンスで伝わるようになるんじゃないかと模索することが多いです。

とくに芸歴が最初の頃は「最初にできた形を崩したくない、それが最も完璧な形であるべき」という全くもって間違った思い込みがあったので、あまりネタを大きく変えることはありませんでした。

ただこのネタに関しては「何かもうちょっとやりようがありそうなんだよなー」と思っているときに、ホラーな要素が活かせそうだと思いついて、ガラッと展開を変えると明らかにネタが良くなりました。

それ以来、ネタの台本を変えることに対する拒否感が薄まったので、そういう意味でもありがたや〜と感謝しておるネタなのであります。


ネタの裏話

ネタのこぼれ話としては、このネタは暗転のミスがよく起こります!

原因はオチと似たようなセリフが途中にあるせいなんですが、必要なセリフなので変えられず「はてさて弱ったねぇ…」と、この世界の片隅にのすずさんのようなことをつぶやいておる次第です。

途中の似たようなセリフをオチだと勘違いされて暗転されるため、その度に真っ暗闇の中で首をひねっております。
確か後半の展開を変えた一発目でも途中強制暗転状態になって、「良かったんか悪かったんかわからん!」となってましたが、こういうのはややこしいことをしようとする側が悪いのです。
すみませんねぇ、へへへ。


ちょっとした教訓

あとは、このネタは怪しい雰囲気を出すために普段メガネをかけていない空閑さんがメガネをかけて、ダブルメガネだと変なので自分がメガネを外してやっていました。

そしてこのネタは、ナイツさんのラジオショーで流してもらったことがあるのですが、
あの!ナイツさんから!貴重なネタへの感想が頂けるというのに!
プロフィール写真とネタの映像を見比べて「メガネかけてるのが逆だからどっちがどっちかわからない」というくだりで時間を使い切ってしまいました。
あぁ、なんというもったいないことを!

それ以来、このネタに限らずメガネをかけるのを配役上で逆にするのはやめました。
思わぬところで勉強になるもんですね〜。
いやしかし、そんな教訓よりも感想が聞きたかったぞ俺は!


というわけで、以下台本でございます。

「いい写真」台本

松元:白いシャツに黒いパンツ、俳優っぽく見えるきれいめな格好
空閑:黒いシャツに黒いズボン、怪しく信用できない雰囲気

(1人板付き、下手に机と椅子一脚ずつ、上手に椅子一脚、下手の机の上に氷の入ったグラス1つ)

(BGM:バーっぽい雰囲気の静かな音楽がかかっている。)
(明転)
(松元、下手の椅子に座ってお酒を楽しんでいる。
空閑、上手から入ってきて松元を見つけて話しかける。)
空「隣いいですか?」
松「すいません、一人で飲んでるんで。」
空「俳優の松元さんですよね?」
松「今プライベートなので、そういうのはちょっと…」
(空閑、意に介さず上手の椅子を引き寄せて松元の横に座る。
松元、少し驚いた表情を見せる。)
空「いえ、私こういうものでして。」
(空閑、胸元から名刺を出して机の上に置く。
松元、名刺を手にとって怪しそうに見る。)
空「フリーでライターをやってるんですが、実はいい写真が撮れたもんですから、松元さんに買い取って頂けないかなと思いまして…」
(松元、机を叩いて空閑に詰め寄る。)
松「どういうつもりですか?」
空「そんなに焦んなくったっていいじゃないですか。それとも何か心当たりが?」
松「そういうわけじゃ、ないですけど…」
(松元、空閑から目線を逸らす。)
空「では、先週の金曜の夜は何されてました?」
松「先週の金曜?金曜はドラマの打ち上げで飲んでたけど。」
空「六本木で。」
(松元、驚いて空閑の方を見る。)
「だいぶ飲まれてましたねぇ?次の日は息子の運動会だってのに、パパがあれじゃあ…」
(空閑、胸元から写真を机の上に出す。
松元、恐る恐る写真をめくる。)
松「ん!?」
(松元、写真をまじまじと見る。)
空「その運動会でゴールテープを切る息子さんの写真です。」
松「…ん?」
(松元、不思議そうな顔をして空閑を見る)
空「その写真をね、買い取って頂けないかなと思いまして。」
松「なんだこいつ!いい写真ってお前、『いい写真』のことかよ!え?学校関係の方ですか?」
空「フリーでやらしてもらってます。」
松「フリーで何やってんだよ!」
空「いかがですか?」
松「こんなもんお前…買うよ。息子のこんないい写真初めて見た。」
(松元、笑顔で写真を見る)
空「ありがとうございます。」
松「これ、いくらだ?」
空「50円です。」
松「格安じゃねーか。そんなもん、学校の廊下に貼ってあって欲しいのに丸つけて買うときの値段じゃねーか。で、好きな子の写真にも丸つけたのバレて周りにイジられて恥ずかしい、の値段だろ。」
空「何ですか?」
松「何ですかじゃねーよ。いっぱい喋ったんだよ。あんたこんなんばっかやってんのか?」
空「こんなのばっかりなわけないでしょう。本題はこれからですよ。」
松「え?」
空「実は松元さんの、恥ずかしい写真が撮れたんですよ。」
松「俺の?」
空「金曜日はだいぶ飲まれてましたからねぇ。」
(空閑、胸元からもう一枚写真を出す。
松元、写真を奪い取って立ち上がり、周りに見られないように胸元で押さえる。)
空「松元さんが、」
(松元、恐る恐る写真をめくる。)
空「親子リレーで転ぶ写真です。」
松「紛らわしいんだよあんた!」
空「いかがです?」
松「…買うよ!テレビでエピソード求められた時に一番いい写真だ。」
(松元、椅子に座り直す。)
空「ありがとうございます。」
松「んー、腕は確かだな!他にもいい写真あったら買うよ!」
空「では。」
(空閑、カバンから大量の写真を取り出す。)
松「思ったよりあるな!」
(空閑、写真を1枚ずつめくりながら話す。)
空「こちら松元さんが息子さんと二人三脚の練習をしているときの写真。」
松「え!あの時の写真あるの?うわー。」
空「こちら息子さんの入学式の写真。」
松「学校行きたくないって泣きやがってコイツ。」空「こちら息子さんが初めて立った時の写真。」
松「うわー、懐かしいなー…あれ?っていうか、いつから撮ってたの?え?」
空「こちら奥さんとの結婚式の写真。」
松「え?」
空「スピーチで泣く奥さん。」
松「うそ?」
空「出会った頃の二人。」
松「あぁ、怖ーい!けど、ぜんぶ人生のいい写真だー!」
空「上京して東京駅に降りるとき。」
松「え?」
空「高校の文化祭でハムレットをやったとき。」
松「あー!」
空「小学校の運動会でゴールテープを切るあなた。」
松「俺だー!何これ走馬灯?俺、死んでる?え、死神?」
空「フリーでやらせてもらってます。」
松「フリーのなにー!?」
空「こちらこちらこちら…」
(空閑、次々と写真をめくる。
松元、机に突っ伏しながら)
松「あー!でも、全部いい写真ー!」
(暗転)



こんな感じでゆるゆるとコツコツと台本をあげていけたらいいなぁ。任せたぞ未来の自分。
YouTubeにもあがってるので、よかったら見てやってください。


それでは、また。
バイオニの松元でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?