ヨミアウ通信【2024年4月号・ナクキザシ】編集途中

Discordのコミュニティ・ヨミアウに投稿された中から5首選ばせていただき、評を書きました。(敬称略)

2024年4月の5首

思い出は土へと埋めて隠しますそこから生えたふたばのしずく/ヤナギハ

冬眠前のリスみたい!と思ってほっこりしました。リスは隠したどんぐりがどこにあるかわからなくなってしまうことがあり、忘れられたどんぐりは芽吹いてしまうのです。故意に忘れて別の何かに昇華したい思い出なのかもしれません。

お揃いのリップを買ってありえないあなたのキスを味わっている/しもじ

絶対に本物のキスを味わえることのない相手なのでしょうね。リップでキスを味わおうとしているところが切ないです。同性なのでしょうか。リップ、というところで、口紅ではなく色つきリップをイメージしました。

もし骨になりたいときは教えてねわたしが燃やして拾ってあげる/蔵野依心

もし死にたいときは教えてねじゃなくて、骨になりたいときはという謎の具体性にぐっと惹かれました。絶対的に最後まで看取って(?)やるという強さを感じます。拾った骨は主体の部屋に置かれるのでしょうか。

切りますの後のはーいが爽やかで名残惜しいと思う真夜中/百野木さき

通話の終わりの瞬間ですね。主体が切ります、と言うと相手は爽やかに「はーい」と返事します。そんな相手に主体は尚更名残惜しさを感じてしまうのでしょう。眠気を感じさせない爽やかさが春の終わりの夜に響きます。

いつまでもいてくれるって思ってた雲はときどき速く流れる/もくめ

いつまでもいてくれると思っていたのは雲だけではないでしょう。主体にはそういった存在が別にいて、その人も思わぬタイミングですっと去っていってしまったのでしょう。その後見上げた空で相手に似た雲を見て切なく感じる主体です。


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